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自分の変化を

お久しぶりです。

前回から長い間が空いてしまって申し訳ないです。

まだまだE-Hとセレネーの物語は続きます。

これからも2人を見守っていただけると嬉しいです。

「他にも大切なことが……それが何かいつか自分で気づけますよ」


 セレネーのこの言葉が頭に残り続け、目の前のことに集中出来ずにいたE-H。


 教えて貰えずとも意識しているから、結果は同じだったかもしれない。だが、自分で気づくことの楽しさと、聞けば知れることばかりではないということをセレネーはE-Hに理解してほしかった。

 こう思ったセレネーはなぜこんなに個体の性格構築を熱心にしているのかという自分の感情に戸惑いながらも、自分も地球で過ごす時のため。と、感情の制御システムを構築することを自らに課した。だが、システムの構築を何度試してもエラーが出て、アップデート出来ない。簡易的に本部へエラーを報告すると、思いもよらぬ返信が来た。


「それはあなた自身が最初に設定したでしょう。お忘れですか?」


 そんなはずない……私自身で感情の制御システムを構築できないように設定するなど、あまりにも感情的すぎる。私はなぜそんなに感情的になっていたのだろうか。以前の私はナニを思ったのだろうか。今の私には理解出来ないことなのか。理解出来ないのはなんだか……感情が動きます。

 ……なぜこんなに感情に対して執着しているのだろう。システムは問題無いとわかったのだから、思考することを終わりにしよう。疑問点はなくなったのだから。


 数分に一度私のことを見てくるE-H様。そろそろ休憩を辞めてもいいか聞いてくるだろう。人間の癖というものは興味深い。私にとってのシステムみたいなものだろうか。


「セレネーさん、そろそろ休憩を辞めて体験を再開してもいいですか?」


「はい、では深呼吸をしてから体験を再開しましょう」



スーッ……ハァーッ………


「再開する前に一つ、ご提案がございます。休憩方法についてなのですが…」


あからさまに顔を歪めるE-H


「……聞くだけ聞きます」


「ありがとうございます」


セレネーが提案した休憩方法とは


その一、一時間毎に五分の休憩

その二、五時間毎に一時間の休憩


「一つって言ったじゃないですか」


「休憩方法の提案についてのお話です。話題は一つです。どちらになさいますか?」


「その二」


「だと思いました。では、再開します」


「最近のセレネーさん好きじゃないです」


「おや、少し前の私を好きだと思っていたのですか?感情が芽生えてますね。素晴らしい成長です」


「いや、的確な言葉が見当たらなくて、感情の芽生えだとは思うのですが、好きなのかはわからないです」


「そちらに関しては次の休憩後に調べてみましょう」


「感情はそんなに大切なことですか?」


「はい。感情を言語化することも大切です。なので、感情についてもう少し理解を深めることをおすすめします」


「感情を言語化……?」


「はい。感情を言語化すると他人に伝えることが出来ます。そうすると問題が解決したり、状況を把握したりすることが可能です。感情は目に見えず、音もしません。なので、言語化することによって、目に見え、音になります。そうしないと他人と共存できません。なので、とても大切な行動です。現在、生存している人間を見てみると、この感情を言語化することが出来ていない人間が増加しております。当たり前で簡単なことなのに難しいことだと錯覚しているようです。時代の変化でしょうか…人間はとても複雑な生物です」


「私も元は人間として生きていたんですよね?私に感情を言語化することができるのでしょうか…?もしかしたらここでの経験が全て無駄になるのでは無いかと……」


「無駄にはなりません。ここでは性格の構築を目的としています。目的とは言っても生まれるために必要な過程のようなもので…習うより慣れろということに近いかもしれないです。人間を見てみますか?今の貴方は最初の貴方とは違い成長したので、感じ方が変わってるかもしれません。今のE-H様の感覚を確認してみませんか?様々な体験は正直に言いますと、ここではなく地球でも出来ます。時間に限りがあり、それは寿命というもので現代の人間の平均寿命は80年だそうです。病気や事故に遭わなければの話ですが。なので……」


「やはりここでの体験は無駄なのでは……」


「胸を張って無駄ではないと断言します。ここでの体験によって構築した性格は間違いなくE-H様の一部となり、切っても切り離せない、変えることが出来ないものです。お守りにも呪いにもなります。体験ではなく体験によって得た感覚が大切なのです。ですので、体験は無駄ではないと断言します。さて、どうします?時間に限りがない今、どの体験をしますか?」


「そう言われても何をすればいいのか……」


「今、何がしたいですか?」


「今は………」


 そう言い黙り込んでしまったE-H。ここに来た時から変わっていないこともあるが、間違いなく表情が豊かになった。やはりここでの体験は無駄では無い。だが、本人が自分の変化に気付くことはまだ少し先の話。

 次は何をしようか。

読んでいただきありがとうございます。

次回の2人を見守っていただけると嬉しいです。

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