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第一話 リタ=ロスト=クロスロード

みなさん、初めまして。

私の名前は、リタ=ロスト=クロスロード。

クロスロード公爵家の三女です。


『公爵家』とは、貴族の中でも、王家の血が入ってなければなることのできない、名門中の名門です。


そんな名門貴族の家に生まれた私ですが、この春14歳の誕生日を迎えるとともに・・・家を追い出されてしまいました!!




もともと、私は出来がよくありませんでした。

物事を覚えるのには人一倍時間がかかり、何度も同じミスをします。

かといって、剣は不器用すぎて危ないので、1年で扱わせてもらえなくなりました。

貴族のたしなみである馬にも乗れなければ、狩に使う弓もまともに使えません。

魔法だけでもうまく使えれば、それらを補うこともできたでしょうが、もちろんほとんど使えませんでした。


そんな私ですから、家族からは憐みの目で見られ、使用人には陰でバカにされていました。

けれども、これだけなら、家を追い出されるまではいかなかったでしょう。


問題だったのは、一月ほど前に行われた、私の婚約者である・・・婚約者であった侯爵家次男(名前は忘れました)のパーティーで、放火をやらかしたことです。


別に、悪気があったわけではありません。

確かに私の婚約者は脂ぎったデブでしたけど、だからと言って放火なんてしません。

ただ、そのデブに『おまえ、魔法使えないとかwwwwwマジでこれ、俺の婚約者?人生オワタwwwww』って言われて、ついそのデブに向かって火魔法(唯一私が使える魔法、ただし、ろうそくの火程度)を使ったのがいけなかった。


火の威力が弱かったのも問題で、気づくのに遅れたのも問題でした。

現に、私も初めは失敗したと思いました。

デブも『ププッ失敗してやんのwwwwwしかも初級とかwwwww俺よりへたっぴ初めて見たwwwww』といって去っていきました。


けれど、それから一時間、パーティー会場は炎に包まれました。

私の魔法は失敗しておらず、隅の方にあるカーテンに燃え移ったのでした。


結果、屋敷は全焼(パーティ専用の屋敷です)私は、婚約を破棄されました。


婚約の破棄事態はとてもよかったのですが、父の前でそのことを喜んでしまったのが、いけませんでした。


翌朝、私は父に家の門へ呼ばれ「すべて手配してある。乗れ」とだけ言われ、そのまま馬車に押し込められました。




その日はちょうど、私の誕生日でもあり、初めはパーティー会場に向かうのだと思っていたのですが、少ししておかしいことに気づきました。


この馬車はいつも乗っている物より、少し質素な感じがしました。

それに、普通ならほかの家族も、誰かしら一緒になのですが、今日は私だけです。

よく見ると、馬車の中には鞄が一つと、私の宛と思われる手紙が置いてありました。


『リタ、お前には心底失望した。しばらく私の友人が理事をしている王立リーン学園にでも通って修行してきなさい。

退学にだけはならんようにしておいたから、必ず卒業してくるのだぞ。それまでは一歩たりとも家に入れんのでそのつもりでな。

そうそう、クロスロードの家名を名乗ると色々問題もあるので別のものを用意しておいた。学生証でも見て確認してくれ。

P.S.そのまま学園に居ついても問題ないからな、幸せに暮らせよ』


・・・・・私、捨てられた?

この手紙、私のこと心配しているような感じで書かれてますけど、最後で本音が漏れてます。

私はその日、馬車の中でずっと泣いていました。




馬車に乗せられてから8日、日も沈み、夜の帳が下りてきたころ、ついに王立リーン学園に着きました。

この8日間、すごく孤独でした。

馬車の中には私しかいませんし、御者の人は「話すなと言われてますので」と言って話し相手にはなってくれません。

夜は町の宿に泊まりましたが、部屋に閉じ込められ、外に出してもらえませんでした。


「それでは、私はこれで」


馬車の御者は、私と荷物を下ろすと、さっさと来た道を戻っていきました。

ここにいても仕方がないので、学園の入り口へ向かいます。


「学生証、又は入園許可証を掲示してください」


学園入口には、巨大な門があり、その前には怖い顔をした門番がいました。


「えっと・・・これでいいですか?」


荷物の中から学生証を出して見せます。


「ふむ、リタ=ロスト=ケミアか、通っていいぞ」


門番はそう言ってガラガラと音を立てながら巨大な門を開けました。


え?

ケミア?

そういえば、手紙に別の家名を用意したって書いてあったような・・・・・私はもう、クロスロードではないんですね。


私は、暗い気持ちになりながら、校舎へ向けて歩いていきました。




それから3時間経ちましたが、誰にも会うことができません。

外はすでに暗くになり、月が輝いています。


この学園は広すぎでした。

まず、門から校舎まで30分もかかり、中に入っても似たような教室ばかりで迷路のようです。


今日は、ここで寝ることになるのでしょうか?


歩き疲れた私は、廊下に座りこみます。

教室には鍵がかかっており、入れませんし、外に出るのはもってのほかです。

そもそも、出口がわからないので窓からしか外に出られません。


クゥ~~~~~


お腹が鳴ります。

そういえば、お昼から何も食べていません。

私の目から、涙がこぼれ落ちました。


「お嬢ちゃんそんなところで何をしているんだい?」


どれだけ立ったでしょうか?

伏して泣いていると、すぐそばから声がしました。

少し驚いて顔を上げると、そこにはふくよかな体系の優しそうなおばさんが立っていました。

迷子になっていたことを私が告げると、「そうかいそうかい、おまえさん、今年一番目の迷子さんだ」といってガハハと豪快に笑いました。

その笑い声を聞いて、私はすごくほっとするのでした。




そのあと、私はおばさんに連れられて、学生寮にいきました。

よく考えれば、今の時期学園は休園中でした。

どうりで、誰もいないはずです。


「はい、これで手続きは終了だよ」


なんでも、おばさんはここの寮長らしく、手際よく私の入寮手続きをしてくれました。

ちなみに、先ほどは校舎の見回りをしていたそうです。

なぜ寮長が校舎の方を?と思って聞いてみたところ、この時期は私のように迷子になる人が毎年いるらしく、そんな人のために、わざわざ見回りしてくれているそうです。


「ありがとうございます」

「いいんだよ、なんかあったら、またここにおいで、相談くらいには乗るよ」


私が部屋の鍵を受け取り、お礼を告げると、寮長さんはそう言って優しく微笑んでくれました。




こうして、寮長さんに見送られて部屋に着いた私は、旅の疲れもあり、すぐに寝てしまうのでした。


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