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Aランクパーティをクビになった『動画編集者』がアイドルパーティに加入して無双  作者: 焼屋藻塩
第1章 『動画編集者』の覚醒

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第76話 生還者

「そうか……まだあいつらが生きている可能性はある。早く行こう」

「ああ……そうだな」


 ゼルは心が躍った。

 これで『四星の絆』は消えた。

 残る邪魔者はこいつらだ。


 デスストーカーには『幽影鉱道』の裏ルートの地図を渡してある。

 そして、ミラ率いる討伐隊が来ることも伝えている。

 こいつらがデスストーカーに遭遇した瞬間に、俺がミラを不意打ちで殺す。

 ミラさえいなければ、デスストーカーの敵はいない。

 ここにいる冒険者達は全滅だ。

『白銀の獅子』だけが生き残り、世間にはこう伝える。


「皆、勇敢に戦って死んだ。俺達だけが生き残り、デスストーカーを討伐した」


『幽影鉱道』の事件は悲劇として末代まで語り継がれるだろう。

『白銀の獅子』は悲劇の英雄として永遠に歴史に名を刻むのだ。


 たくさんの仲間を失い、傷心して冒険者を引退、ということにすればいいな。

 莫大な富と名声を手に入れ、あとは毎日遊んで暮らすだけ。

 最高だ……最高の人生だ……。


 ゼルはチラッとミラを見る。

 覇気のない、やる気の無さそうな顔をしている。


 これだけ強力な冒険者達に囲まれて油断しているのか?

 くくく……これなら、確実に不意打ちが決まりそうだ。

 俺達に恥をかかせた罰だ。

 絶望の中で死んでいけ……。


 すると、鉱道の奥からまた足音が聞こえてきた。


「こ……今度は何だ……!?」


 冒険者達にまた緊張が走る。


 ちっ……デスストーカーの奴、待ちきれずに来やがったか。

 しょうがない、ミラを殺すか。


 ゼルはミラにさりげなく近寄ろうとする。


「お……おい、あれ……」


 冒険者の一人が指を差す。

 鉱道の奥から姿を現したのは、『四星の絆』だった。


「ええええええええええええええっ!!!???」


 百戦錬磨の冒険者達が全員、驚嘆した。


「わっ、こんなにたくさん!」

「皆さん、助けに来てくれてありがとうございます!」


『四星の絆』が冒険者達に頭を下げる。


「お……おおおおお前達、あそこから逃げ切れたのか!?」

「一体どうやって!!?」

「ふふふ。ムビ君が、デスストーカーを倒しちゃいました!」


 一瞬、シーンと静まり返る。


「デ……デスストーカーを倒しただと!!!!?????」


 100人以上の冒険者達が、雷に打たれたような顔をした。


「ムビって……あの少年だよな!??」

「あいつがデスストーカーを倒したって……マジか!!?」

「確か、滅茶苦茶弱くて戦闘ができない『動画編集者』だったろ??」


 ムビの周りにあっという間に人垣ができる。


「お前が倒したってマジか!?」

「えぇ、まぁ……なんとか……」

「一体どうやって!!?禁忌指定の魔物だぞ!!?」

「えーと……顔面1発殴って、ナイフで指とか腕を切り落として、魔法を撃ちまくって……って感じです」


 冒険者達は信じられないという顔をしていた。


 だよなー……。


 ムビが苦笑していると、人垣を割って入ってくる人物がいた。


「おー!お前がムビか!やっと会えたのう♪」


 人垣からピョコンと現れた美少女は、ムビと手を繋いでブンブンと振る。

 ムビは本物のミラが目の前に現れて驚いたが、初対面での距離感にも驚いた。


「あの……ミラさんですよね?お会いできて光栄です!助けに来ていただいてありがとうございます」

「良いのじゃ良いのじゃ♪それにしても、よく無事じゃったのう!お主がデスストーカーを倒したというのは本当か?」

「あ、はい……本当です」


 多分、殆どの人が信じてくれないとは思うけど。

 周りの冒険者達も、とても信じられないみたいだし。


 ミラは小動物のような目でまじまじとムビを見つめ……ニカッと笑った。


「そうか、でかしたな!お前強いのうー♪」


 ミラはムビの頭をワシャワシャと撫でた。


 ……え?

 距離感バグってない……?


「……凄いなお前!英雄だぞ!」

「どんな戦いだったのか、もっと聞かせてくれ!」


 ミラに続き、冒険者達が徐々にムビを賞賛し始めた。

 賞賛の輪はどんどん大きくなり、ムビは照れ笑いする。


「……おい、どうなってんだよゼル?あいつら生きてるぞ?」


 ゴリが、こっそりゼルに耳打ちした。

 ゼルはムビを睨みながら歯噛みしていた。


 ……どうなっている!?

 デスストーカーを倒しただと!?

 バカな、そんなことが……?


「良かったじゃない生きてて。流石に死なれてたら目覚めが悪いわ」

「そうですね。神のご加護があり、なによりです」


 リゼとマリーはホッとしているようだった。


 くそっ、一体何があったんだ……!


 ゼルはムビを睨み続ける。

 ふと、ゼルはムビと目があった。


 ―――調子に乗るんじゃねぇぞ、無能が。


 ゼルは嘲笑と侮蔑を込めた視線をムビに送ると―――。


 ゼルは背筋が凍った。


「おい、お前らも行ってやれよ!感動の再開だ!」


 冒険者の一人が『白銀の獅子』に声をかける。


「いや……、俺らはいいよ。あいつらの無事を確認できただけで十分だ……。帰るぞ」

「ちょっと……ゼル!?」


 ゼルは速足で歩き出し、ゴリとリゼとマリーも後に続いた。


 何だあいつの目。

 まるで全てを見透かしているような……。

 いや、それより……。

 あんな目ができる奴だったか……?

 脅しなんかじゃない。

 少しのきっかけがあれば、何するか分からないような……。


『白銀の獅子』は、どんどん大きくなる歓声を背に、『幽影鉱道』を後にした。

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2025年9月10日、注目度 - 連載中で2位にランクインされました!
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