#1 プロローグ
高校3年生、春。
新学期がスタートすると同時に受験モードに入る時期だ。
学校では、大学の説明会が頻繁に行われる。
大学の資料に目を通し、「評定足りるかな…」と考える生徒が殆どだろう、"自称進学校"なだけあって。
そんな皮肉は置いておいて、自分の成績を見て焦り出す生徒が殆どな時期だ。
その頃明楽は、大学の資料を読みながら「(こんな所俺が行けるのかねぇ)」と心の中で呟いた。
大学調べなんか後でいいと自分に言い聞かせて資料を閉じた。成績に自信があるかと言われたら勿論無い。大学進学なんてもっての外だ。高校を出たらバイトしながら金を稼いで、特に変わりもない平凡な生活を送れば良いと思っていた。
下校の時間になった。
校門はどんどん混み、それは通勤ラッシュ並みだった。
人混みに流されながら、明楽は校門を出た。
帰りは、学校からの最寄駅へ歩き、電車を3駅乗り継ぎ、そこからまた歩きだ。正直辛い。
電車を降り、家に向かって歩く。
下校の時間の中でこの時間が1番長い。
そんな時に色々と考えると、かえって疲れてしまう。
だから極力心を無にして歩いている。
そんな帰り道を歩いていると、一台のクルマに目が止まった。そこは中古車屋だった。軽、ミニバン、セダン、様々なタイプのクルマたちが値札を貼られてずらっと並べてある。
その中で妙に気になったクルマが1台あった。
RX-7だ。型式はFD3S型と言うらしい。
カラーは黒、ネットで調べた所、公式カラー名はブリリアントブラックと言うそうだ。
本当は帰ってゴロゴロしたいのに、そのクルマに見惚れて体が動かない。
そんな事をしていると、店員らしき人物がやって来た。




