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第3話

 幻聴じゃない!? まさか、人がいたなんて…。恥ずかしさのあまり、布団の中に避難する。だ、誰だった!? 声、声は…。高くて…元気な声だった。


「おーい。大丈夫かーっ!?」


 パンパンと布団を叩いてくる。しかし、そのままジッと動かないでおこう。誰か知らないけど、言ってしまったものは取り消せないし、もう…教室中に広まるのも、私には防ぐスキルがない。


 不意に足首を捕まれ、土踏まずをくすぐられる。


「フ、フフフッ、ワ、ワ、ワヒャヒャッァァ! や、止めてぇ〜!!」


「なら、布団からで出てこい」


「わ、わかった、だ、だから、止めて!!」


「何で、正座?」


 布団から出て、無意識にベッドの上で正座していた。


 話しかけきた子の顔を勇気をだして見る。あぁ…また、上位ランカーか。伊藤 姫。ステータス的には、容姿A、知性C、運動B、カリスマBだ。可愛い容姿で皆から守ってもらえるタイプだ。


「あの…。さっきの独り言なんだけど…」


「だから、良いよ。友達になろう!? いや、彼女になってください」


「へっ?」


「ほら、私って自他ともに認める百合なんだけどさ。実際、百合の人ってオープンにしないし、例えそうでも違うって言うし、でも私は諦めない!! きっと…何処かに!! という理由で、弱っている女子を解放してゲットするために保健委員に立候補したんだけど、早速釣れるとは…運が良い」


「えっ!? えぇぇぇぇっ!? ちょっと、伊藤さん、それ、ぶっちゃけ過ぎてませんか!?」


「そう?」


「は、はい…」


 両肩を押されベッドの上に倒される。伊藤さんのクリクリした瞳の奥に獲物を捕獲する野生の獣がいた。


「ちょ、ちょっと…。わ、私はノーマル。百合は駄目!!」


「じゃ、百合の意味知ってるのは何故? 興味があるからじゃないの?」


「ち、違います。と、友達がいないから、ネ、ネット小説を読みすぎて…知ってるだけです。しかも偶然に出て来ただけで、それ関係を読んでいたわけじゃないです!!」


 私の話に興味がないのか、説明が下手なのか、スルーする伊藤さんは、体を重ねギュッと抱きついてきた。


「梨里子はおっぱいでかいし、良い匂いだな」


 おじさんの言い方!! 何でストレートなの!! 恥ずかしさのあまり顔が真っ赤になる。伊藤さんは首筋に鼻を持ってきて、クンクンと匂いを嗅いでいる。


 パコンッ!! と、良い音がして、「姫。何してるの!!」と藤宮さんの声がした。


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