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第十二話 ティアちゃんの病

私が髪をなでると、ティアちゃんは薄く目を開けて、嬉しそうに微笑みます。

けれど、その微笑みは儚くて・・・つい涙が出てしまいそうになります。




学園に戻ったあの日、ティアちゃんは医療専門の先生たちによって、さまざまな検査が行われましたが、原因は分かりませんでした。

そこで、学園側はティアちゃんの実家に連絡を取ったのですが、そこで帰ってきた言葉は


『発作の原因は多くの医者に見せたが不明だった。それに、ティアはもう長くないと診断されている。最後くらいは本人の望むまま好きにさせたやりたいのだ。そのことは学園長にも話してある』


とのことでした。

つまり、ティアちゃんはもうすぐ・・・。

そんなのだめです!!

まだ出会ってから少ししかたっていませんが、こんなにやさしいティアちゃんがいなくなるなんて許せません。

それに、美少女がいなくなるのは世界の損失です!!

医者には原因がわからなかったようですが、こちらには真貴ちゃんがいます。

こうなったら、私が絶対に助けて見せます!!




「真貴ちゃん、ティアちゃんの様子はどう?」


私は、部屋で寝ているティアちゃんの様子を真貴ちゃんに尋ねます。

ティアちゃんが部屋にいるのは、本人の希望だからです。


「・・・・・よくないです。早く対処しないと取り返しがつかないことになります」

「それって、やっぱり・・・・・」

「いえ、たぶんリタが考えているより状況はかなり悪いです」

「え?これより悪いことなんて・・・」


どういうことでしょう?

私は最悪の状態を考えています。

それより悪いことなんてあるのでしょうか?


「リタ、落ち着いて聞いてくださいね。ティアの症状の原因は魂です。その魂が消耗しきっています。このままでは、消滅も免れません」

「しょうめ・・・どういうこと!?」


思わず、真貴ちゃんに掴みかかってしまいました。


「普通、魂は人生を終えると天界で浄化され、元気な状態にしてから転生します。けれど、何らかの原因で魂が浄化されず、披露したまま転生してしまうことがあるのです。まぁ、一回や二回程度ではそれほど影響もないのですが、あまりにひどい時はその人には悪いですが一度死んでもらい、天界で緊急浄化することになります」

「それじゃあティアちゃんは・・・・・」


助けたいのにそれができない・・・悔しいです。

でも、そうしなければ消滅してしまう。

それだけは絶対にダメです。


「リタ、残念ですけど、ティアを天界に連れて行くことはできません」


私は、その言葉に目を見開きます。

それでは、消滅してしまいます!!


「真貴ちゃん、どういうこと!!」

「忘れたのですか?この世界は神様によって隔離されているのですよ。まともな方法では天界になんていけません」


そういえば、そうでした。

でも、それならどうしたらいいの!!


「・・・・・3つほど、ティアを助ける方法があります。

一つは、隔離を強引に突破して天界に連れて行くことです。けど、隔離を破るわけですから、周辺世界を崩壊させる可能性があります。

二つ目は、この場での魂の浄化です。私ではできませんが、リタならできるようになると思います。ただし、失敗すれば即消滅なので気軽にはできないですし、完璧を期すには時間が足りません。

三つ目は、リタとティアの魂をつなげることです。弱っているティアの魂に、『強化』されているリタの魂をつなげることで魂の消耗を回復させることが出来るはずです。ただし、この場合リタは大丈夫ですが、弱っているティアにどのような影響が出るかわかりません。下手すると、リタに魂を飲み込まれ、意思を持たない人形になる可能性もあります。

どれも、かなりリスクが高いですがどうしますか?」


・・・・・一つ目は却下です。

ティアちゃんが助かってもそのための犠牲が大きすぎます。

二つ目は・・・私次第ですか・・・これは保留です。

ティアちゃんと相談してからにしましょう。

三つ目、これは私が判断していいことではないです。

これもティアちゃんと相談しましょう。

逆なら喜んでしますけどね・・・美少女に飲み込まれる・・・想像するだけで・・・ハァハァ。

っと思考がずれました。


「そうそう、これは助ける方法ではないのですが、もう一つ、私が禁術で魂を変質させて、今世だけは寿命まで生きれるようにすることはできます。ただ、その後、確実に消滅します」

「・・・・・真貴ちゃん、真貴ちゃんのことも含めて、ティアちゃんと相談したいんですけどいいですか?」

「いいですよ、私もそのつもりですから」




真貴ちゃんが、部屋に特殊な空間・・・私が神様と話をした時と同じものを展開してくれました。

なんでも、ここなら体調などにかかわらず、普通に話をできるそうです。


「・・・・・ここは?」


ティアちゃんは、目を開けると、周りをキョロキョロ見回します。


「あれ?私動ける?」

「ティアちゃん!!」


私は思わずティアちゃんに抱き着きます。


「リタさん?・・・ここは何処でしょうか?・・・それに、私なんで動けるの?」

「ここは『お告げの間』神様とかが神託を託すところよ」


ティアちゃんの質問に真貴ちゃんが答えました。

なるほど、ここが噂(?)に聞く神託の間か・・・そういわれてみるとそれっぽいかも。


「神託・・・もしかして、リタさんって神様なの?」

「いえ、違います。どちらかというと、真貴ちゃんの方が・・・」

「まぁ、そうとも言えなくはないですけど・・・私は、神は神でも死神ですよ?」


その言葉を聞いて、ティアちゃんが暗くなります。


「それじゃあやっぱり私は・・・・・」

「違います。真貴ちゃんは私のものであって、ティアちゃんの所に来たわけではないです。とりあえず、色々と説明するので聞いてください」


私は、真貴ちゃんに捕捉されながら、一通りティアちゃんに今の状態などを話しました。




「魂の消滅・・・・・」


話を聞き終えたティアちゃんがつぶやきます。


「ティアちゃん・・・」


きっと、不安なのでしょう。

けれど、私には『大丈夫』そんな一言さえ、とても無責任に思えて、言ってあげたくても言えず、ただただ、ティアちゃんの手を強く握ることしかできません。


「リタさん、そんな顔しないで、正直いうとね、消滅なんて言われてもよくわからないの」


ティアちゃんは私の手を握り返して微笑みます。


「それに、私決めたの、リタさんとつながることにします」

「え、でも・・・」

「もし、私がリタさんに飲み込まれても、消滅するわけじゃないでしょ?リタさんの中で生きる、そう考えれば、怖くないですよ」


確かに、そう考えられなくもない。

けれど、ティアちゃんは本当にそれでもいいのでしょうか?


「いえ、怖くないというのは嘘ですね。でも消滅してしまうくらいなら、その方がいいです」


ティアちゃんの決意は固いようです。


「本当にいいの?」

「はい」


私は、もう一度だけティアちゃんに確認をしました。


「真貴ちゃん、お願いしていい?」

「わかりました。では、二人の魂をつなげるので抱き合ってください」


だ、抱き合う!!

それって・・・・・


「リタ、服は脱がなくていいです」


服を脱ごうとしたら、真貴ちゃんに止められました。

少し残念です。

あ、でも、ティアちゃんから真貴ちゃんとは違う、いい匂いがします。

クンカクンカしたくなってきました。

どうしましょう?


「リタ、変なことは考えてないで、今はまじめにやってください」


どうやら、真貴ちゃんには私の考えが筒抜けのようです。


しばらくティアちゃんと抱き合っていると、次第に体が温かくなってきました。

真貴ちゃんが目をつぶって何やらやっているのでそのせいでしょう。


「とりあえず、つながりました。最後にこのつながりが切れないよう固定してしまいますので、キスしてください・・・軽くではだめですよ?」


キ、キス!!

いいの?

役得です♪


ティアちゃんが顔を赤くして、目を閉じました。

私は、その唇に、自分の唇をそっと重ねます。

すると、ティアちゃんが舌を入れてきました!!

私はそれに答え、舌を絡めます。


「ふぅ、もうOKです。離れてください」


真貴ちゃんの言葉で、唇が離れます。


もう少ししていたかったのに・・・残念です。


「リタ、こっちに来てください」


ん?

なんでしょう?


「ティアとだけなんて許しません」


私が真貴ちゃんに呼ばれて近づくとそういって、キスされました。

それも、すごく深くて激しいキスです!!


「では、元に戻しますよ」


真貴ちゃんは満足するまでキスをしてから、元の世界に戻しました。




「ティアちゃん、ティアちゃん、どうです?大丈夫ですか?」


元の世界に戻ると、私は、ティアちゃんに話かけます。

ティアちゃんは、ゆっくりと目を開けると、体を起こしました。


「はい。とても体の調子がよくて、今まで寝込んでいたのが嘘みたいです」

「ティアちゃん、よかったです!!」


私は少し目を潤ませて、ティアちゃんに抱き着きます。


「どうやら、成功のようですね。魂の消耗も回復してきているようです」

「真貴ちゃん本当!?」

「はい。今のところはこれ以上ないくらい良好です。けど、油断はできませんよ、しばらくは経過観察しないといけませんからね」


真貴ちゃんの言葉に、私は一安心します。

ティアちゃんも先ほどの儚い笑顔ではなく、明るい笑顔をしていました。






それからしばらく、私達は学園を休み、いつ何があっても大丈夫なように、ティアちゃんとずっと一緒にいました。

先生たちはあまりいい顔をしませんでしたが、そんなこと気にしません。


そして、今日、ついに真貴ちゃんが「ティア、後は大魔法を使っても問題なければ、完治です」といいました。


さっそく、私達は、学園の外・・・私が魔法を練習した草原に来ました。

そこで、今、ティアちゃんが大魔法を唱えています。


「大地を翔る風の精霊たちよ


 すべてを飲み込む渦となりて


 我がティアノート=フィル=ローラントにその力を示せ


 エリアルトルネード!!」


ティアが魔法を唱えると、超巨大な竜巻が出現します。


え?

これやばくないですか?

明らかに災害クラスなんですけど。


「リタ、手伝って、竜巻を消します!!」


真貴ちゃんが慌てて竜巻に突撃します。


前にも似たような光景を見たことがあるような・・・っとそれどころではありませんね。




数分後、私と真貴ちゃんが協力することで、なんとか被害を出さずに竜巻を消すことに成功しました。


「これは予想外でした。ところでティア、調子はそうですか?」

「あ、はい、大丈夫です。特に疲れもありません」


どうやら、ティアちゃんはもう完治したようです。

本当によかったです♪


「え?疲れてないんですか?・・・・・少し調べさせてくださいね?」


しかし、真貴ちゃんは何か納得いかないことがあったのか、ティアちゃんを調べて(診察して?)います。


「こ、これは!!」


どうしたのでしょう、真貴ちゃんが声を上げました。

もしかして、ティアちゃんに何かあったのでしょうか?


「ま、真貴ちゃんどうしたの?」


私は少し不安な声で聴きます。


「ティアが不老不死になっています」

「「え?」」


私達は二人で同時に聞き返します。


「リタの魂とつなげた影響ですね、ティアの魂は完治を通り越して消耗しないようになっています」

「それは・・・いいことなの?」

「ティアしだいです。これからは永遠の時を私達と生きることになるんですからね」






こうして、少し予想外なこともありましたが、ティアちゃんは無事元気になりました。

しかし、そのことによってああなるなんて・・・・・うれしいやら、戸惑うやら、まぁ、結果オーライかな?





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