お母様への怒り
ピンクは、顔をしかめて自分の部屋に戻った。
そして、さっきからため息をついてばかりいる。
「姫様~ご飯ですよ~」召使いの声がかかった。
ピンクは、急ぎ足で台所に向かった。
豪華な宮殿の様な入り口に、すごくキラキラとしたシャンデリア。
ピンクたちお城の者は、毎朝毎晩ここでご飯を食べているのだ。
ピンクが中に入ると、席がすでにぎゅうぎゅう詰めで、女王様の隣しか、席が空いていなかった。
ピンクは、嫌な予感がしながらも、しぶしぶ、その席に座った。
「あの野蛮な嘘王子とは、別れたのですか。」女王様が言った。ピンクのフォークを持つ手が、ぴくっと動いた。
「『野蛮な嘘王子』とは、何なのですの?」ピンクが反論する。
「あのレッドとか言う下品なやつの事よ」女王様の声には、怒りの色が混じっていた。
「なんですって⁉あのお方は立派な……」ピンクが怒鳴ろうと息を吸い込んだ時――
「姫。言葉をつつしみなさい」女王様から鋭い一言が飛んできた。ピンクの顔が真っ赤になって、
「もう、いいです!ごちそうさまでしたっ!」
ピンクはわあっと泣きながら部屋へかけもどった。
女王様はため息をついて、つぶやいた。
「姫、許しておくれ。こうでもしないと、私の事をおまえは好きになってくれないだろう。私よりもおまえと一緒に過ごしているレッド王子をけなせば、きっとおまえは私の事を……」