第三十話
少年達自身が、改めて悪魔の教徒達に対する考えを論ずる空気の中。
鋭い舌打ちと共に現れる者達がいた。
「お前達、いつまで騒いでいる。もうすぐに終課の時間だ」
見遣れば、何人かの中位弟子に相当する修道士達がいた。
青年や、ジェラールよりもいくらか年下の者達である。
少年修道士達は、一斉に身を緊張させた。
下位弟子は、中位弟子に厳しく教えられているのだろう。
「ジェラール殿、あなたはベルゼブブの使徒ですか?」
「えっ!? いいえ、違いますよ」
「では、何故ベルゼブブの使徒の武術を使うのですか?」
「いえ、あれはきちんと修めているわけでなく、覚えている形を再現しただけで……」
「それで下位弟子が先入観を持ってしまい、実戦で大きなしくじりをしないと言えますか?」
「それは……その通りです、浅慮でした」
鋭い舌鋒にジェラールがたじたじだ。
少年修道士達も、さっきまでの楽しい気持ちが吹き飛んで沈んでしまっている。
誰もがジェラールが再現するベルゼブブ式拳術が参考だと承知の上だ。
それを突っかかるのは、ジェラールが上位弟子に混ざっての修行を許されたからである。
現在の中位弟子には、貴族の子弟が多い。
名門の赤天派剣術を修めさせたい親に入れさせられた次男三男達である。
いささか我の強い者もいるのだが、そういう者ほど修行の進みが早くはなかった。
その横でジェラールが上位弟子に混ざって良いと言われるのを見て面白くないわけである。
「それに悪魔の信徒をかばうような言動は見過ごせませんな」
「あれは私のいち考えです」
「フォルセウス様の指導の下、我々は修行をしています。余計な高説は必要ありませんな」
ぴしゃりと言ってのけて、それきりジェラールから視線を切った。
「さぁ、もう遊びは終わりだ。終課の支度をしろ」
強引に場を解散させれば、中位弟子達が妬みや嘲り交じりの一瞥を向けて去ってゆく。
寂しい気持ちで息をついて、ジェラールも客坊に戻った。




