第5話
手紙を再び見ると、昨日は何も書かれていなかった手紙に文書が?
『私の愛する梨里子。お誕生日おめでとう。
あなたは異世界のサキュバスである母の私と人間界の父の間に生まれた子です。
16歳になるまで悪魔の力を押さえられずに、人から疎まれて大変な苦労をしたと思います。
これからはサキュバスの力が覚醒して、悪魔の疎まれるオーラをかき消すことで、人を魅了する力だけが残り、人々に囲まれて生きていけるでしょう。
これから様々な力が目覚めますが、この世界では持て余す力ですので、多用は厳禁です。
この手紙は魔界から特別に出させてもらったのです。あまり長い文章は書けません。
最後に、私達が死んでしまい苦労ばかりかけてしまいましたが、あなたが幸せな人生を過ごせるように魔界の奥からお父さんと一緒に祈っています。
母より』
手紙を読み終えると、手の中で青く燃える炎に包まれ手紙は消えてしまった。その炎は母の温もりと香りを伴っていた。
「お母さん…」
その場に座り込み、ギュッと両手を握る梨里子。
今までのどうして嫌われていたのか、突然友達が出来たのは何故か、全ての悩みと疑問が解れて消えていく。歪んで軋んでいた世界が、再生して動き出した。
悪魔の疎まれるオーラで隠され自覚もないが、容姿A、知性B、運動C、カリスマSという驚異的なステータスを誇る。
「ありがとう…。私、がんばるよ」
◆◇◇◇◇
「おやよー」
教室に入ると、梨里子は自分から伊藤さんに声をかける。
「お、どうした? ボッチ卒業できたからイメージチェンジしたのか?」
うん。ジョブチェンジだよ。と、心の中で呟く。
笑顔を振りまく梨里子に、教室で振り向きもしなかった男子達が、まるでアイドルでも入ってきたかのように驚き見つめていた。
注目を浴びる梨里子は知らない。人気が出るということは敵を作るということ。しかも運が悪いことに、生まれたっての雛と変わらない梨里子は、敵から身を守るすべを持たいない。
教室のバランスが崩れる前に、それを感じる種族がいる。梨里子も感じることが出来たはずなのに、今ではジョブチェンジしたため失われた力。
「斎藤さんも同種だったはずなのに…」
そう呟き、爪がめり込む程に拳に力を入れ、悔しがる者がいた。




