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なんとなく日和  作者: たまころ


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毒親かもれない

今回は暗め。

「小説家になりたかったんですか?」


 そう聞かれて思い出したことがある。

 中学生の頃、そういえば「小説家になりたい」と発言したな、と。その時は実際には小説を書いたこともなくて、書いてみたりもしなくて、言ってみただけだったけれど。

 その時、母はその発言をバカにしたように笑ったことを覚えている。


 どうして小説家になりたいと思ったのかというと、単純に人と関わって社会で生きていく自信がなかったからだ。集団生活が苦手だった。

 それは今も変わらなくて、自分のことをコミュ障だと思っているし、人と関わらずに生きていきたいといまだに思っている。

 それなのになぜか現在は接客の仕事をしていて毎日疲弊しているのだけれど。


 わたしは中学生の頃、親に愛されていないことに苦しんでいた。

 いや、愛されてはいたのだろう。衣食住は整っていたし会話もしていた。けれど、それは他の姉弟に比べて明らかに濃度が違う。わたしのようなひねくれた性格の娘の扱い方がわからなかったのだろうことも理解できる。


 けれど、わたしは母が姉とわたしのことを「ぶりっこ」と言っていたことや、わたしが会話に加わろうとすると「なんでもない」と言われて避けられたあの日々を覚えている。


 わたしは自分なんか愛される価値がないと、あの時から変わらず思っている。

 大人になってそんな自分ともだいぶ折り合いをつけられるようになって、生活が出来る程度には社会に溶け込んでいると思う。


 家族に愛されて、それを当たり前に受け容れている人は眩しいし、そういう人間とわかり合うことあうことは出来ない。けれど、同じような境遇の人ともわかりあえないと思う。

 結局のところ人は孤独で、誰ともわかりあえないのだと、わたしは思っているのだ。


 そんなわたしが書いた小説を誰かが読んでくれて評価してくれることは、あり得なかった未来で、とても嬉しい。

 昨年、短編の一つをコミカライズしていただき、アンソロジーコミカライズが発売された。わたしの書いた物語が本になった。

 小説家にはなれていないけれど、漫画原作者の肩書はついた、と嬉しく思う。


 趣味で小説を書いていることは基本的に今一緒に暮らしている家族以外には話していないけれど、時折、自分が書いた小説がコミカライズされたと話してみたい衝動に駆られる。驚いて、きっと凄いと言ってくれるだろう、とにやりと笑う。


 けれど、もしこの先、わたしの書いた小説が賞をとったり、本になるような奇跡が起きても、わたしは母に「小説家になった」とは言わないだろうな、と思う。


 わたしが悩み苦しんだあの頃、毒親という表現はなかったけれど、大人になった今、ふと思った。あれ、私の親って毒親だった?

 そうか、毒親か。そう思って腑に落ちた。

 わたしが生き辛いのは自分のせい、それは間違いない。考え方や物事の捉え方、そういうのはわたし個人の問題。けれど、そういったわたしを形作る一部は、確かにわたしが生まれ育ったあの場所で、あの家族のもとで形成されたのだな、とも思う。


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