二階堂啓子さん曰く
やっと連載バージョン投稿できます。肩コリがひどくてタブレット使いづらかったんです。短いですが切りよかったので、沙織ちゃんの天然をお楽しみ下さい。
ドタキャンされたデートの日、家で食べるのが億劫になった私は、夜景が綺麗な穴場のホテルのレストランでお一人様の夕食を終えてエレベーターでロビーまで下りていった。扉が開くと目の前の宿泊者専用のエレベーター側に本来なら私と本日デートを予定していた彼氏が全身ブランド物でデコレーションされた女の子を腕にくっつけて立っていた。いつもごまかされていたので、私は証拠を残そうと、冷静にも右手に持っていたスマホで写真を撮っていた。今日の昼間取引先で使用していたので、連写機能に設定されたままだった。
そのまま、そのホテルのロビーでお別れメールを送信して、撮った写真を見ている時に伊藤氏と知り合ったんだけど、押しが強いのか、私が弱いのか、いつの間にか流されているような気がする。
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彼氏と一方的に別れてから一ヶ月も立たないうちに、私の私生活は慌ただしくなってきたので、休憩時間に、プライベート用のスケジュールを確認すると、二、三日ごとに伊藤氏とのお食事会をあちら持ちで行っていた。何を目的として誘われたのかサッパリ思い出せず、首を傾げてスケジュール帳を見入ってしまった。
「随分とハードスケジュールじゃない。彼氏と別れたんじゃなかったっけ?」
「別れましたよ~浮気の次の日には復縁迫られましたが、お断り継続中です」
隣の席に座る二年先輩の二階堂啓子サン。只今この方にお仕事お世話になってますが、来客がないときのルーズさは総務課で断トツです。だけどマナー講座を社内で行うときや、新人研修の講師も担当しているので、オンオフの切替が素晴らしいのも断トツ。多分社長は知らないかも、オフの時の二階堂さん。
「じゃあ、何このレストランの羅列は?いいトコばっかりじゃない、私ここ美味しいから好き。半年に一度は予約入れるわ」
私の手帳を気にせず覗きこみ、好き勝手に感想を述べていく。全てのレストランに行った事があるみたい。タイヤ屋さんのガイド本で星をもらっているらしいが、庶民の私にはサッパリ。美味しいご飯にありつければ評価など気にしない。二階堂さん曰く、星が付いてから味が落ちたトコも中にはあるらしい。
「最初に食事に誘われた時に、元カレに復縁を迫られたって言ったらこんなことにナリマシタ」
「もう少し詳しく」
肘を捕まれ、ひそひそモードに。沈黙を貫きたいが、ストレス発散するのも兼ねてゲロった。
「・・・・・マンションに待ち伏せされたとか、ドアの前で一日中居座られたとか、通勤経路で待ち伏せとか、イロイロ愚痴りました」
「ムフフ、爽やか系かと思ったのに残念ストーカー系なんだ。もしかして、まだされてる?」
「今は向こうが忙しいのか、夜に窓から外見たときに居るくらい。私が残業しない限り出会わないデスヨ」
「何時頃に?」
「八時か九時今まで家に来てた時間くらいデスヨ」
「毎日居るなら警察に相談をした方が良くない?」
美しい眉をしかめて真剣に改善策を挙げていく二階堂さん。嗚呼、この人大好きだあ。その他にもあれこれ列挙して最後には伊藤氏と同じ事を言い出した。
「そうだわ!しばらく私の家でルームシェアすればいいのよ!部屋数は余っているから!そうしましょ」
名案とばかりに、手を打ち鳴らした。目を輝かせてお美しい笑顔を頂きました。眼福デス。二階堂さんは綺麗なのに気取ったトコもなく、気さくな姐御肌な先輩で、頼りになるお姉さんだ。
やっぱり沙織ちゃんが書きやすい。続きも頑張ります。