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泣き叫ぶ彼女の涙が人形に触れた瞬間に、迫る手も囲う声も包み込むように黒い煙がその場に広がりました。夕暮れの中、夜に包まれた悪魔擬きの前に、それは現れました。
つり上がるような目に赤い瞳。裂けたような口元と、青白い肌。人形の姿から解き放たれたジンを、彼等がそれを悪魔と捉えるのに時間は掛かりませんでした。ジンが腕を勢いよく広げ脅かすと、彼女等は散り散りに
悲鳴をあげて逃げていきました。そしてジンは振り返ると、彼を見上げる彼女にそっと言いました。
「僕らを嘘にしないでくれてありがと、リリー」
「私はララ。リリーはお婆ちゃんの名前よ」
「君の中にいるリリーに言ったんだ。ララ、君もありがとね」
それにまた泣きそうになるララに、ジンはお菓子と招待状を渡して、
「またね」と言って黒い煙と共に消えていきました。そして見上げたままのララを、日が沈んだ後の満天の星空が包んでいました。




