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伊藤氏は思案する③

遅筆で申し訳ないです。

 「では、本日はこのあたりで、次回は来週の火曜日になります。各担当者は今回の説明を踏まえて、改善案をまとめて下さい。社内提出は月曜日十五時にあるミーティングで提出、レイアウト希望はデザインを用意すること、伊藤部長、それ以外何か用意することはありますか」



 ガヤガヤとざわつく中、伊藤氏は眼鏡のブリッヂを軽くあげて、会議に集まった面々をクルリと見回した。全ての視線が伊藤氏に向かう。



 「そうですね、恐らく、事業所毎や部門毎に連携をよくとる所があると思うのですが、まあ、よくあるグループ分けというものですね、期間限定でも専用リンクバナー等あると入り易いですし、部外者のシャットアウトも設定できます。それにログ履歴も残せますのでセキュリティが上がります。できれば、モデルとして今現在活動されてる部署を教えて頂きたいですね。とりあえず、総務課、経理課、庶務課は全ての部門とリンクしますよね。そんな感じでそれぞれ出してもらえればいいのですが」



 「それは、ネットでするチャット機能も付けられますか?」



 若手の社内システム管理の担当者が手を挙げて質問した。



 「テレビ電話を使えるように設定するつもりではいましたが、チャットの方がいいのであればそのように」



 「いえ、会議などに集まれない場合があるのでテレビ電話も必要です。その場で会話できないときにチャットができればフォローがしやすいのです。」



 「そういう使い方もありますね。では、次回までにチャットの画像例を何例か作ってきます」



 「では、本日はこのあたりで閉会します。」



 ガタガタと席を立つ音が響き、何人かはすでに外に出ていた。伊藤も書類を纏めていると宮物産社長が現れた。総務課員は慌てることなく会釈などしているが、他の課員は余り面識がないのかしばし宮久保の顔を見て、ボソボソと直接顔を見たのは初めてだと口々にあげているものがいた。




 「伊藤部長、時間があるなら上でコーヒーでもどうかと思ってね、誘いに来たんだよ。仕事の調整は順調の様だしね」



 「ええ、この後は直帰ですし、予定も今の所ないですから」



 「それはよかった。何なら沙織ちゃんにコーヒーを入れさせようか?君もその方が良さそうだしね~フム、時間的にも終業時間を過ぎたから、呼び出してあげようか」



 まだ他にもここの社員達が残る中、初めて沙織嬢の事を明け透けに出した。何か企んでいる様だ。ニコニコ退出をしながら俺を手招きして差も親しい間柄なのだと匂わせる。沙織嬢に関しても漏らすことなく接していたようにも伺えたのだが。振り返って総務課の平木課長に退出の挨拶をする。社長は気にせず電話をかけて沙織嬢と話している。



 「では、失礼します。宮久保社長、沙織嬢が忙しいのなら待ちますよ」



 「いや、大丈夫だよ!終わった様だしね。あの子は仕事が遅いということは二階堂さんからは聞いていないし、そろそろ合流できそうだね」



 少し先にあるエレベーターホールの反対側から沙織嬢が小走り気味に歩いてるのが見えた。宮久保社長は片手を挙げて沙織嬢の気を引いていた。



 「二階堂さんは沙織嬢の教育係ですか?」



 「そうだね、彼女はいい見本のような者だから、社会人マナー研修会は彼女に講師をしてもらっているんだ。年に一度はセクハラも合わせて社内研修をするんだ。彼女が入社するまでは外部に依託していたんだがね、たまたま、その年に来た講師が彼女と同じマナースクール出身者でね、しかも二階堂さんよりちょっとだけ資格が少なかったらしくて、後から提出されたレポートで四割別対応の例を挙げてくれたんだよね~」



 「心強い社員ですね。実は彼女、私の従姉妹の後輩で今日こちらに来るときに手土産を持たされました。二年ほど会っていないと言ってました」



 「凄い偶然だね、沙織ちゃんお疲れ様。仕事上がりで悪いんだけど、伊藤部長にコーヒーを入れて欲しい。後ね、さっき教えてもらったんだけど、二階堂さんと伊藤部長の従姉妹さん同じ学校出身で仲が良かったんだって」



 沙織嬢に合流し、エレベーターの階ボタンを押した。にこやかにしながらも宮久保社長は自分のペースで進めていた。



 「先輩に聞きました。お菓子も御相伴させていただいたので、ありがとうございます。美味しかったんです。あそこのお菓子大好きなんで、自分でよく買ってるんです」



 無邪気な笑顔をこちらに振りまいて腹の奥が熱くなる。二人っきりなら抱きしめていそうだった。沸き上がった欲望を押し隠して、微笑みで返す。



 「従姉妹の真由美チョイスでね、二階堂さんの好きな物らしいんだ。女性は甘いものが好きな人が多いんだね」



 二人でお菓子話をしていると宮久保社長も参戦とばかりに話に加わる。


 

 「私も好きだな、甘いもの。アルコールと一緒によく食べるよ」



 「社長のすきなのってパパと同じよね。レーズンの入ったチョコレートとかチーズケーキとかコッテリしたお菓子をおつまみにしてるんです。絶対太ります。糖尿病とかにもなりそう」



 「それは凄い、チーズやレーズン単体なら私もつまみにしますね~」



 酒とつまみの話しで社長室に到着する。中の応接セットに早々と社長は座り、伊藤に着席を促した。部屋付きの秘書には帰宅の指示を出して、プライベートだからと接待役を買って出た社長室秘書には退出してもらった。



ラウ゛い所に行けない(゜Д゜ )アラヤダ!!

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