第79話 リゼのとある一日
「はぁ・・・はぁ・・・んっ」
リゼは自宅のベットの上で、自分の身を慰めていた。
以前『蝦蟇蜘蛛』の頭領、ゲロッグに捕えられた際に、全身に様々な責め苦を受けた。
その時の後遺症が、未だに消えない。
それどころか、日を追う毎に深刻になっている。
どうなってるのよ!?
体がずっと敏感なまま・・・しかも、疼きは日に日に増してる・・・。
疼きは耐え難く、『蝦蟇蜘蛛』のアジトから救出されて以降、毎日自慰が止まらない。
昨日まで『幽影鉱道』探索のため、2日間『白銀の獅子』のメンバーと一緒にいた。
その間はずっと我慢し続け、頭が狂いそうだった。
反動で、昨日自宅に帰ってきてから、性欲が止まらない。
もう夕方だが、今日も朝からずっとベットから出ていない。
「んんっ―――!!」
本日何度目か分からない絶頂。
リゼはベッドの上で果てる。
私の体、どうなっちゃうのよ・・・。
リゼのお腹が鳴る。
昨日から何も食べていない。
お腹空いた・・・。
ご飯食べに行かなくちゃ・・・。
リゼはシャワーを浴び、外出した。
街を歩くリゼの足取りはフラフラしていた。
あれ・・・なんか頭がおかしいな・・・。
最近、たまに正常な判断ができなくなるときがある。
後遺症のせいだろうか。
なんだか最近上手くいってないな・・・。
そういえば、ムビがいなくなってからだっけ。
頭がフワフワする。
なぜだか、昔のことが思い出される。
そういえば、最初はあいつと仲良かったのよね。
色々物知りで、アイディアも豊富で、よく助けてもらってたっけ。
私のタイプじゃなかったけど。
やっぱり男は強くないと魅力を感じないのよね。
でも、同じような男ばっかりでちょっと飽きてきたときに、1回だけあいつのこと誘ったっけ。
顔も悪くないし、ほんの気まぐれでね。
そしたらあいつ断って・・・。
私の誘いを断るなんて、後にも先にもあいつだけだった。
滅茶苦茶ムカついて、それからあいつに冷たくなったんだっけ。
顔見るだけでムカつきが収まらなくなって・・・。
最近、ゼルが怖い。
うすうす気付いてたけど、残忍な一面が見え隠れして・・・。
今回の報酬を山分けしたら、『白銀の獅子』を抜けて、ゼルとも別れようかな。
というか、元々そのつもりだった。
ムビを脱退させて、その後私も脱退して、一緒にパーティを組もうと思ってた。
ムビがクビになるように仕向けたんだっけ。
ゼルにもゴリにもマリーにも、あいつの悪口吹き込んで、私自身もあいつを傷付けて、孤立させて・・・。
ちょっと可哀そうだったけど。
まぁ、最終的に私が優しくすれば許してもらえるだろうし。
なんたって私、超可愛いし。
優しくして、落ちなかった男なんて一人もいない。
だから、間違ってもあいつが他のパーティに誘われないよう、周りにもかなり悪評流してたんだけどな。
あいつが『四星の絆』に加入したって聞いて、どれだけムカついたか。
あれ・・・?
私、あいつのこと意外と好きだったのかな・・・?
いや、そんなワケはないか。
でも、今は正直かなり気になる。
あいつが抜けた途端、『白銀の獅子』のパフォーマンスが落ちた。
決闘を経て、あいつには実は色んな能力があったことが判明した。
ずっと後方だったのに、あいつが前線で戦う私達の要だったってことだ。
それってかなり凄いことじゃない?
それに、あいつはデスストーカーを一人で討伐した。
疑う奴もいるけど、私には分かる。
『幽影鉱道』で見たあいつは違った。
雰囲気というか、オーラというか・・・。
何があったか分からないけど、本当にデスストーカーを倒せるくらい強くなったんだと思う。
ちょっとカッコよくなってた。
ちょっとだけだけど。
「おい、お前リゼだよな?」
フラフラと歩いていたリゼは声をかけれられ、振り返る。
ゴロツキが3人、こちらに近付いてくるところだった。
「やっぱりリゼじゃねぇか」
「どこ行くんだよ?へへへ」
「・・・何よ、あんた達?」
ゴロツキ達は、リゼの周りを囲んだ。
「『何よ?』じゃねぇよ。俺ら、『白銀の獅子』と『四星の絆』の決闘で相当金溶かしちまってよ。何みっともなく負けてんだ?ああ?」
「・・・はぁ?何あんたら、死にたいわけ?」
「何キレてんだてめぇ?キレて良いのは俺らだろうがよ!?」
確かに負けたのは事実だが、『白銀の獅子』に賭けたのは自分達だ。
言い掛かりも甚だしい。
「自分の金くらい自分でなんとかしなさいよ、ざぁこ?」
「へへへ・・・気が強ぇじゃねぇか。なら、俺らなりに工面させてもらうぜ」
男の一人が、後ろからリゼの胸を鷲掴みにした。
こんなバカは一発殴って終わりだ。
―――通常ならば。
「―――んぅッ!?」
リゼの全身を電流が駆け巡った。
腰が砕け、足に力が入らない。
・・・何なのこれ?体に力が入らない・・・後遺症のせいなの!?
「おぉ、すげぇエロい体してるじゃねぇか、へへへ」
「なんだ?俺達が怖いのか?へへへ・・・」
「ふ、ふざけんじゃ・・・!」
後ろの変態男から胸を揉まれる。
全身にまたも電流が走り、体に力が入らなくなる。
「んんんっ・・・!」
「へへへ・・・やっぱ良い女だぜこいつ」
「体で俺達の負債分支払ってもらおうか・・・えぇ?」
「おい、ちょっとそこの裏路地で楽しもうぜ・・・へへへ」
ゴロツキ達は、抵抗することができないリゼを裏路地に連れ込んだ。




