表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
旅のジェラール  作者: ローリング蕎麦ット
57/244

第五十五話


 ひとしきり再現を終えれば、メルルナも自身で拳をなぞり始める。


 ふたりで逐一、武学と照らし合わせて技の変化を予想していく。


 それが終われば、メルルナが頷いた。


「今のララとほぼ互角と言えましょう。追い詰められたのは、兄と一緒だったからでしょうね」


「私もそう思います」


「しかし今ダズーは単独で隊を仕切っているようです。不意打ちができれば、まず勝てるでしょう。四手か五手、有効な技を教えておきましょう」


「ララ殿はダズー殿とその兄に、襲われていたことがあります。やられっぱなしにならぬよう、今回の任務ということですか?」


「そうですわ。副導師になるのですから、舐められたままでは務まりませんもの」


「……殺した方が都合が良いですか?」


 ジェラールが、何気ない調子で尋ねた。


 メルルナはそれに媚笑を返す。


「アスモデウスの使徒の勝利は、情事の勝利。命のやり取りが本質ではございませんわ」


「では」


「ララには、ダズーを搾り尽くして連行すること、と申し付けましょう」


 ジェラールが十字を切った。


「ああ、しかし人が足りないですわ」


 そんなメルルナが、これ見よがしに頬に手を当てて憂い気な溜息を吐く。


「ダズーひとりなら、ララで大丈夫と思いますけれども、取り巻きもいるでしょうねぇ」


「そうでしょうね。ダズー殿も、隊ひとつ任されておかしくない実力はありましたから」


「ああ、ララがせっかくダズーに勝っても、取り巻きにやられちゃわないかしら」


「……」


「逆に取り巻きのせいで、ダズーに不意打ちもできずに返り討ちにされないかしら。心配だわぁ」


「……あの、メルルナ殿」


「せめてララがダズーに集中できるための、護衛がいればとぉってもわたくし安心できるのですけれども」


「……」


 白々しすぎるメルルナに、ジェラールが溜息を吐き出した。


「分かりました、同行しましょう」


「まぁ、ジェラールくん、悪いですわそんなアスモデウスの使徒の仕事を……」


「ではララ殿おひとりで……」


「男の子が前言を翻すの?」


「分かりましたよ!」


「うふふ、いい子ですわね」


 メルルナが悪戯っぽく笑って、机の上の鈴を鳴らす。


 すぐにセドリックがやってきた。


「セドリック、ララを連れてきてちょうだい」


「かしこまりました」


 一礼と共にセドリックが身を翻す。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ