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第十一話 園外学習(後編)

あたりに、お肉の焼けるいい匂いが漂っています。


私の隣ではその匂いの元である、お肉をティアちゃんとアリスちゃんがおいしそうに食べています。


また一つ、お肉が焼けました。


これは真貴ちゃんの分です。


私の分?

それは今から焼くところです。


自分の分より美少女達を優先するのは当たり前ですからね。




お肉を手に入れて戻ってきた私達は、さっそく火を熾すと、お肉を焼き、少し遅い昼食にします。


ここが山であり、自分たちで手に入れたお肉であることも関係しているのでしょう、とてもおいしいです。


「あ、アリスちゃん、それまだ焼いてないですよ?」

「生も~おいしいのよ~」


どうやら、間違えて焼いてないお肉を食べたわけではないようです。


あれ?

この世界ではお肉も生で食べるんでしたっけ?

少なくとも、私にはお肉を生で食べた記憶はありません。


「ねぇ、ティアちゃん、お肉って生でも食べられるんでしたか?」

「いえ・・・普通はお腹壊すと思いますけど・・・」


どうやら、普通は食べないようです。


「私は~昔からよく食べてましたから~」


そういう問題なのでしょうか?

まぁ、本人がおいしいなら別にかまわないですけどね。




「あ、あの・・・」


私たちがお肉を食べていると、数人の女の子が話しかけてきました。


「私達にも、少し分けてくれませんか?昨日から野草しか食べてなくて・・・」


そういって、リーダーっぽい子が、申し訳なさそうにお願いしてきました。


「いいですよ」


私は、ティアちゃんとアリスちゃんに確認した後、分けてあげることにしました。


「「あ、ありがとうございます」」


女の子たちはお礼を言ってお肉を受け取ると、少し離れたところで火を熾し始めました。

すると、それを見ていたのか、他のパーティの子たちも、『あの、私達にも少し分けてくれませんか?』といって集まってきました。

しかし、さすがに何十人も来られると、お肉が足りません。

そこで、急遽、お肉調達隊とお肉調理隊(と言っても焼くだけですが)を結成することにしました。


お肉調達隊は『何となく魔物の居場所がわかる』アリスちゃんと真貴ちゃんの探索魔法がある私の2チームに分かれ、ティアちゃんはお肉調理隊をお願いしました。


やっぱり人数が多いと早いですね。

私が『魔物の倒し方』でお肉が出るかどうかが決まることを教えると、1時間ほどで全員分お肉は集まりました。

その後、一旦全員が昼食のため休憩をはさみ、午後からは今晩と明日、明後日の分の食料確保に当てました。


みんなで協力したのが良かったのでしょうか?

夕方になったころには、多くの人と仲良くなれました。




そうして、今日も一日が終わり、私達も寝ることにしました。

今夜の火の番はアリスちゃん、ティアちゃん、私の順番になりました。

私達は固まって寝ることにしました。

夜は意外と寒いですからね。


寝る前に、つい、いつものように真貴ちゃんとキスしてしまい、真横にいたティアちゃんは顔を赤くしながらも、私達を凝視していました。


「ティアちゃんもします?」


私がそう尋ねると、ティアちゃんは首をブンブンと横に振って断りました。

まぁ、冗談ですけどね。

真っ赤な顔をしたティアちゃんが少しかわいいと思ってしまったのは真貴ちゃんには内緒です。




早朝、ティアちゃんと火の番を交代した私が、真貴ちゃんとイチャイチャしながらお話ししていると、



ドーーーーーーーーーーン!!



と少し離れたところから、すごい音がしました。

その音で、ティアちゃんとアリスちゃんも目を覚まします。


「きゃぁぁぁぁぁ」


今度は、音のした方から悲鳴が上がります。

私達は自分の武器を手に取り、悲鳴がした方へ向かいます。




現場に着くと、そこには体長が5メートルもあり、高さも2メートルを超える大きな魔物が怒り狂って暴れていました。


近くを走っていた子に「先生はどうしたの?」と尋ねると「そ、それが、どこにもいないんです」との答えが返ってきました。


なぜいないのかはわかりませんが、いないのなら仕方ありません。

私達でどうにか対処するしかないようです。


私はとりあえず、この魔物のことを学生証で検索します。



『土喰いオオサンショウオ』

名前の通り、土を食べて生きているCランクの魔物です。

基本的におとなしく、こちらから手を出さない限り、襲ってくることはまずないため、初撃で倒すことをお勧めします。

ただし、怒った時に出す粘液は魔法防御力、物理防御力を大きく上げるため、Bランクの魔物を凌駕することも珍しくありません。



私が学生証の内容を読むと、それと聞いていたティアちゃんが『土食いオオサンショウオ』に向かって駆け出しました。

もちろん、私達もティアちゃんをすぐに追いかけます。



「空に渦巻く風の精霊たちよ


 すべてを包む緑の衣となりて


 我が、ティアノート=フィル=ローラントの願いを聞き入れたまえ


 シルフコンチェルト!!」



私たちが追いつくのと同時に、ティアちゃんの呪文が完成し、クラスの全員を風の衣が覆いました。


(真貴ちゃん、ティアちゃんが使った魔法すごそうなんだけど・・・)

(これは『風の上位精霊魔法』ですね。この年齢で使えるのは驚きです)


私と真貴ちゃんが『念話』している間に、風の衣に覆われて落ち着いたのか、他の人たちもパーティに分かれて得意魔法で反撃に出ました。


「「ファイアー」」「「サンダー」」「「アイス」」「「ウィンド」」「「ストーンショット」」


しかし、『土喰いオオサンショウオ』は全く意に介さず暴れ続けています。

どうやら、学生証に書いてあったとおり、怒っている状態では防御力が高いらしく、学園に入学したばかりの普通の学生では歯が立ちません。


そう、普通の学生ならばです。

今の私ならどうにかできるかもしれません。

私も参戦するために魔法を詠唱し―――――



・・・・・・ドサッ



私が参戦しようとした時、ティアちゃんが倒れました。


「「「ティア(ちゃん)」」」


私たち三人の声が重なります。

真貴ちゃんも思わず叫んでしまったようです。


私がティアちゃんを抱き起すと、顔が真っ青になっていました。


「す、すいません・・・リタ、私・・・大魔法を使うと・・・いつもこうなんです」


そういって、ティアちゃんはぎこちなく笑います。


(これは・・・まさか!!・・・ありえないです!!)


ティアちゃんの状態を見た真貴ちゃんが驚いた顔で慌てます。


(ど、どうしたの?真貴ちゃん)

(少し・・・まずい状態です。私が応急処置をしておきますが、一番は安静にすることです。リタ、強力な魔法を教えますので、まずはあいつを静かにさせてください)

(わ、わかりました)


どうやら、ティアちゃんが大変なことになっているようです。

詳しくはあとで聞くとして、今は真貴ちゃんの言うとおり、あいつを静かにさせることにします。

さっそく、私は真貴ちゃんに魔法を教えてもらいました。


「アリスちゃん、強力な魔法を使います。私の詠唱が終わるとまでに、みんなを『土喰いオオサンショウオ』から離してください」


私はアリスちゃんにそうお願いし、詠唱を始めます。


「大地を照らす光よ


 一筋の束となりて


 我が敵を貫け


 レーザーライン!!」


私が魔法を唱えると、集束した光が『土喰いオオサンショウオ』を貫き、大穴を開けます。



ドォォォォォン



『土喰いオオサンショウオ』は大きな音を立てて倒れると、光の泡を出して消滅していきました。


周りがシーーーンと静かになります。

そして、一拍おいてそれは大歓声に変わります。

みんなの喜ぶ声が聞こえますが、私はそれどころではありません。


「ティアちゃん、倒しましたよ、だから安心してください」


私がそう伝えると、ティアちゃんはうっすらと笑って目を閉じました。




「いやぁ・・・今年の一年はすごいな、まさかあれを倒すなんて・・・いったい何十年ぶりだ?」


ティアちゃんが眠ったのを確認したとき、そういって先生と上級生が現れました。


・・・・・つまり、これは仕組まれたこと?

怒りがわいてきます。

私が先生をぶん殴りに行こうとすると、真貴ちゃんがティアちゃんを治療しながらも、鎌で私の服をひっかけて止めます。


(たぶん、悪気はないです。治療専門の人がかなりいますので、どんな状態でも対処できるようにしていたようです)

(でも、ティアちゃんは!!)

(ティアのことはイレギュラーです。こんな事態想定できるはずがありません)


真貴ちゃんは『念話』でそういうと、「ふぅ」と一息つきました。

どうやら、応急処置は済んだようです。



「この子も怪我をしたのかい?すぐに治療するから安心してくれ」


私の後ろから、そう声がかかりました。

周りを視ると、そこかしこで手当てをしている人がいます。

確かに真貴ちゃんが言った通り、治療専門の上級生がかなりたくさんいるようです。


「む・・・こ、これは・・・先生!!ちょっと来てください。緊急事態です!!」


ティアちゃんを診ていた上級生が先生を呼びます。


「どうしました?」


その声を聴いて、先生・・・私たちの担任ではない女の先生が来ました。

たぶん治療専門の先生なのでしょう。


「・・・・・魔力放出が止まらない?・・・どういうこと?ねぇ、あなた何か知らない?」

「えっと・・・・・持病のようなことを眠る前に行っていました」


女の先生が真剣な顔をして聞いてきたので、ティアちゃんがさっき言っていたことを伝えます。


「そう・・・ここでは詳しく診れないわ。急いで学園に連れて行きます」


女の先生はそういうと、数人の上級生を呼び、風魔法でティアちゃんを静かに浮かべます。


「私もついていきます!!」


このままティアちゃんを学園まで運ぶようなので、私は慌ててそういいます。


「ごめんなさい、急いで連れて行くから、あなたでは「大丈夫です。ついていけます」・・・そう?無理そうだったら言ってね」


女の先生はそういうと、さらにもう一人上級生を呼ぶと、ティアちゃんを浮かべたまま、すごい勢いで移動し始めました。

きっと最後に呼んだ上級生は私がついていけなかった時の保険なのでしょう。

どうやら、この先生はかなりいい人のようです。

・・・・・怒りに任せて暴れなくてよかったです。






こうして、私の園外学習は途中で終わることになってしまいました。


ティアちゃんは大丈夫なのでしょうか?

真貴ちゃんが慌てていた理由も気になります。

私は、不安になりながらも女の先生たちに遅れることなく学園まで戻りました。








・・・・・・・あ、アリスちゃんに何も言わずに来てしまいました!!





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