プロローグ
むかしむかし、フランク王国という大きな国がありました。
フランク王国は、ルイ敬虔帝という皇帝が治めておりました。
ルイ敬虔帝が崩御した後、フランク王国は三人の子供達に領土を分割されました。
すなわち、長男のロテールはフランク王国の真ん中の領土を。
その弟のルイはフランク王国の東の領土を。
末弟のシャルルはフランク王国の西の領土を。
それぞれ統治することになりました。
しかし。
長男のロテールが三つの領土を再び統一しよう戦いを仕掛けてきたのです。
これにルイとシャルルが抵抗をしました。
大きな大きな戦争になりました。
後に、フォントノワの戦いと呼ばれる戦争です。
幾万の血が流れ、やがてルイとシャルルが勝利をしたのです。
主の紀元八四一年のことでした。
戦いが終わり、フランク王国は三つに分かれたままそれぞれの道を歩んでゆきます。
ロテールが治める中部フランク王国。
ルイが治める東フランク王国。
シャルルが治める西フランク王国として。
そして。
十年を経た、主の紀元八五一年。
西フランク王国を旅する、ジェラールという青年がいた。
そう、今現在フランス共和国と呼ばれる土地でのことである。