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◆7



「こんにちはー!!」

「薬出来たか??」


 前回双子が来た日から一週間がたち、再び双子がやってきた。


「いらっしゃい。出来てるわよ」


 細かい説明等もするため、奥に通しお茶とクッキーを出した。二人とも喜んで食べたり飲んだりしている。天使か。


「ししょー。来ましたよ」

「おー、ガキ共、よくきたな」

「ガキじゃない!」


 まだまだ子供だぞ~。とクランに生暖かい目を向けていると、フランも同じような目を向けていた。双子だけど全然違うんだなぁ。


 それから師匠が薬の説明をしていく。双子はうんうんと頷きながらじっとフランは師匠を、クランは薬を見ていた。その瞳はうっすらと輝いているように見えた。説明が終わると、双子は口を開いた。


「おじさんの説明に嘘はないみたい」

「薬の鑑定結果も説明通りだ。このまま買ってやる」


 双子の発言の意図がわからずきょとんとするが、師匠は苦い顔をしていた。


「あー嫌な客だぜ。こんなガキになんでこんなもの買わせるのかと思ったが、鑑定スキルを持ってやがる」

「え、鑑定スキル?!」


 鑑定スキルとは特殊能力だ。魔法とは違い、その人の個性なので魔力なしで使うことが出来る。鑑定魔法も存在するが鑑定には様々な知識や経験が必要な為習得するのが難しいとされている。


「え、二人すごいわね」

「えへへー」

「知ってる」

「…しかも、保護の守りと転移魔法のアイテムも持ってるから、襲われてても二人で逃げられるわけだ。鉄壁だな。お前ら、ぼんぼんだろ」

「おじさんもなかなかいい目を持ってるね」

「おじさんじゃねぇ」




 師匠の観察眼もすごいが、二人が貴族の子供らしいことがわかってもっと驚いた。確かに気品もあるし、いい服も着てる。でも普通の貴族はこんなところに子供二人でお使いなんてさせないだろう。


 もっと遊んでいきたいけどお兄ちゃんが待ってるから、と双子はお金を払った後持ってきていた転移魔法で消えていった。なんだかパッと消えていったので圧倒されるばかりだった。


「魔法ってすごい」

「初めて見る訳じゃないだろ・・・お前も早く覚えろよ。便利だぞ」

「じゃ、教えてくださいよ」

















 この日は双子の売り上げで十分収入が入ったので、お店は臨時休業にし、久しぶりに魔法の勉強をすることになった。


 呪いを解く為に師匠に弟子入りし、家にも住まわせてもらっているが、ほぼ身一つで飛び出してきたので師匠に払うお金はない。ならば働くしかない。もちろん師匠から『慈善事業じゃねーからな!働け!』ときちんと最初にご指導いただいている。なので魔法を教わるのは私が店番を手伝い、店番に必要な知識を教わる時間以外の時間になるので、あまりないのである。しかし、身元もわからない、お金にもならない、呪いだらけの小娘に仕事と住む家をくれて、尚且つ呪いを解く手伝いをしてくれているのだ。私からしたら、充分慈善事業だ。








「今日は物の大きさを変える魔法を教える」

「質問です!その魔法は生物にも使えますか?」

「上達すればな」

「がんばって上達します!!!これでこの身体を小さくしてやる!」


 この体形になってから大分たつけどまだ慣れない。朝そのまま起き上がれずごろごろ転がったり、服を破いたり、暑がっている姿を見て哀れみの目を向けられているとは思ったけど、こんな素敵な魔法を教えてくれるなんて。


「そうだな。呪いの本質が読みきれてないから解くまでに至るかはわからないが、解けなくても魔法で元に戻せるようになるといいな」

「師匠!大好き!」

「知ってる」



 今日ばかりは師匠のどや顔も許せる。普段口が悪くても喜ぶ私を見て思わず優しい言葉が出ちゃう師匠が大好きだと心から思うからだ。


 ふと、呪いが解けた時のことが頭をよぎった。その時私はどうするんだろうか。



 








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