沙織嬢のひきこもり日記
やっと書けました。短編でリクエストにもあった元カレチョビッと出てきますぅ!
朝は必ずやってくる。明けない夜はないのだ。
嫌なことが判明して、さっさと三行半を押し付けてからおよそ十時間後、さっきからスマホが鳴りっぱなしで、サイレントモードに切り替えた。下手に電源を落とすと実家に連れ戻される危険があるためそれもできず、幸いキッチンには食料が貯蔵されていたので居留守にしてマンションで引きこもっていた。
元カレとの出会いを振り返って思い出すと、マメマメしいアプローチにしだいにほだされた思い出が甦る。とにかく、気が付くと側にいたり、帰り道に出くわしてそのまま一緒に夕食、または、気軽な居酒屋へ。そもそも居酒屋自体初めて連れていってもらったのも元カレだった。デートに行ったのも、キスをしたのも、二十三歳にもなってやっとできた彼氏で、初めてずくしだったけど、最後の一線だけは結婚をしてからと父に念を押されていた。深い関係にはなってはいなかったが、一緒にいるとき楽しかった、嬉しかった、幸せだと感じていた。初めての一人暮らしで人恋しかったのかもしれないが、一緒にいたいと思った人だった。忙しいからと会えなくなって月に一度くらいしか家に来なくなった。デートの約束も全てキャンセル、やっと行けると思っていても当日時間を過ぎてからのキャンセル!色んな心が壊れた気がした。一度あることは二度あるとことわざにあるとおり、私に二度目があったなんて、全部嫌になってしまった。あんな男もういらない。
「着信拒否ってどうやるんだっけ?もう、うるさすぎ」
1LDKのマンションの間取り一番奥にあるリビングルームでこもっていると、どうやら、元カレの森透がドアの前にいるようで、インターフォンの画面が彼の顔を映した。応対する気はないので、そのままにしている。音量だけオフにしてみる。この部屋のインターフォンは出なければ録画して二十四時間分保存できる。父が管理会社に連絡して付け替えていた。
違うことを考えて気を紛らわせていると一時間経っていた。インターフォンを確認するとまだ元カレがドアの前に立っていて、ゾッと寒気が背中を走った。こんな人だったのかと今更ながら怖くなり、警察へ電話してマンションへの立ち入り制限を促してもらった。どうやら、他の住民からも通報があったみたい。休み明けからの通勤時気をつけよう。
スマホで警察官の人にストーカー被害届云々を言われたので、検索をしてみる。実際にあったストーカー被害体験談のサイトは読めば読むほど元カレがストーカーにみえて仕方がなかった。
取り合えず、後日被害届を出すことを伝えて警察官の方には帰ってもらった。巡回ルートに入れてもらえるようなので、ほっとした。
今のうちに移動して心の平穏を取り戻すべく、実家に行くことにした。別れた事と浮気された報告を母にはしておかないと後でごねられると厄介だからね~めんどくさい(≧ω≦)
交通手段はタクシーが無難だよね。
二、三日分の着替えをバックに詰めていると、ふと、思った。私って引きこもれない体質だったのかしら、実家に居るときは部屋に居るのが好きだったのにな、イヤ、単純に元カレが何するかわからないから不安なんだろうな。
最終的に父の反応が一番怖い、予測できない対応が一番怖い。
午後三時半、マンション脱出。
何もなければ五時前には実家に着くはず!
ストーカーは怖い((゜Д゜ll))好きでもやっちゃダメダメ~