第二十三話 お祭り
なぜこうなってしまったのでしょうか?
確かに、私がしたことが原因なのはわかります。
けど、ここまで大げさに反応するほどのものではないはず・・・え?当たり前の反応?
それなら仕方ない・・・・・わけないです!!
いい加減、私を拝むのをやめてください!!
『豊穣の儀』を行った後、私達は司祭様に連れられて、教会に行きました。
そこで、祭壇の前に立たされ、司祭様が聖職者の人たちに私のことを『神の使徒』だの『奇跡を起こした』だのと説明します。
初めは微妙な顔をしていた聖職者の人達でしたが、農地からの情報が入ってくるのと、『豊穣の儀』を見ていた人のうわさ話が届くにつれて、私を拝む人が増えていきました。
今では教会中の人が集まって、私を拝んでいます。
本当に、勘弁してください。
キラキラした目で私を見つめるだけでなく、中には目を閉じて、祈りをささげている人までいるとか、私をなんだと思っているのでしょうか?
『神様の使徒』?
そうですね、真貴ちゃんが言うには間違ってはいないみたいですけど、そんな自覚私にはありませんから!!
それにそこ、話を捏造しない!!
なにが『使徒様が大地に向かって「豊穣あれ」というと、みるみる大地が潤い、作物が育ち、農地が緑に包まれた』ですか!!
私は『豊穣あれ』なんていってないですよ!!
それ以外はだいたいあってるみたいだから否定できないですけど・・・・・。
バタンッ
私が聖職者の人たちに拝まれていると、急に教会の扉が開き、宰相さんが入ってきました。
「リタ殿、昨日は疑ってしまい申し訳なかった。本当に農地が蘇るとは思わなかったのだ。私のとった態度は、祭りを盛大に行うことで許してもらいたい」
宰相さんは頭を下げて謝罪すると、そう言いました。
「い、いえ、そんな、宰相さんは謝るようなことしてないです。それに、私はできることをしただけですから・・・」
「リ、リタ殿・・・あなたはなんと素晴らしい方なのだ・・・」
宰相さんが尊敬の眼差しで私を見つめ始めました。
や、やめてください。
あなたまで、聖職者の人たちに混ざって手を合わせようとしないでください。
宰相さんキャラ変わりすぎじゃないですか?
昨日までの厳格なあなたは何処に言ってしまったのでしょう?
「リタ殿、此度の祭り、今までにないほど盛大に行わせてもらいますぞ!!楽しみにしていてくだされ!!」
宰相さんは最後にそう言って教会から出ていきました。
ど、どうしてこうなった!!
それから数日、今日はついにお祭りの日です。
しかし、私は王宮から外に出られません。
なぜって?
人が集まってくるからです。
それはもう、そこら中から、それで、私を祈るんです。
泣いて良いですか?
「お祭り行きたい・・・」
私は、窓から外を覗いていいます。
宰相さんが言っていたように、今日のお祭りは盛大です。
王宮にいても聞こえる喧騒が、それをよく物語っています。
「リタさん・・・そ、そうです。変装すれば外に出られるかもしれません」
「それです!!」
少し落ち込んでいる私に、ティアちゃんがナイスなアドバイスをしてくれました。
変装すれば祈られることもありません。
けど、ただの変装ですと、ばれた時に身動きが取れなくなりそうです。
(真貴ちゃん、いい変装魔法とかないですか?)
(ありますよ。『回復魔法』の応用で肉体年齢を変更する・・・つまり子供になったり大人になったりする魔法があります)
さすが真貴ちゃんです。
これで私もお祭りデートが出来ます♪
私はさっそく真貴ちゃんに教えてもらい、肉体年齢を変える魔法『リジェネレーション』を1時間ほどで習得しました。
頑張りましたよ?
だって、こんな大規模なお祭り、めったにないですからね。
私はさっそく『リジェネレーション』を使い、大人・・・ではなく、10歳くらいの子供に変身しました。
お祭りを楽しむにはやっぱり大人より子供ですよね♪
レイチェルちゃんにお祭りに行くことを伝えると、「夕方にはリタ様のパレードを予定していますので、それまでにはお帰り下さい」と言われました。
それくらいは・・・仕方ないですね。
見世物になります。
それまでに、お祭りを楽しみ尽くしてしまわないとね。
お祭りには多くの屋台が立ち並び、すごく賑わっています。
焼き鳥やフライドポテト、リンゴ飴などに似た食べ物(全部材料は不明です)から、輪投げに金魚(ポイ魔物)掬い、射的まであります・・・ってなんでこんなものあるんでしょう?この世界に銃なんて存在しないはずです・・・しませんよね?
ま、まぁ気にしたら負けです。
とにかく楽しみましょう♪
私達は、まず、軽い食事・・・フライドポテト?を買って食べながら屋台を見て回ります。
「輪投げでもしますか?」
ちょうどフライドポテトが無くなって初めに目についた屋台が輪投げ屋だったので、私は二人に尋ねます。
「私、輪投げ初めてです♪」
「私もやったことないですね」
どうやら、二人とも輪投げ未経験のようです。
「おじさーん、輪投げやらしてください」
「はいよ、3個で銅版2枚だよ」
私はポケット(で繋げた亜空間)から銅版を三枚出しておじさんの持つ輪と交換します。
「はい、真貴ちゃん、ティアちゃん」
「「リタ(さん)、ありがとうです(ございます)」」
私は輪を二人に一つずつ渡します。
さて、どれを狙いましょうか?
輪投げの目玉である明らかに輪より大きな商品は却下として、よさそうなのは・・・かわいい女の子が書かれているブロマイドがいくつかありますね。
二次元と三次元がありますけど・・・ここはやっぱり二次元でしょうか?
三次元は真貴ちゃんやティアちゃんの方がかわいいです。
ということで、私は二次元の魔法少女(?)のブロマイドを狙い、見事ゲットしました。
そういえば、この世界、写真(もちろん魔法を使った技術です)はありますけど、アニメどころかテレビすらないのに、どうしてこんなものがあるんでしょうか?
不思議です。
ティアちゃんは近くにあるよくわからない小物を取っていました。
本当にそれ欲しいんでしょうか?
本人はうれしそうなので指摘はしませんけどね。
それと真貴ちゃん、見えないからって輪を直接商品にかけない!!
それ、もう輪投げじゃないですから!!
しばらく三人で屋台を回って楽しんでいると、私はリンゴ飴(?)を見つけていいことを思いつきます。
「おじさん、リンゴ飴1つください」
「はいよ、銅版一枚だよ。お嬢ちゃんかわいいから、特別に大きいのあげよう」
「ありがとう」
私は笑顔でお礼を言います。
いや~子供っていいですね、よくおまけしてくれます。
「リンゴ飴買ってきたのでみんなで一緒に食べましょう♪」
私は二人に向かってリンゴ飴を掲げていいます。
「リタ・・・♪」
「リタさん・・・それって・・・・・///」
真貴ちゃんはうれしそうな、ティアちゃんは恥ずかしそうな顔をしました。
真貴ちゃんとティアちゃんが、目の前で舌を出して、リンゴ飴をペロペロ舐めています。
こんなにまじかで二人の舌を見たのは初めてです。
キスしたくなってきました。
ちゅっ
同じことを考えていたのでしょうか?
目が合うと、真貴ちゃんの方からキスしてくれました♪
すぐ近くから、ティアちゃんのうらやましそうな視線を感じます。
私は真貴ちゃんに目配せすると、頷いてくれました。
「ティアちゃん、ちゅっ」
「ティア、ちゅっ」
私、真貴ちゃんの順でティアちゃんにキスしてあげました。
「も、もう、二人とも、恥ずかしいです」
そういって、頬を真っ赤にしならも、ティアちゃんはうれしそうでした。
その後、パレードの時間が近づいてきたので、最後にお祭りの定番、金魚(のような魔物)掬いをして帰ることにします。
「おじさん、三回分お願いします」
「はいよ、一回銅版1枚だよ」
私はおじさんに銅版3枚を渡し、平たくて丸い木の板とお椀を受け取ります。
この木の板は水につけると魔力が水に流れ出し、消滅していく性質を持っているそうです。
さらに、この金魚のような魔物は『エターナルアクア』という名前で、水中の魔力を餌にして生きているらしく、木の板を近づけると消滅速度が上がります。
まぁ、『エターナルアクア』は餌いらずなので、とても飼い易い魚だそうですけどね。
さっそく私達は金魚掬いならぬ『エターナルアクア』掬いに挑戦します。
「ちょ、消滅するのはやい!!」
木の板を水につけると、みるみる小さくなっていきます。
私は慌てて『エターナルアクア』を掬います。
何とか一匹だけ掬えましたが、それと同時に木の板はなくなってしまいました。
隣を見ると、真貴ちゃんとティアちゃんも同じようです。
「はい、合計で三匹だね」
おじさんはそう言って、今度は普通の木で出来た箱・・・お酒を飲むときに使う枡に蓋がついたような形のものに『エターナルアクア』を入れて渡してくれました。
「よかったら、こっちも買って行ってくれ」
おじさんはそういうと、水晶で出来た水槽を見せてくれます。
大きさは10cmくらいの小さい物から、50cmくらいある大きなものまであります。
「それじゃあ、この一番大きいのお願いします・・・水も入れてもらっていいですか?『エターナルアクア』そのまま入れていきます」
「それは構わないが・・・嬢ちゃん持てるのかい?」
「大丈夫です。私こう見えても魔法使えますから」
おじさんが心配して聞いてくれたので、私は小さな胸を張っていいます。
「そうかい?あと、値段は銀板3枚になるけど、持っているかい?」
「はい、これでいいですか?」
私があっさり銀板3枚を出すとおじさんは、少し驚いた顔をしました。
水槽を受け取った私は、さっそく木の箱から『エターナルアクア』を中に入れます。
私達が掬った『エターナルアクア』は、赤、青、黄色の三色をしていました。
こうしてみると、とってもきれいです。
満足した私は、水槽をそのまま持ち上げ、屋台を出ました。
おじさんは、水の入った50cmもある水槽を私が軽々と持ち上げたことで、目を丸くしてしまいした。
もちろん、水槽をずっと持っていたわけではなく、人目のないところで亜空間にしまいました。
え?
『エターナルアクア』を入れたまま亜空間内に入れちゃって大丈夫かって?
真貴ちゃんによれば、亜空間内は私の魔力で満ちていますので、魔力を餌にしている魔物にとっては天国だそうですよ?
さて、お祭りも十分楽しんだので、後はさらし者になるだけです。
パレード・・・今からでも中止にならないかなぁ。
私の願いむなしく、私達は今、豪華な馬車に乗ってローラントの人たちに笑顔で手を振っています。
「聖女様~~」とか「女神様~~」とか「黒髪の魔法使い様~~」とか聞こえるのは気のせいです。
特に、最後に言いにくくないですか?
あ、いえ、聞こえません、聞こえません。私はには何も聞こえません。
「ティアちゃん、手が疲れてきたんですけど、休んじゃダメですか?」
「ダメです。まだパレードは半分も終わってないですよ?」
ティアちゃんはそういいながらも、ローラントの人たちに笑顔で手を振り続けています。
こういうところはさすが王族ですね。
でも、本当に疲れてきました。
早く終わらないかなぁ・・・。
それから、パレードは2時間近くも続き、空も暗くなってきました。
もう、手が上がりません・・・なんてことはなく、ほとんど疲れていませんでした。
疲れていたのは私の精神の方だったみたいです。
パレードの終わりに、パンッパンッという音だけの花火のようなものが上がっていたので、ストレスの溜まっていた私は、スターマインのごとく色とりどりの火魔法を空に連射しました。
ドンドンドン、ドドドドドーーーーーン
というすごい音をして空に上がった花火に歓声が最高潮になりいつまでも続いていました。
それから数日、そろそろ学園の長期休暇も終わりです。
私達は、そのことを王様たちに伝え、学園に戻ることにしました。
宰相さんが「それでは、お見送りのパレードを行いましょう」と言い出しましたが、全力で阻止しました。
本当に、
どうしてこうなった!!




