表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/3

後編

   

「あっ、来ましたよ」

 階数表示ランプの『5』が明るくなり、喜恵は嬉しそうな声を上げる。

 ひとまず裕子も、心の中で沸いた疑念を忘れることにした。

 チンと音がなってドアが開く。一階から上がってきたエレベーターは、二人の女性を運んでいた。

 509号室に住む細田姉妹だ。妹は高校生で、姉は証券会社に勤めているという。少し年齢の離れた姉妹だが仲は良く、二人一緒に行動している姿が頻繁に目撃されていた。

「こんにちは!」

「……」

 朗らかに挨拶する妹と、無言で会釈する姉。

 裕子と喜恵も「こんにちは」と口にしながら、二人と入れ違いに、エレベーターに乗り込んだ。


 エレベーターが降りて行き、裕子と喜恵の姿が見えなくなった後。

 細田姉妹はチラリと後ろを振り返り、少し困ったような顔で言葉を交わしていた。

「ねえ、お姉ちゃん。今の人、503号室の奥さんだよね?」

「そうね」

「お姉ちゃん、せっかく用意した手紙、間違えて今の人のところに入れちゃったんでしょ?」

「そうよ。504号室へ投函したつもりが、一つ隣の503号室へ……。痛恨のミスだわ。今からでも『あれは間違いでした』って書いて、投函しておこうかしら?」




(「あなたの夫が同じ階の住人と浮気しています」完)

   

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ