第七話
「足は大丈夫ですか?」
「はい、道行きたびたびジェラール様のマナを注いでいただいておりましたから」
「傷自体はまだふさがっておりませんから、軟膏を塗りなおしましょう」
楚々と頷いて、ララが足を差し出す。
先だって処置した時は気にしなかったが、改めて見ると、その仕草には色香があった。
ララも緊急ではなくなった事態で素足を差し出すことに恥じらいを覚えているようだ。
またその恥じらいが艶になった。
ジェラールは努めて心を平静を保って跪き、ララの足の包帯をほどく。
そこで、主人が水を張った桶と布を持ってきてくれた。
「ああ、痛そうだね」
「見た目ほどは、ひどくございませんわ」
「旦那さん、薬はあるのかい?」
「はい、修道院で調合をしていただいたものが……あの、ご主人、我々は夫婦ではないのです」
「おや、そうなのかい。てっきり夫婦で巡礼をしているように見えたよ」
そう言い残した主人の台詞にぽっと、ララが頬を桜色に染めた。
咳ばらいをひとつはさみ、ジェラールが桶の水で傷回りを洗い、改めて傷へマナを注ぐ。
それら軟膏を塗布して、布を巻いた。
手慣れたものだ。
「ありがとうございます、ジェラール様」
「なんの、これも神の思し召しですよ」
「それでも、お礼を言わせていただきたいのですわ」
しずしずと、さらしていた素足を裾の中に隠しながら目遣いに見てくるララはなんとも可憐だ。
どきどきしそうになるのを誤魔化すようにジェラールが立ち上がり、階段の方を見る。
「昼食がまだでしたね。ご主人にお願いして用意していただきましょう」
そそくさと一階へと降りていくジェラールの背を、ララは艶然と目を細めて眺め、舌なめずりをした。




