増える喜びと不安
前話から時間が開いてすみません。
言葉が気に食わなくて少し迷ってました。
読んで頂けると嬉しいです。
音楽部門の資料がある所に着いた。まずは気になったチェロの資料を見ることにしたE-H。セレネーは気になるであろう資料を先に準備しておこうと探している。黙々と資料を読むE-H。チェロの歴史、作り方、演奏者など、1文字も零さないように丁寧に読み拾う。
「少し休憩しませんか?没頭することはとても大切な事ですが、休憩する事も大切です。いくらこの世界で疲れが溜まらないとは言え、今習慣付けとかないと生まれた時に健康的な人体になりません」
「キリのいい所まで読んでから休憩します」
「わかりました。では、そのページを読み終わったらにしましょう。貴方のことですから、その持ってる資料を読み終えてからと考えているでしょう?」
「なんでわかったんですか…もうこのページは読み終えました。休憩します」
「貴方の案内人ですから。では、景色を見に行きましょう。自然は目を癒しますよ」
「自然があるんですか?」
「あります。滝がある森へ行ってみましょう。癒されない場合は言ってください」
「わかりました」
深呼吸して目を開けると、森の中にいた。鳥の声や葉が擦れる音、ロングTシャツ1枚で丁度いいくらいの気温、土の匂い、鮮やかな植物が心を満たす。視覚聴覚嗅覚、感じる全てが心地よい。
E-Hは少し目を輝かせた。セレネーはE-Hの表情の変化を見逃さず、良い方向へ進んでいることを確信した。詳細の変更が必要かもしれないが、今は変更せずこのまま良い状況を続けようと考えている。今後は色んな森へ休憩しに行こう。
この世界で集中することと休憩することを無意識に組み込むことで生まれた後も無意識に行うことが出来る。息をしていることと同じように。だが、たまにエラーが起きて生まれた後で無意識に出来ない個体もいるそうだ。
「そろそろ休憩を止めても構いませんが、いかがしますか?もう少し休憩しますか?」
「いえ、ちょっと気になることを思いついたので、そろそろ戻りたいです」
「かしこまりました。では、先程と同じ場所に戻りますね」
2人は資料室の音楽部門に戻る。E-Hは楽器編から楽曲編に移動する。
楽曲編は、作曲家や楽曲の資料がある場所。E-Hは端から楽曲を聞きながら作曲家の生い立ちなどを読む。作られた時代についても気になったものは読んでいた。セレネーはなるべく先読みして行動していたが、E-Hの個性が出来てきて先読みしにくくなった。
音楽の世界に入り込むE-H。少しずつ個性を作り始めるE-Hを見て、嬉しく思うセレネーだが、時々寂しい気持ちが出来る時があり、システムにバグがあるんだ。と、気持ちに気付かないフリをしている。本来は生物では無いので、感情を抱かないはずだが、ごく稀に感情を抱いたままの案内人がいる。管理部の判断で排除されるのがほとんどだが、これまたごく稀に排除されずに案内人を務めている者もいる。なので、ある意味バグは無く、皆正常なのだろう。案内人として、役目を果たすことが出来ると判断されたから、案内人を務めているということだ。もし、感情を抱いている案内人がいたとしても、システムで生物では無いという先入観を持っており、短時間ではその感情に気付けない。実は全案内人が感情を抱いているかもしれない。それに気づけるのは個体のおかげかもしれない。ペアによるだろうが、案内人にも個性がある。この世界は個体の為だけではなく、案内人の為でもあるだろう。真実は管理部しか知らない。
かれこれ数時間、資料を読み続け、2人は情報を集めている。E-Hはまだ生まれるために必要な個性が足らないが、音楽という個性が出来て色付いてきた。セレネーも同じように感情豊かになってきている。
セレネーはE-Hの他の個性が出来ることを見越し、他の情報を集めようと考えるが、所詮システム、案内人なので、個体の気持ちにはなれない。なので、複数の行動パターンを考える。食べ物や植物、生物についてしっかり知るなど。食べ物を実際に食べることは出来ないが、匂いを嗅いだり、作ったり、触ったりは出来る。生まれれば、食事は必ず行う大切なことだ。好みは食べてみないと分からないが、少しの興味は必要ということは分かる。このような感じで生きるために必要な物を優先して考え、リストアップしていく。
実際に必要な事はやってみないと分からない。セレネーは守護者としての経験はあるが、全てリセットされるので、この場合、経験は全く意味が無い。なので、生まれてからは全て個体自身が決め、行動するしかない。最低限死なないために守ることしか守護者は出来ない。必要かどうかは、誰も分からない。
さて、あれからまた数時間経ち、2人は休憩をしている。別の景色を見に来たそうです。そこで、2人は何を話すのでしょう。
次は何をしよう。
読んで頂けて嬉しいです。ありがとうございます。