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旅のジェラール  作者: ローリング蕎麦ット
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第四十話


 ばしゃんと、着地した時にはもう腰にまで海が来ている。


 ここまで海水がくれば、ミカエルの刃を撃つために腰を据えねば剣勢が安定しない。


 先程のように追いながら撃ってくるのは無理のはず。


 ジェラールは、ララを助けながら海上を何歩か走る。


 ずっと走り続けていられるわけではないので、何度かは海に沈んでしまうが修道士達よりもずっと早い移動だ。


 ララの方も、黄天派の身ごなしほどではないが修道士達よりも速度がある。


 そしていよいよ、逆巻く波が人を飲み込むだけの高さになった。


 ジェラールとララは、少しばかりの水泳で向こう岸までたどり着く。


 修道士達は、聖ミカエルの山と海岸の中間あたりで波に飲み込まれてしまった。


「ぷはっ! 神よ、どうかあなたの下僕達を無事に帰したまえ」


 浜にたどり着けば、ジェラールが修道士達へ十字を切る。


 そこへ、灼熱の殺気がびりびりと届く。


「げぇっ!? フォルセウス様!?」


 アヴランシュの町から、浜へと下る道を猛然と駆けてくる赤い威容。


 その顔面は真っ赤になっている。


「ジェラール殿、いかなる申し開きもあたわず!!」


 まだ距離があるというのに、大音声が腹にまで響く。


 百歩の距離が開いているのに、フォルセウスが剣を振りかぶった。


「いけない!」


 ララとメルルナをかばいながら、とっさに横に跳んだ。


 その隣を、建物すら両断するのではないかと予感させる斬撃が通り過ぎる。


 巨人の剣が残したような跡が浜に刻まれるほどの、ミカエルの刃。


 流石、フォルセウスの一撃は別格だ。


「フォ、フォルセウス様。なにとぞ剣を納めてください! フォルセウス様の愛も、悪魔の教徒達も報われるべき道があるはずです!」


「問答無用!」


 愛と言葉にされて、フォルセウスの殺気が膨れ上がった。


 真紅の外套を翻して、ジェラールへと猛然と斬りかかってくる。


 ギィン


 その剣を受け止めた者がいた。


 ユーグである。


 幻のように現れた枯れ木のような男が、唸り声をあげる双剣を重ねてフォルセウスの剣を受け止めていた。


「ユーグ殿!?」


「行け。メルルナに傷一つつけてみろ。お前は地獄以上の苦しみを与える」


 フォルセウスの剣を弾き、ユーグがジェラールを守るように立つ。


 いや、ジェラールに背負われている、メルルナを守っているのだ。


 フォルセウスが、顔をどす黒い色にすらして剣持つ手を震わせる。


「父と子と聖霊の御名において、お前を誅する」


「父も子も聖霊も迷惑だろう、お前の痴情の言い訳に使われるのは」


 激情の剛剣がユーグへと送られた。


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