表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
61/193

第61話 インフルエンサー

 ええええええ!!

 ミラが直々に行くの!!?

 神展開じゃん!!


「お・・・お待ちください!ギルドは、討伐依頼は出せないと・・・!」


 ギルド職員が割って入る。


「ギルドが依頼を出さないなら、ワシ個人で行けば問題無かろう?」

「そ・・・それはそうですが・・・」

「というわけじゃ♪えぇーと、今からルミノールに向かえば、今日の夜には着くかのう?そこから『幽影鉱道』に向かうから、まぁ1〜2日ってところか?・・・お前達、なんとか2日生き残れ。ワシがデスストーカーを討伐してやる♪」


 コメント欄は爆発的に盛り上がった。

 同時接続者数は、10万人を超えた。


「ちょ・・・ちょっと待ってください!いくらミラでも、一人では禁忌指定の魔物には勝てません!デスストーカーの恐ろしさを分かっているのですか!?」


 ギルド職員が必死で止める。


「なんじゃ、うるさいのう。確かに禁忌指定の魔物と戦ったことはないが、なんとかなるじゃろ」

「相手はデスストーカーですよ!?負けたら魂が消滅するんです!仮に逃げ切れたとして、マーキングされたら、市街地までデスストーカーが追ってきます!そうなったら、多くの市民が二次被害に遭います!ギルドとして、とても見過ごすわけにはいきません!」

「ふーむ。ならば確実に討伐すれば良いのじゃろう?・・・おーい、今配信を見ておる冒険者達!一緒にデスストーカーを討伐しに行くぞ!」

「ちょっ・・・!?何言って・・・!?」

「よいからよいから♪我こそはと思う者は名乗り出よ!」


 ミラはしばらく待つが、誰も名乗り出てこない。


「およ?誰もおらんのか?」

「あ・・・当たり前です!デスストーカーですよ!?誰も戦う筈ありません!」

「ちっ、しけとるのう。・・・よし、ならばこうしてやろう」


 ミラはしばらく黙る。


「はい、これで送信っと♪」

「・・・?何をしたんですか?」

「ん?なに、この配信をワシのSNSで宣伝したんじゃ♪」

「はぁ!?そんなことしたら・・・!」


 おおっ?なんだ?急に同接数が増えだしたぞ

 おい!ミラの投稿、猛烈な勢いで拡散されてるぞ!

 ミラの投稿から来ました

 ミラが助けたいって言ってた冒険者はここか?

 応援してるぞー!

 絶対助かる!


「さて、冒険者諸君」


 同接者数11万・・・12万・・・13万・・・


「今回の討伐に参加したパーティーは、ワシとコラボ撮影じゃ♪」


 なっ・・・なにぃっ・・・!?


 冒険者達に衝撃が走った。


 同接者数14万・・・15万・・・16万・・・


「『Mtuber』なら、これがどういうことか分かるな?そして、『デスストーカー討伐に貢献したと思うパーティをチャンネル登録せよ!』と、ワシのフォロワー達に伝えておいた♪」


 同接者数17万・・・18万・・・19万・・・


「デスストーカーとの戦闘はほぼワシに任せて良い。諸君らは、後方からワシをサポートしてくれればそれで良い。ローリスクハイリターンの、美味しいお仕事じゃ♪」


 同接者数20万・・・21万・・・22万・・・


「さて、もう一度聞こう。我こそはと思う者は名乗り出よ!」


 深紅の刃参加します!

 雷鳴の牙参加する!

 黒鉄の蠍も参加させてくれ!

 俺も行く!

 俺もだ!ミラとコラボさせてくれ!


 無数の参加表明がコメント欄に溢れた。


「かかかっ!参加する者は、本日21時にルミノールの関所に集合じゃ!遅れるなよ?」


 同接者数は30万を超えた。


「というわけじゃ、『四星の絆』諸君。デスストーカーは必ず討伐するから、安心して待っとれ♪」


 ムビ達は、あまりの急展開に感情が追いついていなかった。

 絶望の底に落とされたと思ったら、今度は希望の光が見えてきた。


「なんじゃ、まだ元気がないのう。ほれ皆、『四星の絆』を励ましてやるのじゃ!」


 頑張れー!

 応援してるぞー!

 絶対助かるからなー!

 俺達が付いてる!

 ずっと見守ってるからな!


 30万を超えるリスナーからの応援コメントで埋め尽くされ、ムビ達は涙が出てきた。


「どうじゃ?これだけの人間がお前達を応援しておるのじゃ。最後の最後まで、あきらめたらいかんぞ?・・・では、ワシは今からルミノールに向かうからな、またのぅ♪」


 二カッと笑って、ミラは配信から出ていった。


「すごい、嵐のような人でしたね・・・」

「ほんとね。ぜひ、現実でも会ってみたいなぁ」

「会って、お礼を言わなければなりませんね」


『四星の絆』に、活力が湧いてきた。

 しかし、ユリだけはまだ震えている。


「ユリ、皆が助けに来てくれます。もうすぐ呪いは解けますからね」


 シノがユリの手を握った。


「『岩砕の斧』も行きたいところだが、ダンジョンの案内役として俺は配信に残った方がいいだろうな。救助隊とは待ち合わせ場所を決めておいた方がいい。デスストーカーが裏ルートを見つけきれない可能性の方が高いから、入口に近い裏ルートの広間を集合場所としよう」


 ガエンが『四星の絆』に提案する。


「分かりました。ガエンさんが私達の位置を特定できるまで、一旦移動します」

「ああ、そうしてくれ。・・・ギルド職員の、お前はもう帰っていいぞ」

「そうですね。これで失礼させていただき・・・ん?」


 ギルド職員の言葉が途切れた。

 何かを確認しているようだ。


「・・・ギルドから連絡がありました。『白銀の獅子』が、現在『幽影鉱道』に向かっているそうです」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2025年9月10日、注目度 - 連載中で2位にランクインされました!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ