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伝える練習

 気分転換の為に、セレネーの空想の世界へ来た2人。

 今回は花が漂う海を眺めれる場所だ。落ち着く香りと優しい音で癒される。春のように暖かく、散歩や休憩に適した場所。この場所を想像出来るセレネーを憧れるE-H。


「素敵な場所ですね。……私もセレネーさんみたいになりたいです」


少し悲しそうに微笑むE-H。前を見て歩き続けるセレネーはE-Hの表情に気づかない。


「私はE-H様のようになりたいです」


「どうして……?」


「私は生物ではないので感情を理解出来ません。だから、私はE-H様のようになりたいと考えます」


 こう言ったセレネーさんは、表情が少し強ばった気がした。


「感情は理解しなくてもいいと思います。感じるものだと私は思ってますよ」


 自然が耳を癒す。


「左様でございますか。私には理解し難いことです」


「ふふっ……私もよくわからないです」


 自分でもどういう事かわからないが、何故か心の底からそう思った。セレネーさんは言葉の意味は分かっている。だが、なぜそう思うのか分からず困惑しているように見えた。


「私も今は生物ではないです。人間だったのかもしれないけど、ほとんど覚えてません。なので、一緒に分かるようになりませんか?」


「何をですか?資料があることはお教え出来ます」


「あ……そういう事ではなく、どう言ったらいいのかな……へへっ……」


 後頭部を触りながら話すE-H。セレネーは最後まで聞こうと黙って見つめる。それに気づいたE-Hは目を逸らし、また話し出す。


「えと……資料を読むのもいいですが、他にも一緒にしたいことがあります。その……まだ具体的な例は思いついていないのですが……えと……さっき、チェロを演奏している時、すごく楽しかったので……その……一緒に何かしませんか?」


 ふとセレネーさんの顔を見た。表情に変わりはないが、なんだか少し柔らかい雰囲気になった気がする。


「承知致しました。では、気になることはありますか?それを一緒に行いましょう」


「へへっ……ありがとうございます」


まどろっこしいが、これが2人のペース。ゆっくり慎重に歩み続けよう。続けるのが一番難しく、大切なこと。2人なら出来そうだ。


「あの……気になることなんですけど、いくつか伝えていいですか?」


「いくつでもお伝えください。全て体験してみましょう」


 気になることをリストにしてみたら、芋づる式で沢山思いついた。チェロに興味を持つきっかけになった小説にも興味を持ち、小説の中に登場した物や生物に興味を持ち、1つずつゆっくり焦らず書き留める。

 気づけば個性が1つ出来ていた。


「こんなに沢山体験できるんでしょうか? 」


「安心してください。E-H様には時間があります。全て体験出来ます」


「よかったです。セレネーさんは何をしたいですか?一緒に出来ることはたしか……」


「いえ、私は個体様ではなく、案内人ですので体験はしません。E-H様の好きなようにご体験なさってください。困ったことがありましたらお伝えください」


「え……私はセレネーさんと一緒に……」


「E-H様。それでは地球へ生まれた後、生きるのが難しくなります。お会いした時にご説明した通り、私は案内人、個体様が地球へ生まれた後は個体様をお守りする守護者となります。地球へ行けるのは私の意識のみです。地球ではE-H様おひとりで生きていきます。ご理解頂けますか? 」


 E-Hの反応は無い。E-Hの手に触れ、膝を地面に着け、E-Hと目線を合わせるセレネー。


「生きることはとても不安ですよね。私を頼りにしてくださるのは大変嬉しいですが、今のままではE-H様は地球で孤独になってしまいます。それは私もとても辛いことです。ここでは私がいます。たくさん練習しましょう。演奏会……地球へ向けて、色んなことを体験しましょう。ここで体験したことは全て糧になります。無駄なことなんて1つもありません。きっと地球で役に立ちます。下手で構いません。体験することが大切なのです。いかがですか?練習、なさいますか? 」


 セレネーはE-Hの手を強く握る。無いはずの肺が静かに動く。


「……生まれたくないです」


 そよ風の音にすらかき消されてしまいそうな声で意思を伝えた。嫌な思いをさせたかもしれないと不安になり、手を後ろに引こうとするE-Hだが、離さまいともう一度強く握るセレネー。

 手とは反対に優しく声をかける。


「理由を教えてくれますか?」


「……怖いからです。何故かはわかりません……セレネーとなら、生まれたいと思います」


 嘘ではないと信じてもらいたいからか、目を合わせ喋るE-H。やっと表情が分かったセレネーは安心から笑みが溢れる。また安心して欲しいと願うセレネーは、E-Hに考えを伝える。


「わかりました。今の気持ちを教えて頂きありがとうございます。気持ちや考えの整理の仕方も練習しましょう。E-H様なら出来るようになります。大丈夫です」


 まだ安心はしていないが、少し気持ちが軽くなったような気がしたE-H。

 E-Hの気質を理解しようと、努力するセレネー。


 まだ分からないこともあるが、焦れば焦るほど振り出しに戻るかもしれないので、今こそゆっくり休憩しながら前に進もう。前に進むことが一番難しいかもしれない。


 2人なら安心できる、1人なら冷静になる、他にもあるかも。そうね……1人に慣れる準備もしないと。そう考えるE-H。

 次はなにをしよう。

あけましておめでとうございます。

もう1月も半ばですね。

ご挨拶が遅くなり申し訳ございません。

皆様、ご体調を崩さないようお気を付けてください。

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