勇者は魔物を逃がさない
剣を抜き放ち、雷撃を剣に纏わせる。
「【雷鳴剣】」
雷鳴を鳴らし雷撃を纏った剣を持ち、ソラはまずは大樹に向けて突撃する。トレントの強化された個体は己の周囲に生ませた触手をソラ目掛けて放たれる。
そのすべての触手を叩き斬るソラ。叩き斬ったまままっすぐ進んでいきトレントに剣を突き立てようとする。しかしトレントはソラの目の前に樹でできた盾を出現させる。
そんな盾を一瞬で斬り裂き、そのままトレントを斬り裂こうとするソラ。
しかしそれを防ぐかのうように背後から現れた狼が爪をソラに向けて突き立てる。ソラはその場で振り返り、その爪を受け止めはじき返す。
そこへ間髪入れずに触手が殺到し、ソラを貫こうとする。ソラはなんとか剣を使ってそのすべての触手を捌き斬ると、一本の触手を足場にして後ろに飛ぶ。
一度距離をとると、自身の肉体に魔力を流し込んでいき、そして電撃に変化させる。
「【迅雷】」
突如ソラの姿が掻き消える。瞬間触手がすべて斬り裂かれ、トレントの身体にも斬撃が叩き込まれる。トレントはまるで空洞に音が木霊しているような咆哮を上げる。
「ちっ!硬いな!!」
もう一撃入れようとしたところでトレントの上部が突如として震えだし、そこから凄まじい木の葉の手裏剣が襲い掛かる。それを全力で後ろに飛ぶことで回避したソラ。
回避した場所に狼が襲い掛かる。爪に魔力が纏われており、何らかの魔術的効果が表れると判断したソラはそれを回避する。
元々いた場所に爪が振り下ろされ、その爪の攻撃の軌跡に氷の斬撃が浮かび上がる。
(氷属性か。てことは空中を飛んでいるのは空気を凍らせて足場にしているということか。魔物のくせに賢いな)
ソラは自分の刀身に纏わせていた雷撃が霧散したことを尻目に、二体の魔物の能力を分析していく。その際にソラの赤い瞳が少し淡く光り始める。
(トレントのほうは自身の魔力を大地になじませ、性質を変化させて自身の眷属を召喚させる能力もち、と。上部の葉と幹にも何らかの能力が隠されてそうだな)
「これだから特殊個体は嫌いなんだ」
狼が低い唸り声をあげ、警戒するようにソラの周りをまわり始める。それに合わせるようにトレントが自身の眷属を増やし、触手を産み出し続ける。さらにはソラのつけた斬撃の傷は修復されてしまう。
再生持ちはめんどくさいと考え、ソラはまたもや剣に雷撃を灯そうとする。しかしそれを防ぐように狼が飛びかかる。それを回避すると、狼の通った後に氷柱がいくつも出現し、ソラ目掛けて放たれる。
放たれる氷柱をソラはすべて叩き落すが、隙を縫って触手が襲い掛かり、ソラの足首を掴むとそのまま力強く引っ張る。
引っ張られたことで地面を引き摺るが、すぐさま剣を使って触手を斬り裂き自由になる。そんなソラを読んでいたかのように触手の槍がソラに襲い掛かる。
転がってすぐに体勢を整えたソラは魔力を絞り出し、雷撃の壁を発現させる。雷撃の壁により樹でできた触手はすべて消し炭に代わる。
トレントはそれを見て今度は触手を動かし先端をソラに向ける。先端に魔力が収束していくのを確認したソラは、警戒心を上げてその場から動き出す。
その場から動いた判断は正しかったのか、ソラのいた場所に魔力の光線が殺到する。逃げたソラを光線が追いかけていくが、ソラにはそんな攻撃当たらない。
だがそこへ狼が攻撃を仕掛け、ソラの逃げる先を潰していく。ソラは何とか回避を続けるが、一瞬だけ回避が遅れ氷柱が足元に突き刺さり、脚ごと凍り付いてしまう。
そこ目掛けて光線が殺到し、ソラはすべての光線をその身で受けてしまう。なんとか魔力の膜でその攻撃を防ぐが、少し痛みに顔を顰める。
ソラは自身の魔力を今度は盾へと変換させる。雷の盾が召喚され光線を防ぎ始める。
そしてソラは魔力を収束させていき、一気に前に出る。触手を無視してトレントの懐に入り込み、一気に斬り裂こうと考える。
しかし今度の斬撃はトレントの身体を傷つけることができなかった。弾かれた剣をトレントの触手が絡みつき、その剣を取り上げてしまう。取り上げられた剣は一気に触手が絡みついていき、一本の大きな大樹へと変貌してしまう。
剣を取り上げられたことでソラの戦闘力が下がると考えたのだろう。トレントと狼の攻撃は苛烈になっていくが、むしろソラは笑みを浮かべると、腕に魔力を纏わせて構える。
「無天流【流天】」
襲い掛かるすべての攻撃をソラはすべて高速で攻撃をいなす。いなされた攻撃はすべてソラの背後や他の攻撃にぶつかり、防ぐ。
その技に驚いたトレントと狼。その隙をつくように今度は狼に近付いたソラは拳を握り締め、放たれた一撃は狼を吹き飛ばし、広場の壁に激突させる。
「無天流【撃天】」
放たれた一撃は魔力を少し纏った一撃。しかしその一撃は絶大で、狼は壁に激突した痛みよりも体に受けた一撃のほうが効いたため痛みに悲鳴を上げ続ける。
「獣風情が嘗めやがって。躾けてやるよ」
一気に狼に飛びかかる。狼は自身の周りに氷の剣をいくつも出現させ、それをソラに向けて放つ。ソラはそれらを【流天】で軌道をずらしながら突撃していく。
狼は口を大きく開け、口の中から氷属性を纏った光線を放つ。放たれたその一撃を受けるのは危ないと判断したソラは横に回避し、地面を転がる。
放たれた光線は地面を凍らせながら突き進み、広場の壁の一部を氷漬けにする。
「【氷撃】か。めんどくさい技も使えるみたいだな。だが─」
ソラは【迅雷】を使って一気に狼に近付くと、その体に連撃を叩き込む。叩き込まれた一撃一撃には雷撃も含まれており、狼の身体を痺れさせてしまう。
「【雷拳】。無天流【烈天】」
雷属性が付与された連打が狼の身体をさらに壁に打ち付けると、そこに止めを刺すように体の内側に留めていた魔力を開放し、そのすべてを右手に宿らせる。
「無天流【撃天】」
凄まじい一撃が狼の身体に放たれると、狼の身体全てを消し飛ばしてしまう。
ソラはそれで終わることはせず、続けざまにトレント目掛けて突撃を開始する。トレントは自身の眷属である触手をすべて使ってソラの進行を阻もうとするが、ソラはまたもや【迅雷】を使ってトレントの背後へと回り込むと、自身の剣が封じられた大樹に触れる。
「【落雷】」
雷撃が大樹を焼き焦がし消し炭にすると、大樹の中から剣を取り出す。そしてソラは剣を握り締めると、黒く光り輝き始める。
黒い光は斬撃へと形を変え、トレントの身体に叩き込まれる。トレントは防御のためにいくつもの樹でできた盾を創り出したが、それら全てを貫通し、斜めに叩き斬られて真っ二つになる。
黒い光を纏った剣を手に天井を見たソラに声が響く。
『すごいねその剣。それに・・・まさか私の傑作たちがこんなにも簡単にやられちゃうなんてね』
「強かったさ。それに面倒な能力だ。だからさっさと始末しただけだ」
剣を肩で叩きながらソラがそういうと、広場の中央を歩き始める。しかし──
『残念だなぁ。あんまりこの切り札は切りたくなかったのになぁ』
そう言いながらソラの正面のゲートが開き始める。ソラはいよいよ諦めでもしたのかと考えるが、目の前から放たれる凄まじいプレッシャーを感じ、剣を正眼に構える。
するとゲートの奥からゆっくりと人型の黒い靄が歩み出てくる。それを視界に収めたソラは驚愕に目を見開き、声を荒げる。
「お前!!精霊にも手を出したのか!?魔物だけならまだしもそこまで手を出すとはな!!」
『精霊ではないよ?それはもともとはレイス。ゴーストの上位種を弄ってたら精霊みたいになっちゃったんだよね』
「人工精霊ってことか?人の域を逸脱した行為だぞ」
『アハハハ!ありがとう!最高の誉め言葉だよ。でもその子は全然いうことを聞いてくれなくてね。性能テストも全然できてないの。だからさ、試させてよ?』
その言葉に従うように精霊の手に黒い靄が集約していき、一つの剣の形を創り出す。そしてそのままぬるりと移動し、気が付けばソラの目の前に精霊が移動をする。
その動作はゆっくりとした動きではあったもののその剣はあまりにも自然にソラの首を狙う。そのあまりに自然な動きにソラは少し反応が遅れてその剣を受け止める。
少し冷や汗を流しつつも精霊の剣を弾き、ソラは一度精霊から距離をとりじっと眺める。
(こいつ・・・あまりにも自然な動きすぎて移動したことにも気が付けなかった。まるで意識の隙間を縫われたような)
そう考えるソラの目の前でゆらりと黒い靄が踊る。三連撃。一瞬の内に三回の斬撃がソラに叩き込まれるが、ソラはそれらを弾き逆に斬りかかるが、精霊はその攻撃を避けるまでもなく受け止める。
しかしその一撃はすり抜けてしまい、まるで空を斬ったような感触にソラは一瞬戸惑うも、視界の端で斬撃を捉え、なんとか後ろに後退する。
膝をつきながら後ろに後退したソラは左腕の二の腕あたりから少し血が噴き出す。しかしそんなことに気も止めず、剣を握り締めて雷を纏わせる。
「【雷鳴剣】」
ソラの十八番である魔術を纏わせ、精霊に斬りかかる。精霊はその攻撃を今度は受けるのではなく回避し、その斬撃に当たらないようにしている。
(魔力込みの斬撃か魔術ならダメージがあるってことか?)
斬撃を回避し続けていた精霊は突如として左手に盾を召喚し、ソラの剣を受け止める。受け止められた衝撃で雷撃が周囲に飛散する。
(魔力が・・・剥がれるッ!?)
ソラは自身の剣に纏わせていた魔術が剥がれていくのを感じ、なんとか剣に留めようと魔力を込めていく。しかしそれを凌駕する力が精霊から放たれ、ソラの剣に纏われた魔術を引きはがしてしまう。
ソラは一度後退し、もう一度魔力を流し込み魔術を構築しようとするが、それを防ぐように精霊が剣をその場で振るい、黒い斬撃を飛ばす。
放たれた斬撃を剣で受け止めると、また剣に纏っていた魔力が剥がれていく。今度は闇の斬撃に纏われていた魔力が吸収されていき、斬撃のほうは大きくなっていく。
「闇の魔力特性か!?ここまで強い・・・とはな!!」
なんとか斬撃の軌道をずらしたソラは右側に転がることでなんとか回避する。
(闇属性魔力の特性をここまで強く活かせるってことは魔力の圧縮率が高いということだ。あの剣の一撃を受けると見えてる魔力以上にダメージを負いそうだ)
魔力とはそれぞれに属性というものが存在している。その属性は人によって変化し、体内にある心臓に備わっているとされている魔力炉によって千差万別の変化を見せる。
一人一つということもなく、いくつもの属性を生成できるものもいるのだという。
そして魔力属性が変化するとその属性の持つ特徴もそれぞれ変化が生じるのだ。
例えば火属性であれば簡単に”燃やす”という特性に特化するものも在れば、”温める”といった特性になったりするものもある。
水属性であれば”濡れる””滑る”“流す”。土属性であれば”固める””形どる”
。風属性であれば”飛ばす””浮かす”。
などなど様々な特性が魔力属性には備わっているのだ。どの魔力特性を活かすかはその本人次第であり、その特性を活かす方法が魔術へと変わるのだ。
今回精霊が使用しているのは闇属性魔術【常闇を纏う剣】。接触したものの魔力を吸収し自らの力に変える魔術である。
それを使うことでソラの魔術を無効化し、自分の魔術を強化していたのだ。この魔術は自分の込める以上の魔力を扱うことになるため、魔力操作の制度が極めて高い水準で要求され、普通の人であれば扱うことはできない。
しかし相手は精霊。魔力そのものであるため、そのような魔力操作などはお手の物なのであろう。
精霊の剣には未だに闇の魔力が纏われており、【常闇を纏う剣】が発動したままなのが見て取れる。
それに触れれば折角の魔術が解除されてしまうと考えたソラは、まずは攻略法を探るために周囲に雷の魔力で作り出した魔力球をいくつも生み出し、それらを精霊にめがけて放つ。
精霊はそれに対し剣を振るい全てを薙ぎ払っていく。しかしソラは諦めることなく魔力球の数を増やしていき、さらに精霊にぶつけ続ける。
次第に視界を覆うほどの魔力球が襲い掛かる中、精霊は煩わしそうに魔術を発動させる。黒いドームが精霊を覆い隠し、壁のようになって魔力球全てを受け止め始める。
それを見た瞬間ソラは別で溜めていた魔力を一気に剣に纏わせ前に出ると、上段に剣を振りかぶる。
「無天流【斬天】」
凝縮された魔力の剣が振り下ろされ、ドームを一刀両断にする。ドームの中では片腕を斬り飛ばされた精霊が驚いたような雰囲気をだしていた。
周辺のドームが霧散する前にいくつもの黒い球体に変化しそこから棘が伸びてソラを貫こうとする。ソラはその場で回転し、その回転の軌跡に魔力の糸を乗せることで高速回転する防御技を発動させる。
「無天流【回天】」
ただの防御魔術ではなく放たれる攻撃をベクトルごとずらすその技のおかげで黒い棘はすべて弾かれ、ソラに傷一つ負わせることはできなかった。
しかしその技はその場から動けなくなってしまうことが欠点であり、その隙を見抜いた精霊はすぐにその場から後退し、自身の腕を再生させる。
(再生能力は持ってるよな。まぁ体が魔力でできてるんだしそりゃそうだよな)
精霊という存在は魔力ですべてが構成されている。そのため通常の物理攻撃は精霊には届かず、魔力を纏った攻撃しか通じないのである。
そして魔力で構成されているということは魔力さえあればどんな傷でも癒せるということである。そのため精霊を倒すにはどこかに存在している核を探す必要があるのだ。
(高速で斬り刻んで粉微塵にするのが一番手っ取り早いが・・・)
ソラの考えを止めるために精霊が突撃してくる。黒い盾を召喚し、前面に押し出しながら突撃してくる精霊に対してソラは横薙ぎに剣を振るう。
雷の奔流が斬撃の軌道に合わせて放たれる。雷属性魔術【雷轟】を発動させたのだ。直線に飛んでいく雷の光線が横薙ぎに払われ、その途中にいた精霊にも直撃する。
直撃したことで突進を止められた精霊だったが、魔術自体は左手に持った盾によってしっかり防いでいる。しかし盾を構えたことで視界が遮られることを利用し、背後に【迅雷】を使い回り込んだソラ。
その動きを予測していたのか精霊は何も確認せずに剣を後ろに振るい、ソラに斬りつける。ソラはなんとかしゃがむことでそれを回避するが、精霊は返す刃で剣を振り下ろす。
そのまま右側に転がるように回避したソラに黒い盾を投げつける精霊。ソラはその盾を弾こうとして、直前で盾に込められている異常な魔力量に嫌な予感がし、すぐさまその場から【迅雷】を使って後方に飛ぶ。
そのすぐ後に盾が爆発し、広場に大きなクレーターを一つ作る。闇属性魔術【爆ぜる闇】。闇の魔力を対象となる物体に込めることで爆弾に変える魔術である。
もし気が付いていなかったら爆発をもろに受けていたためかなりの傷を負わされていたであろう。そして視界を煙によって遮られたソラは精霊の位置を探ろうと【雷の探求】を使うが、それが放たれるよりも先に煙の中から闇属性の矢がいくつも放たれる。
それらを右手の剣ですべて叩き落し、更に煙の中から突っ込んでくる存在に剣の切っ先を向ける。煙を突き破ってきた精霊は煙を越えたタイミングで突きが脳天に刺さる。
しかし剣が脳天に突き刺さるとのっぺりとした顔に邪悪な笑みを浮かべ、そして霧散して消えてしまう。その瞬間煙の中から何体もの精霊が飛び出し、ソラに襲い掛かる。
「【影法師】か!?」
魔力によって自身の複製体を創り出す魔術。これを使って人数を増やした精霊はソラに複製体を送り込む。
ソラはなんとか迫りくる剣戟を捌きつつ反撃し、複製体の数を減らそうとする。しかし突如として複製体すべてがスライムのような形となってソラの周囲を覆い隠してしまうと、そのまま大爆発を巻き起こすのだった。
凄まじい揺れが通路にも伝わり、天井からぱらぱらと破片やほこりが落ちてくる。それを視界の端に収めながらローブの翁は息を整えていた。
すでに通路は至る所が崩れ、地面にはいくつものクレーターが出来上がっている。そんな通路の奥には未だに無傷のラバースーツの女性が立っていた。
翁は隣でポーションを飲んで回復している少女は空になった瓶を床に投げ捨てるとラバースーツの女性をきっと睨みつけると、魔力を一気に開放させる。
「ごめんおじいちゃん。最大火力で突っ切る!!」
「馬鹿もんが!奴の力量はある程度把握したじゃろう!そんなものが通用する輩ではないわ!!」
「わかってる!でもこの揺れ広場からでしょ!?だったらイヴァーナのほうも危ないんだから迷ってられるわけないじゃない!!」
魔力は炎へと変換されていき、猛々しい炎が少女の周りで燃え盛る。そして一つの魔術へと徐々に姿を変えていく。
「だからここは一気に押し通るよ!!」
「できるの?君に」
初めて喋ったラバースーツの女性。しかしその言葉は嘲笑にもとれるもので・・・少女は怒りのあまり顔を真っ赤にして魔術を発動させる。
「【深紅の焔を纏う牛】!!!」
燃え盛る牛が炎によって形成される。その炎の牛は敵であるラバースーツの女性を睨みつけると、脚に力を籠め始める。力のこもり始める脚には凄まじい熱量が集まり始める。
それをみたラバースーツの女性は目の前にいくつもの闇属性の盾を創り出し、壁も創り出して防備を整える。
そして溜められた熱が解放される。凄まじい熱波を周囲に巻き散らしながら紅い光線となって牛が駆ける。
障害となるはずだった闇の盾や壁はすべて瞬時に破壊され、背後で構えていたラバースーツの女性の剣に衝突する。一瞬耐えたラバースーツの女性だったが、すぐに足が地面を離れ、はるか後方へとそのまま牛ごと吹き飛んでいく。
少女はガッツポーズをしてその結果に喜ぶが、翁は吹き飛んでいった方向を見てぼそりと言葉を落とす。
「あっちって広場のほうじゃないのか?」
その言葉にあっという表情になった少女はすぐさま足裏から炎を噴射して後を追いかける。翁はやれやれといった風に首を振り、追いかけるように風を纏って通路を空に飛んで進んでいく。




