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Aランクパーティをクビになった『動画編集者』がアイドルパーティに加入して無双  作者: 焼屋藻塩
第1章 『動画編集者』の覚醒

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第46話 金喰いスライム討伐

 ルリは詠唱を開始する。


「OK!いつでも発動できるよ!」


 ユリ、シノ、サヨがじりじりと金喰いスライムを壁際に追い詰める。


「いっせーのーせ、でいくよ?いっせーのー……せっ!」


 3人が一斉に飛び掛かる。

 と、同時に金喰いスライムが壁に跳躍し、ルリが魔法を発動する。


「”奈落の泥流(アビス・フラッド)”!」


 壁が泥流と化す。

 すると、金喰いスライムは泥濘に埋まり、バタバタと暴れた。


「つ……捕まえた!!」


 金喰いスライムはなんとか泥濘から出ようと藻掻くが、深く泥濘に嵌まりなかなか自由に動くことができない。


「これならいけるかも!?」

「皆さん、金喰いスライムが泥濘から出る前に、お願いします!」


『四星の絆』の4人が、金喰いスライムの前に立つ。


「皆、ぶっつけ本番だけど、いける?」

「いつものことでしょ?私達、本番には強いから」

「パフォーマンスと一緒で、いつも通り4人の息を揃えればいいっしょ」

「やることはステージと一緒です。必ず成功させましょう」


 ユリとシノが構える。

 ルリとサヨは、詠唱を開始する。

 4人の呼吸、力、心が一つになっていく様子が、傍から見ているムビにも分かる。

 10秒程すると、4人が絶大な魔力に包まれた。


 ―――一瞬間を置き、4人が声を合わせる。




「「「「"四星の輝き(ルミナスカルテット)"!」」」」




 カッと鉱道が眩い光に包まれた。

 4人の力の奔流が輝きながら金喰いスライムに叩き込まれる。


「ピギイッ!!!」


 金喰いスライムが初めて声を上げた。

 岩盤が砕け散り、地響きが起こる程の衝撃が走った。


 ―――やったか!?


 ムビは土煙の中、金喰いスライムの様子を確認する。


 土煙が晴れる―――


 金喰いスライムは、無傷で地面に転がっていた。


「そんな……今ので駄目なんて……」


 ―――ピシッ


 金喰いスライムの体に亀裂が入る。

 亀裂はやがて全身を覆い―――


「ピギイーーーッ!!!」


 金喰いスライムは断末魔の声をあげ、砕け散った。




 シン、と静寂が辺りを包み込んだ。


「……や……やったあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


 静寂を破ったのはユリの歓喜の声だった。

 堰を切ったように、『四星の絆』に歓喜の輪が広がる。


「うそーーーーっ!!??私達、金喰いスライムを倒したの!!?」

「信じられない!!!ヤバすぎるって!!!!」

「ちょ……ちょっと待ってください……レベルは……」


 元々のレベルは18だった。

 今は一体……。


 震える手で、『四星の絆』はステータスウォッチを確認する。

 全員のレベル欄に、24と表示されていた。


「うわああぁぁぁぁ!!6レベルも上がってるーーーー!!!」

「4人合体技だから、経験値は四等分されたということですか」

「4等分でこれだけって、どれだけの経験値だったの!!??」


 ムビも驚いた。

 まさかこんなにレベルが上がるなんて。


 ふと、ムビが金喰いスライムの方を見ると、砕け散った体表の中から輝く金属が転った。


「皆さん、金喰いスライムのドロップアイテムです!」


 ムビはそれを拾い上げ、スマホで調べる。


 ――――――――――――――――――――


 〈純金核〉《レア度:A》


【市場価値:2億円】


 純度の高い〈金喰いスライムゴールド〉の塊。


 金の純度のみならず高い魔力も秘めており、王族や貴族の装飾品として重宝されている。


 目立つ外観と合わさり、金喰いスライムを倒した証として保有したがる冒険者も多い。


 ――――――――――――――――――――


「に……2億円!!?」


 ルリが腰を抜かす。

 純金核1つで、Aランクパーティが1回の冒険で得る収益を超えることになる。


「皆さん、本当に……本当にお疲れ様でした!動画も、バッチリ撮っています!金喰いスライムの討伐動画は、最低でも500万再生が期待できるので、デカ目のバズ確定です!」

「ご……500万再生!!?うおーーーーーーっ!!!!!」


『四星の絆』は歓喜の輪に包まれた。

 ムビもその輪の中に入る。


「本当にムビ君のおかげだよ!ありがとうね!」

「いえ!四人合体技が無ければ、金喰いスライムを倒すことは不可能でした!皆さんの力です!」


 四人合体技の成功。

 これを動画に収めたのも凄まじい成果だ。

 これは成功動画すら希少なのに、実戦での成功は恐らく『Mtube』でも初だろう。

 しかも、相手は金喰いスライム。

 前例が無いだけに、一体どれだけの反響があるのかムビにも想像できない。


 アイドルは合体技との親和性が高いのかもしれない。

 普段から皆で息を合わせてパフォーマンスしている賜物だろうか。

 Aランクパーティでもとてもできない芸当なのだ。


「レベルも目標値を大きく超えましたね!あとは『幽影鉱道』を攻略するだけです!」

「ちょっと、その前に!」


 ルリがドカッとその場に居座る。


「折角だから、純金核を肴に一杯やってこうよ♪」


 ルリの顔にニマーっと笑顔が広がる。

 その様子に『四星の絆』から笑いがこぼれた。


「じゃあ、ちょっとだけ休憩していきますか」


 30分程、純金核を見ながら『四星の絆』は休憩した。

 水しか無かったが、どんな酒よりも格別の味がした。

お読みいただきありがとうございます。


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2025年9月10日、注目度 - 連載中で2位にランクインされました!
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