第95話 地下牢で蠢くもの
翌朝、『四星の絆』はムビの家を出て、ルナプロダクションへ出社した。
エントランスをくぐると、エヴリンが笑顔で出迎える。
「おはよう。みんな、久しぶりね。早速だけど、会議室に集合してもらえるかしら?」
案内された会議室には、社長とエヴリン、そして『四星の絆』の5人。
静かにドアが閉まり、面談が始まった。
「この一週間、本当に大変だったね。まずは、無事に帰ってきてくれて本当に良かった。
僕としては、それが何よりだよ」
社長はそう言って、安堵の表情を浮かべた。だがすぐに、表情を引き締める。
「ただ、世間が少し騒がしくてね。急遽、会議を開くことにしたんだ。
昨日の記者会見、僕も見させてもらった。ムビ君の話は、全部事実だと考えていいのかな?」
「はい。そこは信じていただいて大丈夫です。ゼルの発言は、すべて嘘です」
「……なるほど。僕もムビ君を信じているよ。
ただ、会社にはかなりの数のクレームが来ていてね。会見後は少し落ち着いたけど」
「社長、暗い話ばかりしても仕方ありませんよ」
エヴリンが明るく口を挟む。
「まずは、祝うべきことがあるでしょう?
みんな、本当に生きて帰ってきてくれてありがとう。
そして――『Mtube』登録者100万人突破、おめでとう!」
「えへへ♪ ありがとうございます!」
「いや、本当にすごいよ。君たちの活躍で、会社に15億円の利益が出た。
君たちだけで、部署2〜3個分の稼ぎだよ」
社長が笑顔で続ける。
「そこでだ。『四星の絆』のアリーナ公演を企画しようと思っている」
「えええっ!? アリーナですか!?」
全員が目を見開き、歓声を上げた。
「そう。1万人以上収容できる会場だ。今の君たちなら、きっと満員にできると判断した」
「よかったわね。今までの努力が実を結んだのよ」
エヴリンが優しく微笑む。
『四星の絆』のこれまでの最大動員数は2,000人。
ついに、アイドルとして“大台”に手が届くのだ。
「よっしゃー! 早速レッスンだー!」
会議を終えると、5人は勢いよくスタジオへ向かった。
「皆さん、歌の練習の前に……ちょっと試したいことがありまして」
ムビが前に出る。
この日を、ずっと待っていた――“モノマネ魔法”のお披露目だ。
ムビが4人に魔法をかけると、次の瞬間――
彼女たちの歌声が、まるでプロのボーカリストのように響き渡った。
「な、なにこれ!? ムビ君、私たちに何したの!?」
「えへへ、内緒です。でも、この歌い方に慣れれば、誰にも負けないくらい上手くなれますよ。僕が保証します」
魔法による模倣学習は、想像以上に効果的だった。
この調子なら、歌だけでなくダンスのパフォーマンスも飛躍的に伸びるはずだ。
(よし、ライブに向けて新曲も作らなきゃな。忙しくなるぞ――!)
暗い地下牢。
壁には、拷問器具が吊るされている。
その奥から、粘着質な音が聞こえてくる。
男が一人、牢の入り口に立っている。
「いかがですかな?私の使役する淫獣の調教は?」
目の前には、台に拘束された女が一人———リゼだ。
全身に触手型の魔物がウネウネと這い回っている。
テンタクルス———。
体液に催淫効果があり、全ての理性を吹き飛ばす。
「このテンタクルスのおかげで、うちの奴隷はよく言うことを聞くと好評なんですよ。あなたもすぐに良い商品になりますからね♡安心してください」
ゲロッグに攫われたリゼは、3日間この変態男の調教を受け続けていた。
あらゆる辱めを受け、その眼に既に生気はない。
しかし、敏感になった体を休むことなく蹂躙され続け、嫌でも艶めかしい声が地下牢に響き渡る。
「おう、調教はどんな感じだ」
牢が開き、ゲロッグが中に入ってきた。
「これはこれはゲロッグ様。調教は順調に進んでおります。今までで一番の上玉ですからね、テンタクルスも喜んでますよ」
「グフフ、そうだろうな。リゼたんの体は最高だもんな♪」
リゼはゲロッグに気付くと、生気の無かった瞳に怒りの炎が宿る。
「このエロジジイ・・・!死にたくなかったらさっさとこれを解け!」
リゼの反応と、触手の卑猥な動きを見て、ゲロッグはニヤリと笑う。
「なんだなんだ、しっかり触手と仲良くしておるではないか♪」
「そうなんですよ。すっかりテンタクルスのお気に入りです。胸なんかもう特にお気に入りで、一日中吸われまくってます」
「ウハハ、それはいい具合になってそうじゃのう♪どれ、試してみるか」
ゲロッグはリゼに馬乗りになる。
「・・・触んなっ!キモイんだよデブ!」
「リゼたんに朗報じゃ♪早速、明日買われることになったぞぃ♡最後の思い出作りに、ワシがたっぷり良いことしてやるぞ?♪」
「やめろ・・・この、変態っ・・・!」
「安心してよいぞ?一生忘れられないくらい、気持ちよくしてやるからのう??」
ニチャリと音を立て、ゲロッグの口元がいやらしい笑みを浮かべる。
「おぉー、これはエロいのう♪もっとこうしようか?それとも、こうか?んん??」
「やだぁっ・・・はあぁぁっ///やめっ・・・いやあああぁぁぁっ――――――!!」




