第9話
「やっほーっ。はじめましてだね。正直、権力を振りかざすのは好きじゃないから、最初で最後の忠告だよ? 僕はディアボロス。名前はない。悪魔の地位で言えば、下位のサキュバスより、全然上位の悪魔さ。見て理解る通り、時間だって止められる。だから、僕の言うことに逆らわないでね?」
これが現実であり目の前にいる名探偵コ○ンに似た子供が恐ろしい悪魔だと本能が訴えている。
「わ、わかりました…」
「うん。飲み込みも早いし、素直で助かるよ」
名前のないディアボロスという悪魔が指をパチンと鳴らす。
梨里子の制服どころか下着も消え去り全裸になる。
再度、ディアボロスが指を鳴らすと、とても体を隠すと目的とは言えない紐状の下着で、かろうじて女性の特徴を隠していた。そして…体に尻尾と翼が生えていた。
「それが本当の君の姿さ。だけど、君のお母さんからの強い要望で、その姿は封印させてもらうよ。君を人間として寿命を全うさせたいんだって。だから本来のサキュバスの本懐も矜持もありゃしない。つまり男の精を搾り取ることをさせたくないんだよ。それが優しいのか僕にはわからないけどね。だけど、人間の姿のまま使える9つの能力は、使っても構わないって」
何と答えて良いのかわからずに黙っていると、名前のないディアボロスという悪魔は、テクテクと歩き「じゃ、チュートリアルいってみようか!」とニヤニヤしながら言った。
「君には婬魔の能力が5つ。夢魔の能力が4つ、生まれつき備わっている。まずは…婬魔から練習しようか」
伊藤さんを教室の窓際に立たせ、私に距離を取るように言ってきた。伊藤さんだけは、時間停止から開放されて、私と悪魔を見て驚く。
「リリス!? その格好はどうしたの? 何でみんな止まってるの?」
「ちょっと君、煩いよ? 今、練習中だから静かにね」
少しだけ思い口調で言っただけなのに、伊藤さんは怯えるよに頷いた。
「まずは1つ目の『淫魔の瞳』だ。相手の全てを知りたいと思いながら見てごらん」
全てを知りたい? 例えば…おっぱいの形とか?
ビョン!! と、伊藤さんの裸が目の前に浮かんだ。
■淫魔の瞳:対象の姿をホログラフィーのように眼前に表示させる。
その姿は全裸であり性感帯が青白く強調される、
「えっ。これは…!? 何ですか??」
「ふふっ。2つ目は『婬魔の指』だ。青白く強調される部分を撫でてみて」
伊藤さんのホログラフィーの青白い部分を撫でると、「ア、アンッ!!」という可愛い声と共に、本体の伊藤さんの体が震えた。
■婬魔の指:婬魔の瞳で浮かび上がった性感帯を刺激することができる。
「あまり悪戯に使わないでね。人間界ではとても強い力だから」