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開かずの11号室〜一緒に帰ろうよ〜

作者: 神崎 秋

私は当時14歳の中学2年生でした。小さい頃から体が弱く、幼稚園や学校を休みがちでした。中学に入ると少しずつ体も丈夫になり、学校の行事も参加できるようになっていきました。

そんな私は小さい時からこの世には存在しないであろう小人の妖精や友達や家族の数分後、数時間後が見える能力があり助言をしてはからかわれていました。だから私は言わなくなりました。

そして、中学校に入学して2ヶ月が経った夏休み前の6月、1年生全学年160名が参加した山の合宿。2泊3日の楽しい合宿のはずでした。

合宿にむけて各クラスでは班分けや、それぞれの役割分担などみんな楽しく決めていました。

小学校の時とはガラリと日常生活が変わり、部活や勉強が忙しく1日をあっと言う間に過ぎて行きました。

だからこの合宿はみんなの息抜きになる2泊3日になるはずでした。

私も大きなリュックパンパンに荷物を入れて当日を楽しみに過ごしました。

そして合宿当日、私達160名は○県z町の山岳の合宿場に向かいました。

「さあ!今日から2泊3日の合宿生活だ!それぞれの班に分かれて決められた部屋に荷物を一旦置いて10分後またここに集合するように!でわ一旦解散!」

先生のお決まりの指示に従い、私達は班ごとにそれぞれ決められた部屋に向かい、みんな荷物を置き片付けていました。

2段ベットが左右に3つずつある1部屋12人が泊まれる部屋が1号室から10号室までありました。

しかし人数の関係上私達は特別いつも使わない部屋11号室に案内されました。その11号室は先輩の話ではいわくつきの開かずの部屋として有名でした。まさか私達の班がその開かずの部屋に泊まることになりました。最初部屋の前に案内された時、異様な感じがしました。まるでそこの部屋だけ違う空間にいるようなとても不思議な感じがしたのを今でもハッキリ覚えています。同じ班の同級生ですら表情を濁していました。

「さあ、荷物を置いて集合場所に戻りましょう!」

「先生!この部屋に泊まるんですか?この部屋嫌なんですが。」

「仕方ないでしょ?人数が多くて部屋がここしか残っていないんだから。」

先生も開かずの部屋の噂を知っている様子でしたが、今思えば私達のリアクション次第ではもしかしたら隣の部屋にギリギリ泊まるつもりでいたのかもしれない。11号室のドアは他の部屋とは違う本当に何年も開けていない事が分かるほど落書きやヒビが入ったドアでした。私達は恐怖と言うよりは好奇心のほうが気持ち的にはありました。

「さて、荷物置いて集合場所にいこうよ!今から登山だー!」

「班長?大丈夫?」

私はもうこの時から嫌な空気を感じていました。

「なんかこのドア大丈夫?触ったら壊れそうなんだけど。」

「もう時間ないしいい加減荷物おこうよ。」

みんな内心開けたくないが本音だったのかもしれません。

私はドアノブを握り、ゆっくり開けました。開けた先に見えた部屋の様子に私達は唖然としました。

人が泊まる部屋ではないと誰もが思う見たことのない不気味な部屋でした。

「何これ・・・。」

ドアを開けると、左右に段ベットが3セットあり、その左右の壁にはビッシリと小さい文字が書かれていました。

しかも、○にたい。その文字は様々な字画で書いてあり、左右の壁一面に、メッセージを残しているように。

「ねえ、この部屋に私達今日本当に泊まるの?先生に言って変えてもらおうよ!きみが悪くて寝れないよ・・・。」

確かにこの部屋は私自身もさすがにきつかったのを覚えています。

「○○中学校のみなさん!集合時間になりました!荷物をまとめた班から集合してください。」

「もうそんな時間なの?ねえ、もうしょうがないみんな一緒だし怖くないよ。2泊でしょ?たった2泊よ。先生も同じ部屋で寝るんだし大丈夫だよ!時間ないしもう荷物整理していこうよ。」

班の中でも比較的活発な紗穂さほ。いつも明るくてクラスの人気者でした。

私も他のみんなもこの壁の落書きが気味が悪いと内心おもいながらもそれぞれのベットに荷物を置き登山に行く用意をして集合場所に向かいました。

「さあ!全員集まったか?班長報告してくれ!」

先生は時間を気にしていました。山の天気は変わりやすく、日没まで帰宅しなければならなかったのです。

「先生!水筒部屋に忘れました!」

「途中沢の水があるからみんなで休憩をするからそこで水分補給すると良いだろう!他にないか?質問など今のうちにうけつけるぞ!」

「・・・。」

いないなら1班から先頭のガイドさんについて順番に進みなさい!必ず前にいる生徒をそれぞれ確認しながら進むよううに!わかったか?」

「はーい・・・。」

「元気ないぞ!さあ、しっかり歩けよ!先生は一番後ろから登る。他の先生方も数名いるから途中気分が悪いなどいたら近くの者が報告するように!でわ、出発!」

先生は全員で7人参加していた。私達11号室の先生は英語を教えていました。

私達のクラスの担任でもあり、ベテランの先生でした。

しかし、今まで同じ部屋に泊まった先生の記憶は転校してから英語を指導していたS先生・・・。

思い返してみるとS先生ではありません。私の記憶の中に合宿に一緒に行った先生は残っていなかったのです。

同じ部屋に当時泊まった先生は私の記憶の先生は転校した学校の英語の先生でした。でも、その記憶の先生・・・。誰か分からない・・・。だけど確かに女の人でした。

私達160名は晴天の初夏の山岳を登り始めました。

「あーもう本当に帰りたい!」

紗穂さほが珍しく1番先に弱音をはきました。がんばりやの紗穂さほが。

「まだ歩き始めて10分も経ってないよ!」

紗穂さほ、の後ろにいるひろが背中を押しながら珍しくはげましていました。

ひろは妹のような存在の子で、小さい体で私達の後ろを付いて歩く子でした。

「沢まで頑張って!そこまで行けば休憩だから。」

みんなそれぞれ班ごとに声をかけながら登って行きました。

出発からどれくらい経ったのか分からりませんがとても長く感じたのは覚えています。

「さあ!みんなー!沢が見えてきたぞー!」

先生の言葉にみんな足並みが早くなり、沢を目指して行きました。

「喉乾いたー!」

確かに初夏の山登りは中学生の体力には正直きつかったです。

「着いたー!すごい景色だねー!」

疲れていた私達の目に写った景色は神秘的な澄んだ水と鳥のさえずり、そして見渡す限りの新緑でした。

「きれいだなー!」

沢の水も澄んでいて太陽の光に反射し、水の流れが私達の疲れを癒やしてくれていました。

「さて、みんな水筒持って来てる奴は汲んでいってもいいぞー!」

「先生!この水飲めるんですか?」

「ここの水は天然の湧き水だ。このまま飲めるんだ。帰りも当然歩きだ!今のうちに水分補給すると良いぞ!」

そうだっった。ここがゴールではなかったんだと現実にもどり少しがっかりしました。

みんなそれぞれ沢の水で喉を潤し、水筒に水を汲み30分ほど休憩をして下山しました。

「みんなお疲れさん!誰も欠けずに下山してるな?班長人数確認して担任に報告ー!」

班長の仕事は本当に面倒くさい仕事ですね。

「よーし!皆無事に帰って来れたようだな!登山疲れただろうから、各自夕食まで部屋で休むのも良し、荷物がかたずいていないやつは、片付けをするなり、自由に過ごしなさい。では、夕食は6時だからみんな送れずに食堂に来るように!いいか?」

「はーい。」

「なんだ?元気ないな。そうとう疲れているな。解散!」

みんな朝の元気も無くなり、トボトボと班ごとに部屋に戻っっていきました。

私達はあの部屋に戻るのが少し抵抗がありましたが、疲れいるせいか早々とみんな戻りました。

「あー疲れたー!」

紗穂さほが部屋に響くように大きな声でした。

「荷物整理しなきゃ!」

ひろは荷物の整理をし始めました。

私はベットの下の段の真ん中に場所を取り、くつろいでいました。

改めて壁に書かれたくさんの落書きをみていました。文字から何か訴える感情が伝わってきました。

怒り、悔しさ、悲しみ、苦しみ私達が持っている感情が壁に隙間なく赤い字で書かれているのです。

壁に刻みつけるように傷がたくさんありました。

「しかし、見れば見るほど不気味だな〜。見渡す限り○にたいとか、○すってかいてあるもんな〜。」

紗穂さほは見慣れたのか壁の言葉をまるで作品を見るように眺めていました。

「怖いよ〜。誰か夜一緒に寝ようよ!」

ひろは怖がっていました。

私も紗穂さほと同じようにベットに横になりながら白壁に書かれた文字を見ていた。

そんな時間もいつの間にか過ぎ、いつのまにか皆疲れて眠っていました。そして夕食の案内の放送が入り、私達160名一斉に食堂に移動しました。

「みんな少しでも休めたか?今日はつかれただろう。夕食はご飯おかわり自由だそうだ!だくさん食べとけよ!明日は他の中学校の生徒との交流会だ。班長は班で考えた紹介をまとめて同室の先生、または、職員一同の部屋に提出してくれ!以上、連絡事項はおわりだ!では、いただきます!」

生徒全員お腹が空きすぎて今思うと先生の話など聞いていなかった生徒がたくさんいたと思います。

食事を済ませお腹が満たされると、私達は自分たちが泊まる部屋の違和感もなくなっていました。

片付けも終わり、食事の後はお風呂に入る予定になっていました。班ごとに順番で入る事になっていたので部屋に戻り待機することにしました。

「あー!お腹いっぱい!でもー、お菓子は別腹ー!」

紗穂さほはベットの上におもむろにリュックからたくさんのお菓子を出し、はしゃいでいました。

「うわー!紗穂さほ、いっぱい持ってきたね!よくリュックに入ったね!」

紗穂さほの荷物はほとんどがお菓子でした。着替えは下着と体操着、洗面道具、タオル、そして水筒でした。

「みんな荷物多いよね〜!2日分必要最小限持ってくれば楽なのに。ひろさー、ドライヤーとかシャンプーとか備え付けてあるのに持ってきてるんだから〜。全く。」

「だって髪はきしむし、顔もツッパるもん!」

「はいはい、お風呂順番きちゃうよ!甘いものは別腹だよね~!要る人!」

そんなやりとりをしながら私達は時間を過ごしていました。

私はそんなみんなを横目に、壁の文字を気にしていました。

「ねえ・・・、みんなこの壁の文字全部違う人書いてない?字体が違うよね。」

私の問いが聞こえないのかみんな楽しそうに笑っていました。

そのとき、ドアを叩く音がしました。

「はーい!」

「お風呂だよー!」

隣の部屋の10班が知らせに来てくれました。

私達は朝早くから半日バスに揺られ、半日登山でしたから皆疲れはてていました。

お風呂は大浴場で天然の温泉でした。皆で入る温泉は本当に気持ちがよく疲れを癒やしてくれました。

「あー!気持ちよかったねー!」

紗穂さほはいつになく上機嫌で他のみんなも楽しそうにおしゃべりをして時間の経つのも忘れていつしか就寝時間になりました。私もそんな皆の姿に安心していました。でも、部屋一面に書かれている文字だけは今の私達の気持ちと真逆のようでした。当時この部屋に泊まった人達はなぜこの文字を壁に残し、そしてどこに行ったのでしょうか・・・。

「さあ!就寝時間ですよー!明日も早いからゆっくり寝て疲れを癒やしてねー!」

私達と同じ部屋に泊まる先生が各部屋に声をかけていました。

その先生の顔は思い出そうとしても今も分かりません。女の先生だったことは覚えているんですが・・・。

就寝時間になり部屋の電気を消して、私達は自分のベットに横になりながら色んな話をしていました。

中学生の女の子の話ですから今も昔もきっと話題は似たようなものでしょう。

「ねえ。今何時くらいかな?」

ひろが時間を聞いてきました。1部屋6名が泊まっていたので誰か1人くらいは時計を持参しているだろうと思っていました。

「何時かなー。誰か時計持ってないの?まー先生が部屋に来ないってことは10時くらいじゃない?」

「そうだね。」

先生は明日の交流会のため、他の先生達と11時まで会議をするそうで、私達は眠いながらも話は尽きませんでした。

そして、時間はどれくらい経ったのか分かりませんが、私を含め3名は寝ていたようです。

紗穂さほひろ、そして私と3名はベットが近かったせいかヒソヒソと話していました。

私は部屋の入り口から右下の真ん中のベット、ひろは入り口から右手間、紗穂さほ、は左下真ん中のベットだったので暗くて顔が見えなくても話は聞こえていたので盛り上がっていました。

しばらく話をしていると、壁を叩くような音が聞こえてきました。

「トントン・・・。」

私達は隣の部屋でイタズラしているんだろうと無視していました。

すると、また壁を叩く音が聞こえてきました。

私達もお返し気分で壁を叩きかえしました。

すると、「トントン」と隣も返してきたので私達は面白くなって今度は少し強めに叩きました。

そんなやり取りをどれくらいしたのか、隣の叩く音が少しずつ増えてきていつしか私達はおかしい・・・。と感じはじめていました。

「ねえ、なんかおかしくない?」

最初に口を開いたのは紗穂さほでした。

私も紗穂さほと同じようにいくらイタズラだとしてもこんなに叩くかな・・・と。

「ねえ、やっぱり変だよ」

寝ていた他の子も起きてしまうほど壁を叩く音が大きくなっていました。

私達が返すのを待っているように何度も何度も叩くのです。

「おかしいよ。」

私もおかしいとはおもいましたが、隣の部屋も私達と同様イタズラやめてほしいと思っているだろうとなんだか申し訳ない気持ちのほうが大きかったのです。

「しばらくしてまたいたずらしてきたら言いにいこうよ。」

私は横になりながら今日1日あった出来事を懐中電灯のぼやっとした明かりの中日記に書き留めていました。

私以外、他のみんなはいつの間にか眠っていたようでした。

明日も早いし私もそろそろ寝よううかな。懐中電灯の明かりを消してベットに横になりました。

いつの間にか私も眠ってしまっていました。

・・・。「トントン・・・。トントン・・・。」

また壁を叩く音が聞こえてきました。

「トントン・・・。」

音は移動しながら紗穂さほひろの寝ているベット、そしてその叩く音はどんどん増えていきました。

「ちょっと変じゃない?おかしいよ。」

たしかに隣の部屋のイタズラにしては度がすぎていました。

「誰か隣の部屋に注意してきてよ!」

ひろがおもむろにボソッと言いました。

「一人で?嫌だよ。皆で行こうよ。」

同じ部屋の仲間も怖がり始めていました。

「そうだね。みんなで様子見にいこうか!」

私はみんなの恐怖心を和らげようとなるべく一緒にいようとしました。

隣の部屋のみんなももしかしたら私達ように感じているのではないかと思いつつ部屋を訪ねました。

そしてドアをノックしました。

・・・。

返事がありません。

紗穂さほ口をひらきました。

「もう寝てるんじゃない?」

「寝ていたらあんなにノックしないでしょ!イタズラなんだからねたふりしてるのよ。」

「そうだよ!」

紗穂さほ以外の仲間達も少しイライラしていました。疲れているのにうるさくて寝れない。

その感情のほうが大きかったのです。

「ねえ、答えないなら部屋に入ろうよ。」

「そうだね。」

ひろは怖がって後ろに隠れていました。

「開けるよー!」

紗穂さほが声をかけドアを開けました。

ガラ!

・・・。

みんな寝ていました。

「ちょっと!寝たふりやめなさいよ!こっちはうるさくて寝れないのに!」

・・・。

返事がありませんでした。本当に寝ていたのです。

そして、私達の声に1人が起きてしまいこう言いました。

「何?何時だと思ってんの?あんたたち私達になにか用?」

「あっ!ごめーん。寝てたよね!ってか誰か壁叩いてない?うるさくて私達寝れないんだよね。」

紗穂さほがちょっと角をたつ言い方をしました。

「はあ?こっちがいい迷惑なんだけど。このとおりみんな疲れて爆睡してるしなんでわざわざあんたたちにいたずらしなきゃんらないのよ!いい加減にしてよ!」

確かにそうでした。私達はそろそろと無言で自分たちの部屋に戻りました。

みんな何も口にはしませんでしたが、内心は同じことを思っていたにちがいありません。

確かに壁を叩いていたのは隣なのに・・・。

私達はまたそれぞれのベットに横になりました。

何分経ったのかいつの間にか眠っていました。

「トントン・・・。」

奥のベットから聞こえてきました。まただ。

「ドンドン・・・。」

???。音はドンドンと壁を叩くと言うよりは何か鈍器のようなもので叩いてるような感じに変わっていました。

「怖いよ。」ひろが起きていました。

「誰か一緒に寝ようよ。」

怖がるひろの隣で私は壁の音が誰が叩いているのか気になって壁に手をあてて誘導していました。

もし、この部屋にいる私の感じている気が人間ではないのであれば私に近づいてくると思いました。  

(助けて。)

私のベットに少しずつ壁を叩く音近づき、そして私の所でとまったのです。

「ねえ。誰か私と一緒に寝てよ!」

ひろは恐怖で震えていました。

私は比較的冷静でした。

「いいよ。一緒に寝よう。」

ひろのベットで寝ることにしました。 

ひろは安心したのかすぐねました。

ひろ寝ちゃったの?」

「うん!疲れてたしね。みんなも明日朝早いから寝ようよ。みんな2人一緒で寝れば安心でしょ?もう寝よう!」

私は沢で汲んできた水を一口飲み、そのままひろのベットに移動して寝ました。

私達は疲れのせいかそのまま朝をむかえていました。

6時の起床のアナウンスが聞こえ目を覚ましました。

すると同室に泊まった先生が何やらバタバタと廊下を行き来していました。

「先生!どうしたんですか?」

「愛!あなたのベット夕べ他に誰か寝た?」

私のベットに誰かいたのか先生はとても怖がっていました。

「先生落ち着いてください!」

「愛、あなたのベットに水筒ある?」

・・・。

「はい。ありますが。」

「夕べあなたのベットに全身びしょ濡れの女の人がいてあなたの水筒の水を飲んでいたのよ。」

「先生見たんですか?」

「・・・、みたわ。」

そうですか。

私は自分のベットに戻り荷物を確認しました。

ベットが濡れていて私の水筒の水のカラになっていました。

「愛!大丈夫?ヤバくない?」

紗穂さほはとても驚いた様子で他の部屋からも騒ぎを聞いてなのか見に来ていました。

「大丈夫だよ。先生、その女の人幸せそうでしたか?」

・・・。

先生は冷静な私をみて不思議だったようです。

私が冷静だったのは部屋に入る前から感じていた気配が11号室のドアを開けた時から目の前にある窓が霧に包まれその中に女の人がいたのです。

私はその女の人が私達を呼んだのだと思いました。

なぜなら先生の後ろにずっとついて来ていた女の人が助けてほしいと沢で座っていました。

「先生、怖がらなくても大丈夫です。私の水筒の水をのんで安心して帰りましたから。」

「美味しい。そう言っていたわ。」

「そうですか。この部屋何故開かずの部屋なのか先生わかっていて私達を泊まらせましたね?」

「そうなの!?先生!」

「愛!」

他の先生達も騒ぎを聞いて集まってきました。

同室の先生が他の先生に説明をし始めました。

「先生方聞いてください。夕べ会議が終わって戻ると愛のベットに女の人がいたんです。私はドアを開けた瞬間震えが止まりませんでした。長い髪の女の人が愛の水筒の水を飲んでこう言ったんです。

(冷たい水おいしい・・・。)」

「・・・。」

周りにいた同級生や先生方は只々驚いた様子で立ちつくしていました。

実際私自身も先生の話に少し驚いていました。

私の寝ている隣の私のベットでそんな事があったなんて考えもしなかったからです。

「愛!大丈夫?」

紗穂さほが私の顔を除きこんで言いました。しかし私は全く動じていませんでした。小さい時から霊視体質だった私はこの11号室にいる女の人が私を頼って導いていたんだと思いました。

11号室は昔は登山者が宿泊していました。しかし、途中滑落自己や自○してしまった人達がこの部屋に帰って来るのです。

生前会いたくても会えないでこの世を去ってしまったり、喉が乾いたまま事故にあって去ってしまった念が強く、気づいてほしくて壁をノックしていたようです。

私達は合宿かの帰り道同じ道を通ってバスにゆられて帰りました。

帰り道にはあなた一人だけいますか?

いや、帰り道だからこそ一緒に帰りたい人がいるのです。

だから判断して下さい。

後ろを振り向かないで、怖がらないであなたの帰り道、まっすぐ帰ってください。いつも見守っていてくれています。きっと・・・。







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