よくある悪役令嬢転生だと思ってた
猫様のしもべです。
寝ようとしてたらアイデアが降ってきました。
インフルにかかってたからか、頭がバカです。
頭空っぽにして読んでください。
雪より白い月を持つ、オトメ星には、1000年間繁栄を続けるハピエン帝国がある。
とても美しい国で、まるで物語の世界のようーー。
そこに、彼女は転生した。
「婚約破棄してくださいませ・・・」
よよよ・・・とベッドの上でわざとらしく泣く少女。
真っ黒な髪の毛に、真っ赤な瞳。
黒いゴスロリドレスを着て、金ピカゴテゴテな部屋にいる。
彼女の名は、ヴィラ・アックージョ。
ハピエン帝国で、王族の次に権力のある、アックージョ公爵家の1人娘である。
そんな彼女には、前世の記憶があった。
前世の彼女は、いわゆる「悪役令嬢転生系」にハマっていた。そりゃもう、めっちゃハマっていた。前世の死因だって、それ系マンガに潰されてだし。
まぁそんなこんなで現在転生して、9歳まで成長したのだ。
この記憶を思い出したのは、つい2時間ほど前、庭で盛大にコケて、噴水に落ち、頭を打ち、気絶し、運ばれた時である。
そしてこのベッドの上で目が覚めた。
目が覚めたら彼女は確信する。
これは、転生したな・・・と。
(それもまさかの私の大好きな大好きな、大大大だーいすきな、ゲームの中よ!)
そう、ここは彼女が前世で、周りが引くほど好きだったいわゆる乙女ゲームの中なのである。
そして彼女は悪役令嬢・・・神の子であるヒロインをいじめ、王子にざまぁされる役である。
その後王子はヒロインと結婚し、神になる。
王子の名は、ヒーロ・オウジ・ハピエン。
ヒロインは、偽名が、ヒロイ・ビージョ。
本名が、ヒロ・ビージョ・オトメである。
・・・作者は名付けがとても下手だったそう。
(ざまぁなんてされてたまるか!された側はスカッとしないし、ヒロインに殴りかかっちゃう!)
そんなわけで、彼女は前世読んだマンガを思い出す。
そして、思いついた方法を実行するのだ。
「・・・婚約破棄はしません」
よしきた!と彼女は薄ら笑いを浮かべる。
彼女の思いついた方法とは、次のとおり。
まず、ゲームの内容をヒロインの正体以外、ぺらぺら話す。
そして「このままだと自分は破滅する!」と大袈裟に泣き真似しつつ、婚約破棄を申し出る。
すると王子は何故か、婚約破棄を断り、自分に惚れ込んで溺愛、ざまぁもなくなり、パラダイス!
というプランである。
そして、実際にヒーロは婚約破棄を断った。
さぁ、次の言葉を述べなければ。
ヴィラが、涙目になりながら、驚き顔で言う。
「な、なぜですか!?私はこのままだと、殿下に婚約破棄され、追放されるというのに!」
「なぜなら・・・」
ヴィラは心の中で勝ち誇りながら、次の言葉を待つ。
すると、予想外な言葉が飛んできた。
「父上の言いつけだからです」
「・・・は?あ、いえ、はい?」
すぐに言い直した。
あまりの驚きに、涙も引っ込む。
ここは「貴女に興味を持ったからです」とか言われる予定だったのに。
「当たり前でしょう?国王たる父上の決定は、何が何でも覆せません。貴女も自分の父上が決めたことは覆せないでしょう」
それを覆すのがアンタだろうが!
と心の中でヴィラは叫んだ。
だが、正論なのが困ったところ。
実際、この国の王であり、目の前の王子の父親の命令には、何人たりとも逆らえない。
そしてヴィラもまた、父親の決定に逆らえない。
だが!ここはゲームの中だ。
そんなちょっとしたルールなど、簡単に覆る!
「そ、それはその通りでありますが、申し上げた通り殿下には、いつか『星の乙女』が現れますの。私などとの逢瀬にかまけていては、彼女に逢えませんわ!」
「乙女座なんかどうでもいい。俺は蠍座だ。相性が悪い」
彼は占いをよくよく信じていた。
母親が占い師だからだそう。
実は、この乙女ゲームにて、それぞれの攻略対象との好感度を知るには、占いを使う。
相性が%で示される。それが高ければ高いほど、好感度が高いと言う、謎仕様であった。
(当たり前だろ、ゲーム始める前なんだから!)
相手は冷徹な王子。攻略難易度はMAX。
もちろん、始める前は、好感度ゼロだ。
「星の乙女」=ヒロインは、乙女座。
たまに相性占いをするといいと、さっき教えた。
今占ったって意味がないというのに。
(くっ、プランBに賭けるか・・・)
プランBとは、よくマンガである、冷徹と呼ばれる人間が、本当は冷徹じゃないパターン。
もしそうなら自分を溺愛する可能性もある。
「殿下、私さっき頭をぶつけたため、もう社交会には出られないかも知れません・・・」
「前髪で隠せばよかろう」
この王子は、評判通りの冷徹であった。
当たり前っちゃ当たり前。本来その冷徹さを、ヒロインがときほぐすのだから。
(くっ、こうなったらプランCね!)
悪役令嬢転生系は、種類豊富。
プランもいくつか考えられる。
次のプランは、学園でヒロインに優しく接すれば、王子がその様子に心の扉を全開放するかも!
というもの。
ここまで来たら、やるっきゃない。
彼女は、学園に通うことを決めた。
だが、彼女は忘れていた。
このゲームの、人気の原因たる、最強仕様を。
◇
そうして彼女は長い勉強と稽古を経て、学園へ入学した。
国立ハピエン学園。
国のトップクラスに優秀な者たちが通う学園。
ヴィラは校門をくぐり、ヒロインを探す。
(どこだ、あの特徴的すぎる髪と目は!)
ヒロインは、青みがかった銀髪に、青から白へ変わるグラデーションの瞳を持つ。正に、ヒロイン。
すると、煌めく銀の髪の毛を見つけた。
「みつけたぁっ!!」
ヴィラは走り出した。
そして、ヒロインに向けて、立ちはだかる・・・。
「き、きみは・・・?」
「っえ・・・?ん?は、はぁぁぁぁっ!?」
そこにいたのは、超美少年だった・・・。
そこで、ヴィラは思い出した。
このゲームの人気の原因!
それは、主人公と、攻略対象の性別を選べること。
つまり、女同士で百合や、男同士で薔薇もできる!
そしてヒロインが男で、王子がいるということは、ヴィラが前世でよくやっていた、薔薇の咲き誇る仕様なのだ!
「ど、どうした・・・?」
ヒロインこと、男主人公ヒロイが、驚いている。
仕方ない、ここは校門をくぐったばかりの、人が大勢通る道なのだ。
そんなところで公爵令嬢が騒いでいたら、ドン引き必須だろう。
ヴィラは焦る。とても焦る。
男主人公、男攻略対象なんて、悪役令嬢転生系では、ヴィラでさえ、見たことないほどだ。
(プ、プランがいろいろ潰れた!ど、どうしよう!)
ヒロイはとりあえず、ヴィラを落ち着かせようとする。
するとそこに、ヴィラの婚約者が!
「アックージョ公爵令嬢・・・何をしているのですか」
「!す、すみません!いや、違うか、えっと、彼女、いや彼が・・・えっと、平民なのにここに・・・あれいや、男主人公だと、えっと・・・」
「???」
ヴィラは焦りすぎて、何を言っているのかわからないことに。
ヒーロはため息をついて、言う。
「アックージョ公爵令嬢、落ち着いてください」
「は、はい!えっと、そろそろ入学式ですわ!行ってきます!」
ヴィラは諦めて、その場を後にした。
ヒーロとヒロイは顔を見合わせ、ため息をついた。
ヴィラは講堂に入ると、自分の席に座った。
そして頭の中を整理する。
(えっと、まず、ここは男主人公、男攻略の薔薇。私にとっては万々歳だが、私がざまぁされることに変わりはない。てか、この薔薇世界で、なんで王様は私と王子を婚約させるんだ・・・)
すると、隣にヒロイが座ってきた。
そして、ヴィラにこそっと話しかける。
「後で話したいことがある。この世界について」
「・・・!!!っしゃ!」
「静かに・・・!」
ヴィラは歓喜する。
これはきっと、ヒロインも転生している。
つまり、このパターンは、プランFだ!
プランFとは、ヒロインが転生しており、自分がヒロインであるのをいいことに、皇子と婚約している悪役令嬢であるヴィラを、貶めようとする。
そしてそれに気づいた王子が、ヒロインを逆ざまぁして、ヴィラを溺愛!
というものである。
ヴィラは心の中で勝利のダンスを踊りながら、校長の長い話を右から左へ流した。
◯
そして入学式が終わり、ヒロイと2人で空き教室へ。
こそこそ話しの定番である。
「それで、どうしたの?ヒロイさん」
「貴女は、ここがあのゲームの世界であると知っていますね?」
「はい!」
ヴィラは大喜び。これは来たと思った。
相手が男であろうと、きっと変わらないと。
すると次の言葉が、またヴィラの妄想を打ち破る。
「よかった〜!!」
「ん?」
「僕、1人でこんな世界に転生して、しかもヒロインだなんてどうしようかめっちゃ悩んでたんですよ!」
「んんん?」
どういうことだと、頭が「?」で染まる。
すると、ヒロイが説明を始めた。
「あ、言い忘れてましたね。実は僕、ノーマルなんです」
「はぁぁぁぁ!?」
ノーマル・・・つまり、同性愛ではなく、異性愛を求める者。
だがここは薔薇園である・・・。
「はぁ、本当困りましたよ。僕は女の子と恋愛をしたいのに、男攻略の世界なんて。しかもヒロインバフなのか、男にめっちゃ好かれるし」
「そ、そりゃぁ困ったね・・・」
もう何が何やら、ヴィラは考えるのを諦めた。
ヒロイは話を続ける。
「しかも、神の子なんて立場で、それを隠せと言われるし、なんで隠さにゃならんのやらわからんし、婚約者見つけてこいって言われるし、もー本当困りますって〜」
「は、はぁ・・・」
ヴィラのプランが、また1つ砕け散った。
だが、まだ望みはある。
ヒロイが誰かと婚約してくれれば、王子は結局自分の婚約者のまま。つまりざまぁされないということだ。
「そんなわけなので、手を貸してください!」
「はい?」
またヒロイが訳わからないことを言い始めた。
ヴィラはもう、思考が停止している。
ヒロイがペラペラ話し始めた。
「このままじゃ僕、ヒロイン特権ということで、知らぬ間に攻略することになります。そうしたら男の楽園に連れ込まれる・・・。僕は女の子と恋したい!前世でも散々だったのに、今世では男に好かれるなんて許せなーい!なので、ざまぁできないようにしましょう!ね?」
「!!は、はい!」
ざまぁできないように、の一言で、ヴィラの思考が復活する。
ヒロインと手を組むなんて最強だ。
これならざまぁされないはず。
「じゃあまずは、王子をどう貴女に向けるかですね。王子が他に向いても貴女はざまぁされちゃうので、手伝ってもらってそれは悪いです」
さすがヒロイン。優しさは兼ね備えている。
ヴィラは、ヒロイと作戦会議を始めた・・・。
◇
それからは目まぐるしい日々。
作戦成功のため、日々尽力する。
その作戦とは、次のとおり。
攻略対象は5人。王子、護衛、義弟、公爵令息、暗殺者である。
なので、王子はヴィラとくっつけ、他4人を適当にくっつくようにすれば、いけるのでは、とのこと。
もし上手く行かなそうでも、ヒロインが好きな女の子を見つければいい。
なので、とりあえず、護衛を暗殺者とくっ付けようとしてみた。
元より神の子という正義と、暗殺者という悪が、くっつく予定なのだ。
なら護衛という正義が相手でも、いいのでは?という算段である。
義弟に関しては、ヤンデレ枠なので、適当に公爵令息をがんじがらめにしてくれればな〜と思っている。
一応念のため、それぞれがヴィラにも想いが行くように仕掛けておく。だがまぁ、難しい。
◇
そうして3年が経った・・・。
ヴィラは18歳になった。
ヒロイも18歳。断罪の日が近づく。
卒業パーティー(夜会)だ。
ちなみにヒロイの正体は2年の時にバレるのが、ゲームの流れだった。
王子と魔物討伐中に強い魔物が飛び出し、王子を守るために正体を明かすのが、本当の流れ。
だが、王子と徹底的に関わっていないので、バレていない。
ちなみにこのパーティー中、ヒロイはヴィラの隣にいるつもり。
三角関係に見せれば、より上手く行くだろうと。
扉が開き、ヴィラは中に入る。
王子は上から降りてきて、ヴィラに求婚が、プランの流れ。
ちなみにゲームの断罪なら、ヒロインと腕を組み、扉から入ってくる。
「ふぅ・・・」
緊張がよぎる。
その時、周りがざわっとした。
(ま、まさか・・・!)
嫌な予感は的中した。
王子は、他の人と腕を組み、扉から入る。
だが相手はなんと・・・。
「で、殿下、そのお方は・・・?」
「すまない、ヴィラ。俺は本当の愛に目覚めた」
この言葉は、断罪の時のセリフ。
けれど相手はヒロインではない。
「ま、まさか・・・私の義弟と・・・!?」
「ああ」
相手はなんと、ヴィラの義弟であるヤンデレ。
(ヤンデレがヒロインポジと!?)
「すみません、お姉様。ぼくはヒーロ様に恋をしてしまったのです・・・」
これも本来なら、ヒロイが言うセリフ。
ヴィラもヒロイも、頭がこんがらがる。
「?」に支配されるヴィラとヒロイをよそに、ヒーロは言葉を紡ぐ。
「だがヴィラよ。これは俺のみの罪ではない。お前こそ、この4年間、ことあるごとにそこのヒロイとか言う男と会っていただろう!」
「!!!」
確かにヴィラは、毎日のようにヒロイと話していた。
なんせ作戦成功のために欠かせないから。
だが、それは浮気と見られても、仕方ない。
「よってヴィラ、お前との婚約は、破棄する!!」
「なっ・・・!」
婚約破棄の宣言がされてしまった。
ざまぁされてしまった。
ヴィラは頭が真っ白になる。
「お前の罰は、遠方へ追放とする。ついでに、浮気相手のビージョもな」
「なんですって!」
「騎士達よ、連れて行け!」
「ま、待って・・・!」
ヒロインと悪役令嬢が同時にざまぁされるなんて、笑えない。
すると奥から人が歩いてきた。
義弟とくっつけようとしていた、公爵令息だ。
「待ってください、殿下」
こ、これは!とヴィラは喜ぶ。
プランH。他の人が断罪された悪役令嬢を、助けてくれて、ついでに溺愛してくれる展開だ。
だが、またまたプランは、フラグは、折られた。
「何だ?貴様」
「貴女が運命の相手だと言い張る彼は、俺の恋人だ!勝手に奪うな!」
「は?」
ヴィラとヒロイは、もう呆れ始めていた。
男3人の三角関係を見せられ、ざまぁされたのに放置され、考えることも放棄した。
「貴様の相手は後で。まずはこの者達を追放せよ!」
騎士達がヴィラとヒロイを捕らえようとする。
もう、ダメだ。諦めようとした。
だが、ヴィラは忘れていた。
隣にいる人物が、誰なのか。
「もういい。茶番には飽きた」
「・・・え?」
「来い、神なる獣よ、我が従獣よ!」
すると、天井を何かが突き破った。
穴の空いた天井から、月明かりが差し込み、その何かを、煌々と照らす。
白く輝く大きな身体、コテコテした金の飾り。
この星に住まう神獣、白虎だ。
「うわぁぁぁっ!」
天井が落ちるが、王子とヴィラ、ヒロイには当たらない。ヒロインバフである。
ベンヌが床に立った。
「き、きさま!何者だ!?」
「僕はこのオトメを守護する、神と女神の子。ヒロ・ビージョ・オトメだ」
「神の子・・・!?」
驚く王子を他所に、白虎が体勢を低くする。
まるで乗れとでも言うかのよう。
「さ、乗って。ヴィラ、一緒に行こう」
「ふぇ・・・?は、はい」
訳わからないまま、白虎に乗る。
暖かいのに冷たい、不思議な毛並み。ふわふわだ。
そして白虎が、ふわりと浮き上がる。
その瞬間、ヒーロが叫ぶ。
「す、すまなかった!神の子だなんて知らなかったんだ!頼む、許してくれ!俺と結婚しよう!」
「は?誰がするか。と言うか、隣に気をつけろ」
ヤンデレの真横で浮気なんて、バカなことをする。
ヒロはそう言った。
ヒーロはこの後、義弟に監禁されるだろう。
そして、白虎は飛び立つ。
風圧で、ガラスが割れたり人が倒れたり。
でもそのまま、飛んでいった。
ヒーロ達は、呆然と見ていた。
「もう何が何やら・・・」
ヴィラはそう呟いた。
ヒロもため息をついて、言う。
「あそこまで王子がバカだとは・・・。乙女ゲームって怖いな」
「どうして私を助けてくれたんですか?」
「ヒロインと悪役令嬢の恋も面白いかなって」
「・・・ふふ、確かに」
そして2人を乗せた白虎は、天の国へ飛んで行く。
空には、真っ白な月が煌々と輝いていた。
これはプラン外だが、最高のパターンだ。
(あれ、でもちょっと待てよ?ヒロイが神の子で、後の神・・・なら私は後の女神?)
つまりこの後待っているのは、女神になるための、猛勉強。
ーー終わった☆
拙い文章でしたが、最後までお読みくださり、ありがとうございます。
悪役令嬢ってなんか強いですよね。
今更ですけど、ヴィラとヒロって、見た目の色、真逆ですね。
ヴィラはヴィラン、アックージョは悪女から。
ヒロイはヒロイン、ビージョは美女から。
ヒーロはヒーロー、オウジは王子から。
オトメは乙女、ハピエンはハッピーエンドから。
名付け下手な作者ですね〜。
これから長編に挑むつもりです。
面白いなと感じられましたら、応援していただけるとモチベになります。




