第21話
「私の力? 私は…幸せになれるの?」
「あぁ。先ほど説明した通りだよ。他人を無視して、自分ばかり幸せになろうとする君には、一生訪れることのない幸せを、このサキュバスの彼女が届けてくれたのさ。感謝するべきだと思うがね? ここまでした彼女を…彼女の望みを叶えられなければ、君は…一生そのままさ」
パァッと明るくなる中田さんに、「騙されては駄目よっ!!」と声がかかる。
片翼の天使? よく見れば…あかねだった。
「この悪魔に唆されて、能力を使い続ければ、貴方達は…取り返しの付かないことになる」
「ほほほっ。それは…貴方のことでしょうか? しかし、彼女たちは…見ての通り、悪魔の末裔。貴方のような堕天使とは違うのですよ?」
「お願い…。私を信じて…」
「嫌よ! 藤宮さんには…私の辛さが理解できるはずがない!! いつも…誰かが回りにいて、慕ってくれる…そんな人にわかるはずがない!!」
「リリス…。私は…お願いしたはずよ。犯人がわかって優しくしてあげてと…」
「ご、ごめんなさい…。自分の力に溺れてた…」
「見て、中田さん。リリスだって知らないうちに、力に飲み込まれているの。力を使えば、使うほど…人間ではいられなくなるのよ!?」
「さて。僕はそろそろ帰るよ。後は君たちの問題だからね」
名前のないディアボロスという悪魔は、満足気に手を振りながら消えて行った。
苦々しい顔で悪魔を睨むあかねだった。
「お願い。中田さん。明日、全てを話すわ。それでも…力を使うと言うなら、私には止められない…。でも、明日、話すまでは…我慢して」
「わかったわ。そこまで言うのなら…。私は皆の願いを叶える力を持ったんだもん。藤宮さんの願いも出来るだけ叶えてあげたい」
「リリスも一緒に来てね。貴方は能力を使わないと思ってたけど、私が甘かったわ」
◆◇◇◇◇
翌日。藤宮 あかねという存在は綺麗サッパリと消えていた。姫ですら覚えていなかった。
間違いなく悪魔が関係しているのだろうけど、私にはどうすることも出来なかった。
それでも日常は変わらず進む。
梅雨が開け初夏の暑さで体がだらける季節に恋心が芽生えた事に気が付く。
ソレは芦屋さんの何気ない一言。
「ねぇ。リリスって、ずっと目で追いかけているけど…木下の事、好きなの?」
「へっ?」
「ちょっと、あんなのの何処が良いのよ?」




