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8 花籠を濡らす涙 (2)



 レンの予感通り、今夜は暖かいベッドで眠れそうになかった。

 埃塗れの、夜の正装を脱ぎ捨てる。熱いシャワーを浴びても収まる気配は無い。

 わざと濃いマリン・ブルーのカッターシャツを選んだ。普段は、目立たない色を着る。ガードとしての自分が人目を引くことの無いように。今夜は、強烈な色彩で自分を痛めつけたい。

 耳鳴りのように、鼓膜の奥で銃撃の余韻が続いていた。それが消えるまで。他人の手によって左右されかけた自分の運命を、まだレン自身のものであると、自分の手で揺さぶり確かめるために。

 艶の無い黒のジャケットを羽織る。ボトムは折り目のついたやはり黒。……チンピラみたいな成りだと、レンは鏡を覗いて満足した。

 部屋を出ると、ファースト・リビングに二人、私服のFIS隊員が詰めていた。

「あんたたちのボスはまだ奥か?」

「ああ。今夜中付き添うそうだ」

 他人の体温があれば、すぐに眠れるという紫月。今頃は、最愛の妹と夢でも見ているのか? それとも彼女の未来が気掛かりで、眠れそうにないか?

 レンは、ロー・テーブルに無造作に置かれた盛り花に目を止めた。藤製の籠に、円錐形のクリスマス・ツリーのようにぎっしりと花が盛られ、淡いピンクのリボンがあしらわれている。白いマーガレットや優しいピンクのガーベラ、オレンジ色のダリアなど。道端にいくらでも咲いていそうな花々が、素朴で可憐な安らぎを与えていた。

「これは? お嬢さんに届いたんじゃないのか?」

 FIS隊員は、一度顔を見合わせてからうなずいた。厄介な贈り物だと言いたい顔だった。

「差出人が不明だ。ボスは、受け取りたくないそうだ」

 徹底した警戒ぶりだ。

「カードも無い。花屋に確かめたが、支払いの名義も偽名、女からの電話での注文というだけで、お手上げだ」

 レンは、花の中に埋もれている、たった一輪の白バラを引き抜いた。

「これ、貰っていくぜ?」

「どうぞ。せいぜいギリシャ女を楽しんでこいよ。新米?」

 胸ポケットに差込み、レンは男を見返した。

「……俺は、あんたたちと徒党を組む気は無い」

 二人は訳知り顔に薄く微笑んだ。まるでレンの未来を承知している占い師のように。

 不快な気分で廊下に出る。エレベーター・ホールへと歩き出しながら、白バラを胸から抜き取った。茎の下半分は、茎と同じ太さのビニールチューブだった。折るようにして、チューブを割く。中から細く丸められた、二センチ四方のプラスチック・カードが出てきた。

『Z』

 一文字だけが、黒のペンで走り書きされていた。

 レンは、静まり返った長い廊下に視線を走らせた。

『Z』は、このホテルの中に居る。確信した。

 花屋から届けられた盛り花に、『Z』はホテル内で近付いた。メッセージを仕込んだ白バラを、誰にも気付かれることなく差し込んだ。

 アテネ大学では、わざと舞の気を引くように目の前を歩き過ぎ。今夜はこんなにも奥ゆかしい謎掛けをした。

 利口な舞なら、気付くだろう。二人だけの秘密の会話が成立するところだった。

 プラスチック・カードを、レンは丁寧にホルスターの中へ滑り込ませた。

 今夜は、忘れるつもりで。



 待ち合わせた女は、白い肌のギリシャ女ではなかった。日に焼けた、縮れた黒い髪に情熱的な黒い瞳の女戦士。

 すでに時刻は二時を回っている。待ち合わせのタベルナは閉店の時間。部屋で顔を合わせた時、目配せだけで場所の変更をした。深夜過ぎのバーはホテル内とはいえ、彼女以外誰も居なかった。

「お嬢さんは、もう心配ない」

 アンジェラの方も、今日の業務は終了したらしい。グラスに残った琥珀色の液体を、水のように喉に流し込む。

「そうね……。ボスが側に居れば安心だわ」

 空のグラスをバーテンに押しやり、ボトルを注文すると、レンは先に奥のソファに向かった。アンジェラは付いてこない。

「……持ってきたんだろう? 速く済ませろ」

 急かすと、アンジェラはスツールを回し向き直った。

 たっぷりとしたパンツに襟のないショート・ジャケット。オレンジがかった上下に、黒のシルク・シャツ。

 髪を解いてルージュを塗り直した彼女は、どこにでも居る一人の女に戻っていた。

だが黒い瞳は、気掛かりに囚われ沈んでいた。

「どう説明すればいいのか、ここで考えていたの」

「そんなに深刻な問題かな? 俺たちは二度の仕事で関わった程度だが、君の告白を受けるくらいの準備はいつでも出来てるぜ。まあ……、身体の方だけに限るんだが?」

 レンの軽口に、アンジェラは肩をすくめた。

「……。もっと、重要なこと。……ボスの命令で……」

「なるほど。いろいろと手を回すのが好きな男だな」

「そういう世界に居る人だから……」

 また、彼女はそこには無いものを見て、沈んでゆく。しかし、どこにでも居る女ほど弱くはなかった。顔を上げ、スツールを降りて、レンのソファの隣、一人掛けに身体を沈めた。

「お嬢さんに何を言われた? 聞いてやるぜ」

 アンジェラは頭を振った。届けられたバーボンのボトルを取り上げ注ぎ分ける。

「ただ本当のことを言われただけよ。ボスを好きなんでしょう、って。

 好きなのにどうして襲撃のことを知らせたのって。

 今夜の商談の邪魔になったと。自分のせいで台無しにしたんじゃないかと、自分自身に腹が立って。それで当り散らされただけ。あんな状態だったから、仕方ないわ。

 ……でも舞にはわからないわね。

 彼とは住む世界が違うわ。だから、好きの意味が違うのよ」

 うなずきもせずレンは聞いていた。

「あたしは、ボスとして好きよ。

 舞のように、雪村紫月としては愛せないわ。

 ……すべてを引き受けることは、できそうにないから」

「あの男は、やっかいな女を抱えているからな」

 新しいグラスに口を付けながら、アンジェラは意外というように眉を上げた。

「レンからそんな言葉、聞けるとは思わなかったわ。ボスへの評価は上がったみたいね」

「お嬢さんへの評価は随分上がったぜ。三年も経てば、ミニ・紫月になっていそうだな、今の話しじゃ」

「大変な進歩ね。ならストレートに話せるわ」

「そうしてくれ。回りくどいのはもう飽き飽きだ」

「……本気なのね。『笑わない男』レン・ケンジョウも趣旨変え?」

 リビングに居た二人と同じ笑みを、アンジェラは浮かべた。挑発に乗る気はない。レンはグラスを取り上げた。

「何の話しだ? 俺はいつだって、仕事には真剣だ」

「誤魔化しても無駄。あなたと同じ目に会わされた人間は沢山居るのよ。あたしもその一人。舞のおかげで、生き方を百八十度転換させられた男も居るわ。今じゃ、結構彼は幸せそうにしてる。

 アーリックよ。あなたも逢ったでしょう?」

 元殺し屋。『アーリック』。言葉だけなら『幸せそうにしている』か信じられるわけがなかった。目の前にして、奴が、あんな状況に満足しているとレンは悟った。

「誰も彼も、舞に関わると、あなたみたいな目をするの。彼女のすべてを知りたがり、彼女の未来を引き受けたいと願う」

 馬鹿な……。言葉にはせず胸の内で否定した。

「不思議よね。舞自身は、何をしたっていうわけじゃないのに。ただのあの子らしく、泣いて笑って怒って、素直に生きているだけ」

「羨ましい生き方か?」

「そうね。でも、あたしはこれが似合い。やめる気はないわ」

「……好きな男のためにも?」

「そういう好きじゃないって言ったでしょ? 蒸し返さないで」

 冷静に、諦める素振りもなくアンジェラは遮った。グラスを置き、バーテンを呼んだ。

 持ってきたのは、薄型のタブレット。レンに手渡し、バーテンはクローズの札を手に出て行った。

 アンジェラが画面のFISの文字に触れると、セーブモードが切り替わる。指紋認証画面が二組現れ、アンジェラが指を乗せ、レンにも促した。解除。

画面が切り替わると、ファイルのタイトル・リストが浮かび上がる。

「残念だけど、記録の全てにアクセスできる権限は私にも無いわ。だから、あなたが開けるのは、表面的な一部分だけ。……それでも、十分だと思う」

 英語で、日付の古い順に記されていた。日付と管理ナンバー、地名。そして物騒な単語。

誘拐・未遂・軟禁・未遂・接触・未遂………。

 自然と、身を乗り出していた。掌に汗が滲む。画面に指を滑らせると、ある日付は膨大なファイル量と浮かんだ。どれもファイルを開くことは可能のようだが指は止まった。

物騒な単語の後には、世界でも名の知れた機関の名が並んでいた。

 特定の機関の名称が頻繁に出てくるというわけではない。だが、彼女が一体どういう存在に注目されているかは明白だった。いくつかの国の情報機関。他には、新聞や科学雑誌に載るような研究所、研究機関。それらと並んで、表には出ない闇のネットワークとしては高名なグループ名も。

「……これは。なぜ紫月はこれを最初に見せなかった!?」

 思わず、声を荒げていた。

「ボスに考えがあってのことよ。それとも。これを先に見ていれば、あなたの気は変わっていたの?」

「どういうことだ? あの子はまだ十四歳だぞ? どこに世界中の腹に一物ある情報部や悪党から狙われなきゃならない理由がある?」

「ここ二、三年は収まっているわ。ビッグ・ボスが世界中を相手にした大芝居を打ったから」

「ビック・ボス?」

 レンは画面から顔を上げた。

「雪村修造。二年前に亡くなった、ボスと舞の父親よ。

 彼が流した偽情報のおかげで、大抵の悪党が諦めてくれたわ。でも、いずれ限界が来るわね。

 ボスの気持ちが、これでわかった?

 可能なら、舞を檻に閉じ込めておきたいくらいなのよ」

「……理由を聞こうか。それも、あいつに言われてきたんだろう?」

『レンには私から伝える』

 そう兄貴殿は言ったはずだ。アンジェラは顔を曇らせた。

「ええ。でもこれは機密事項なのよ。意味があなたにもわかる?」

「知らん。重要な事実を隠蔽された、こっちの身にもなってほしいぜ」

 半分も読まない端末を、アンジェラに押し付けた。腹が立つ。紫月だけでなく、すべての、レンの知らずにいた呆れた現実に。グラスを取り上げ喉に流し込む。

「舞は特別な子なの」

 卑屈な笑みで、レンは言い継いでやった。

「『神の娘』と言っていたな、ボスは」

「言い得ているわ。

 ボスの予測では、あと五年もしたら、世界中が舞を手に入れたがるそうよ」

「……中東の好色な富豪だけじゃなく?」

 アンジェラが、悪酔いされるまえにレンのグラスを取り上げた。

「カイロに、FISのラボがあるの。これも機密の一つよ」

 真剣な顔のアンジェラを、レンは無表情に見据えた。

「さっきからの話しは、全部機密だとわかっている。誰にも漏らさない」

 アンジェラはうなずいた。

「カイロのラボは舞の為にだけに作られたような施設で、専門は超心理学。超能力をもつ子供たちを研究しているの」

 パラ・サイコロジー。未開拓で非現実的な科学の分野だ。

「舞は、そこでは№1のサイキックで、数年後には世界のトップ1になる可能性もあるそうよ。

 年に二回、テストを受けてるわ。テストをする度に能力が上昇しているの。まだ、自分でコントロールできるものではないけど。それに、ひどく疲労するの。

 ……さっきも、疲れ切っていたわ」

 疲労の理由を、誰も問い質さない。アンジェラも『起きた』ことだけ気付いていても、なかったように振舞う。

 では、あれは現実なのだ。空の右手の中に、鋼鉄の拳銃が出現した事実。隠し持っていたわけでもなく、遠くへ蹴り出されたはずの、レンの銃だった。

「懸案はもう一つ。カイロのラボのコンピューターが侵入されたの。舞のデータが盗まれたのか、調査していたわ」

「オスロの暇な学生のことだな。ボスはすっかり安心していた」

「ええ。舞の側に居る人間は、全員が心底ホッとしたわ。

 でも、いずれ秘密が暴露される時は来るわね。たとえ外部に漏れても、ボスはFISのラボ以外での協力要請は拒否するつもりだから、最悪の場合……」

「各国の思惑が動き出す? 『神の娘』の能力を狙って?」

「とても高い確率でね」

「そんな人間がこの世に居るっていうのか? 世界中の良識を集め、狂わせるような」

 超能力と言われてピンときたのは、スプーン曲げだ。それはあまりにも俗っぽいが、最近耳にする超能力捜査。だが断片的なものが多く、地域によっては捜査の証拠として認められていない。世間の認知度はかなり低いのだ。

 スキャンダラスではある。十四歳の少女が、手を触れずに物を取り出す? 国家機密でも、そうやって入手したいつもりか? 各国情報部の面々は。スパイ養成の手間が省けるだろうが、現実はハリウッドの娯楽映画とは違う。

「私にはわからないわ。本当のところは誰にもまだわからない。舞の持つ能力がどんなものなのか、世界をどう変えるのか。何をもたらすのか。  

けれど、ボスの判断は『それだけの価値はある』よ」

 アンジェラの言葉は、ボスの代弁だった。

 絶対の自信を込めるアンジェラに、レンは告げた。

「……よくわかった。俺は降りる。君のボスにそう伝えてくれ」

「怖気づいたの? 世界を敵に回すかもしれないから?」

「どうとでも取れ……!」

 レンは強い一言で突き放した。

「それとも本気になった? 本気であの子を護りたいと、一瞬でも考えた? だから怖いんでしょう!?」

「アンジェラ!? 何を言っても無駄だぞ」

 身を乗り出し、アンジェラはレンの膝に手をかけた。

「そんな日が来るのは、明日明後日じゃないわ。冷静に考えて」

「……わかってる、だが、俺には荷が重過ぎる。現実に、得体の知れない悪意に晒されているのは事実だ。各国情報部だって、完全に諦めているわけじゃないだろう?

 敵が誰で、何時本気になるかもわからん。手に入らないとなれば、彼女は抹殺だってされるぞ。敵には回したくないならな。世界とはそういうものだ。それが諜報戦だ!」

「怖がらないで。どんなチンピラに襲われても裏を調べ、バックに誰が居るのか明らかにしてあるし調査中よ。今のところ、大きな組織の動きは無いわ」

「ああ……俺は怖い。奴らの強大さはよく知っている」

「逃げるのは早いって言ってるの!

 差し迫った危険の無い今、舞には一人でも多くのガーディアンが必要なのよ」

 立ち上がろうと身体を起したレンの動きが止まった。

「ガーディアン……?」

 神話や、おとぎ話の中に出てくる単語だった。そんな言葉はすっきりと忘れ切っていた。だがなぜか、特別な意味と響きを持って、レンの内部の奥深く、何かに触れた。

「初めは、たった一人のガーディアンしか舞には居なかったそうよ。一人増え、二人は舞の未来のために動き出した。

 拳銃でもナイフでもなく、ビジネスという見えない楯を時間をかけて強化してきた。

 最初の一人は舞の父親よ。雪村修造は、彼女の為にグループにセキュリティ・システム部を構築し、独立させた。

 ビッグ・ボスの死後、ボスは遺産のほとんどを拒否したわ。

 グループ全体を背負うのは、舞を守るには足枷になるから。ただ舞の為だけに、システム部だけを受け継ぎ強化し、新たなガーディアンを求めた。FISのセーフティ・システムは、舞の為に存在するようなものよ。

 彼女の存在を護れないのなら、企業の存在も意味はないと、ボスは言い切ったわ」

「奴が二人目のガーディアンか……?」

「ただ、誰も彼女の為に死んではいけないの。

 わかるでしょう? そんなことが何度も起きたら、彼女は、自分の命を絶つでしょうね」

「!」

「舞は自分になんらかの価値があることに薄々気付いているわ。それをどう扱ったらいいのかは、まだ掴めずにいるけど、人の欲望を刺激するものだと察している。苦しんでいるのよ。

 今夜のようなことが繰り返されたら。それが自分の能力のせいだと知ったら……」

 優しい少女。敵も味方も、慈しむ。

「今はボスの為に、挫けそうになる自分を押さえつけているのよ。舞を生き甲斐の全てにしている彼のため。彼の側を離れたくない、自分自身のため。でもそれも、薄く張り詰めた氷ね。いつ踏み破られるかしれないわ」

『怖かった……。でも兄さんの側を……』

「少なくとも、舞の側に居る人間は、雪村舞を守り共に生きることが最大の任務よ。

 ……とても当たり前のことよね。捨て石になるな、と」

 その為に、彼女自身が傷つく。レンを庇い、その能力を求め引き出したと同じように。

「舞が成長してゆくなら、私たちも同じように力をつければいいの。舞の危険度は彼女の能力と比例しているから。

 一人で足りないなら仲間を増やし、彼女から離れない。時間はまだあるのよ。敵が何だろうと、いつか私たちは乗り越える。そうしなければ……」

 レンは頭を振った。……そうしなければ、彼女は奪われる。

「アン……」

「レン。考えて」

「……狂ってるよ」

「え?」

「……気の触れた戦争だ。

 見えない敵をじっと、本当に来るのかも規模も知れない。向こうが正気なのかも判断できない敵を、じっと暗闇で待っているだけだ! 異常だよ。お前のボスは……」

「生きるってことは、そういうものだわ。

 多かれ少なかれ、人は危険と隣り合わせよ。

 ただ舞は確率が少し高いだけ」

「……よくわかった」

 立ち上がったレンに、もうためらいはなかった。

「レン!?」

「臆病者と笑っていい。俺は、慣れてる」

「そんなこと思わないわよ。あたしだって怖いのよ?」

 眉を寄せるアンジェラに、レンはまた頭を振って否定した。

「今の剣幕じゃ、そうは思えないぜ……。負けだな」

 アンジェラを見返すと、彼女は不思議そうな目をした。

 自分でも自覚している。情けない顔をしているんだろう。

「この仕事を始めた時、俺は臆病者だとわかったんだ。だから、女子供はガードできない。

 死なせるのが怖かったからだ」

 今夜、潮の香りの中で、生きていたいと望む自分自身をレンは見つけた。雪村舞が示した白い輝きに、それは引き出された。あの輝きを護りたいと、無心になれる自分がまだ居たこと。彼女なら、護り貫けるのではないかと期待が芽生えた。

 だがそれは大甘な錯覚だった。

「これからも、同じだ……」



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