第四十九話
黙りこくるジェラールに、メルルナがくすりと微笑んだ。
「うふふ、催しの後のみぃんなで仲良しを致しますお泊り会までは、無理強いしませんから」
「……ありがとうございます」
後頭部をひっかくジェラールへ、セドリックが一枚の羊皮紙を差し出す。
「ジェラール殿の風評ですが、この回書が各地の教会に散っています」
羊皮紙に目を通せば、ジェラールがメルルナを聖ミカエルの山に手引きしたことになっていた。
見つけ次第、捕らえてフォルセウスに引き渡すように、とのことだ。
「まぁこうなりますよね」
「わたくしの寝床でかくまって差し上げてもよろしくてよ?」
からかう調子のメルルナへ、いいえとジェラールが首を振る。
「暴露するつもりはありませんから。それを分かっていただいた上で、なんとか撤回していただくようにフォルセウス様に掛け合ってみますよ」
「楽観しすぎではありませんかしら? わたくしを慰み物にし続けたなんて醜聞を握られるなんて、もう斬るしかなくってよ」
「それは、もう一度落ち着いた状態のフォルセウス様と話をした上で判断しますよ。ユーグ殿とお会いして、その次に、という順番ですが」
「命知らずね」
「二回目の命みたいなものですから」
溜息を吐くジェラールの脳裏に、もうひとつ浮かぶものがあった。
「そうだ、セドリック殿、もうひとつお願いしたいことを思い出しました。人を探して欲しいのです。おそらくそろそろ、アヴランシュの町に来ると思います。その方に手紙を届けていただけませんか?」
「それが先程おっしゃっていた待ち人でしょうか?」
ジェラールが頷く。
「はい。名をギィという、私の兄弟子です」




