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第二十一話 初めてのギルド

難産でした。

うまく纏まっているか自信ないですが、楽しんでもらえれば幸いです。


「ギルドに行ってみませんか?」


デート(?)をした翌日、今日は何をしようかと話としているときに、ティアちゃんがそう言いました。


「ギルドですか?」

「はい、学園ではよく学生課に行っていたので、その元になったギルドに一度行ってみたいと思っていたのです。特に今日の予定がないのならどうですか?」


そういえば、私もギルドには行ったことないですね。

ティアちゃんナイスです。


「いいですね。行ってみましょう」


私達は冒険用の服に着替えてからギルドに向かいました。


ちなみに、冒険用の服と言っても、私は何時も着ている白のゴスロリ服で、ティアちゃんは普段着の上にローブを纏うだけ、真貴ちゃんに至ってはセーラー服以外来ているところを見たことがありません・・・あ、寝る時は別ですよ。




カランカラン


私はギルドの扉を開けると、中をキョロキョロと見渡します。

木で出来た丈夫そうなテーブルに、ビールを飲んでる厳ついおっさん、奥にあるカウンターにはギルド員さんがいて、隅には大きな依頼の掲示板があり、何人かの人がそれを見ています。


いかにもギルドって感じの所ですね。

というか、これは狙ってやっているとしか思えません。

この世界、前世と比べても所々、発達していますからね。

お風呂が有ったり、魔法掲示板(電子掲示板のような物)があったり、学生証に至っては前世の科学力でも再現できないような機能が大量に入ってます。


っとそんなことは置いておいて、さっそくギルドに登録しましょう。


「すいません、私達、ギルドに登録したいんですけど、どうすればいいですか?」


私はさっそくカウンターに行くと、若い女性のギルド員さんに尋ねます。

男性のギルド員?

私の目には見えません。


「はい、ギルド登録ですね、身分の証明できるものはお持ちですか?ない場合はまず、あちらの部屋で身分確認を行ってください」


ギルド員さんはそう言って掲示板とは反対側の壁にある扉を標しました。


「えっと、これでいいですか?」


私達はリーン学園の学生証を出します。

一応これも偽造が出来ない作りになっているので、身分証明書になるはずです。

あくまで、一応ですけどね。

だって私の名前、苗字が違っていますしね。


「はい、大丈夫ですよ。リーン学園の学生さんですね。えっと、リタ=ロスト=ケミアさんに、ティアノート=フィル=ローラントさん・・・ローラント?」


ティアちゃんの名前を見て、ギルド員さんの顔色が変わります。


あ、これはやばい気がします。


「お・・・王女さっ・・・!!」


ギルド員さんが叫びそうになるのを、私は手で口を押えて止めます。

・・・・・あとでこの手はペロペロしましょう。


「し、失礼しました。今上のものを呼んできますので、少々お待ちください」


ギルド員さんはそう言ってそそくさと立ち去ってしまいました。


「さすがティアちゃん、王女様なだけあります」

「すいません、私のせいで・・・」


なにやら、ティアちゃんが落ち込んでいます。

自分のせいで面倒なことになったと思っているのでしょうか?


「これはこれで、便宜とか図ってもらえそうですし、ティアちゃんが落ち込むことないですよ」

「リタさん・・・ありがとうございます」


私達が話しをしていると、先ほどのギルド員さんが長く、白い髭を生やしたおじいさんを連れてきました。


「待たせたのぅ、ワシはこのギルドローラント支部を任されておるギルドマスターのクラフト=ヒィル=ゲーテルというもんじゃ、よろしくのぅ」


どうやら、おじいさんはギルドマスターのようです。


「それで、ギルド登録じゃったな、お二人とも身分、実力ともこの学生証を見る限り問題ないでな、とりあえずCランクからとさせてもらうが、よろしいかのぅ?」

「「はい」」


私とティアちゃんはそろって返事をします。


ギルドマスターが出てきたわりには普通ですね。

ティアちゃんのことも特に気にしてないようです。


「よしよし、それで、登録名の方じゃがのぅ、王女様が本名で登録されては色々混乱が起こるでな、特別に称号を付けて、誤魔化すことにしようと思うが、いいかのぅ?」

「称号・・・ですか?」

「うむ、『幻の騎士ニア』とか『赤土の魔女カノン』とかのことじゃな、本当は偉業を達成したものに与えるものなんじゃが、特例として本名を名乗ることで支障が出るもの・・・大貴族や国の重鎮などにギルドマスターの許可のもと、与えられることができるのじゃ」


つまり、中二称号ですね。

ん?

幻の騎士ニア?

・・・・・触れないでおきましょう。


「う~~ん、リタさん何か良いのありますか?」


どうやら、ティアちゃんは付ける気満々のようですね。


「ティアちゃんは風が得意ですから・・・『天つ風のティア』とかどうでしょう?」

「天つ風・・・素敵です。それにしましょう『黒髪の魔法使いリタ』さん♪」


え゛?


「うむ、『天つ風のティア』に『黒髪の魔法使いリタ』じゃな、よし、これで登録完了じゃ」


え?え?

本当にその名前で登録されたの?

こ、これが世にいう黒歴史というやつなのですね・・・。


私が遠い目をしている横で、真貴ちゃんがクスクス笑っていました。




私の黒歴史は置いておいて、ギルドカードを受け取った私達は、さっそくどんな依頼があるか掲示板を見に行きます。



戦闘ランクC

ローラント王国から徒歩で2日ほどの森にいる『ブラッディベア』の肝を取ってくる

報酬は銀貨15枚(15,000P)


戦闘ランクC

ローラント王国北部にある山の頂上付近に生えている『月光草』の採取

報酬は一本に付き銀貨10枚(10,000P) *Aランクの魔物が確認されています、気を付けてください。


戦闘ランクD 信用ランクC

ここから10日ほどの距離にあるメイアス王国までの護衛。

5人集まった時点で出発します。

報酬は銀貨80枚(80,000P)



ん~~どれも微妙ですね。

護衛なんてもってのほかですし、『月光草』は取に行くのに『循環魔法』使っても一日ではきついです。

『ブラッディベア』の肝はよさそうですが、これを受けるくらいならFランクの『クマの森』の魔物退治をした方が効率よさそうです。


ん?

緊急クエストなんてものもありますね。

どれどれ。



緊急クエスト

この辺りで最大の山賊『残虐の悪魔』が壊滅したことで、山賊、盗賊の連携が乱れ、動揺が走っている。このチャンスにできるだけ数を減らしておきたいので、腕に自信がある冒険者は積極的に退治してくれ。報酬は規模によって違うぞ。


小規模(10~30) ランクC冒険者パーティ推進

報酬 銀板1枚~銀板3枚(10万P)


中規模(30~100)ランクB冒険者パーティ推進

報酬 銀板5枚~金貨1枚(50万~100万P)


大規模 ランクA冒険者パーティ推進

山賊団『竜の足』金貨2枚(200万P)、盗賊団『蜥蜴の羽』金貨2枚と銀板5枚(250万P)、山賊団『鬼の髭』金貨3枚(300万P)、盗賊団『闇の目』金貨5枚(500万P)、山賊団『死者の足音』金貨10枚(1千万P)


なお、盗賊や山賊が持っていた財宝は被害者や遺族の支援に使うので、一度ギルドに届けてくれ。もちろん、財宝の一割ほどは特別報酬として渡すぞ。

最後に、相手は死に物狂いで抵抗するはずだから、くれぐれも死なないように気を付けてくれ。



なるほど、この緊急クエストは良さそうですね。

名前付きの賊は報酬もよさそうですし・・・あ、『残虐の悪魔』の財宝パクッたままだけど、ギルドに渡した方がいいのかな?

支援に使うみたいですし、さいわい、まだパクッた分には手を付けていませんからね

けど、そうすると昨日の散財が痛い・・・どうしよう?


「ティアちゃん、真貴ちゃん、相談があります。『残虐の悪魔』を潰した時の財宝持ってるんですけど、ギルドに渡した方がいいですかね?」


私は、ティアちゃんと真貴ちゃんを呼んで小声で相談します。


「もちろん渡した方がいいと思いますよ?リタ、泥棒はだめです」

「ティア、渡すのは良いですけど、どう説明するのですか?表向きには自然災害ということになっていますし、魔法でやったなんて言っても誰も信じない・・・いえ、信じたとしても面倒なことになります」


うん、ティアちゃんが言うように泥棒なんてダメですよね。

え?

パクろうとしてたのはどこの誰だって?

そんなの忘れました。

でも、真貴ちゃんの言うように説明はどうしましょう・・・面倒なのは嫌ですし・・・。

あ、そうだ。


私が思いついたことを話すと、二人とも賛成してくれました。

もっとも、ティアちゃんは渋々とでしたけどね。




私達は先ほどのカウンターに行き『内密の要件がある』といって別室に行き、ギルドマスターをもう一度呼んでもらいました。


「して、『内密の要件』とはなにかのぅ」


ギルドマスターは部屋に来て座ると、さっそく要件を聞きます。


「まず、これを見てください」


私はそう言って『亜空間』から『残虐の悪魔』が持っていた財宝を取り出します。


「・・・・・これはなんじゃ?」


それを見て、ギルドマスターの眉間にしわがよります。

賄賂とでも思ったのでしょうか?


「これは『残虐の悪魔』が持っていた財宝です」


その言葉を聞いて、ギルドマスターの顔は、驚きへと一転します。


「私は、先ほど登録した名前の通り、『黒髪の魔法使い』です」

「黒髪の・・・その噂は聞いておるのじゃが・・・にわかには信じられんのぅ・・・」


ギルドマスターは半信半疑といった感じです。


「それならば、緊急クエストの賊退治で証明しましょう」

「ほぅ・・・それはおもしろそうじゃな、して、おぬしは何を望むのじゃ?」


まぁ、こんな話をしたら、なにか望みがあると思いますよね。


「望み・・といいますか、この『残虐の悪魔』の持っていた財宝もそうですが、『私達が倒しました』なんていっても基本信じてもらえないでしょうし、そうすると、色々面倒なことになると思うんです。なので、その面倒なことをしなくて済むようにしてもらいたいんです」

「うむ、確かに面倒なことになりそうじゃな、その辺はこちらでどうにかするのじゃ。しかし、黙っていれば面倒なこともないじゃろうに、なぜわざわざ財宝をギルドに渡そうと思ったのじゃ?善意で・・・かのぅ?」


ギルドマスターが探るような目で、私を見ます。


「いえ、ティアちゃんに『泥棒はだめです』って言われたからです」

「・・・・・それが理由かの?」


ギルドマスターが、意表を突かれたような顔で、目を丸くします。


「はい、善意が全くなかったわけではないですけどね」

「ふぉふぉふぉ、なるほどのぅ、よくわかったのじゃ、クエストがんばるのじゃぞ?期待して待っておるからのぅ」


ギルドマスターはそう言って機嫌良さそうに笑いました。


それにしても、『ふぉふぉふぉ』なんて笑い方する人、初めて見ました。

ちょっと、感動です。







こうして、私達は賊を退治することになりました。

せっかくなので、ティアちゃんの国周辺の賊を狩りつくそうと思います♪


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