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中へ入った人々が見たものは、御屋敷の中とは思えないほどの場所でした。真っ黒な中に、赤や青、黄に緑と色とりどりに灯る光が飛び回り、ケタケタと笑う声が飛び交い、不気味な雰囲気が漂うも綺羅びやかな世界が広がっていました。
「皆様、どうぞごゆるりと。甘い菓子もございまし」
どこからともなく聞こえてくる声、御屋敷の中に慣れてきた人々の目には甘く香る菓子がうつります。外とは別世界な空間に人々はほろ酔い、甘い菓子をほお張りながら、飛び交う笑う声や灯に浸りました。
そうして人々が帰ることも忘れて御屋敷の中に浸っていると、いつまでも帰ってこない人々を心配して、外から人々が入って来ました。