表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
43/193

第43話 Dランク最強種の魔物

『四星の絆』は目を覚ました。

 スマホで時間を確認すると、ちょうど朝の6時。

 9時間程眠ったようだ。

 朝食や身支度に1時間ほど費やし、再び探索を開始する。


「今日の目標はダンジョン最深部攻略です。魔物も強くなってくるので、気を付けていきましょう」


 探索を開始した『四星の絆』は、昨日に引き続き快進撃を続けた。

 出現する魔物はダンジョン浅層部と比べて平均討伐レベルが2~3程高いが、何の問題もなく討伐していった。

 鉱石もどんどん採掘し、保存袋の中は煌びやかな輝きでいっぱいになった。




 4時間後、ダンジョン最深部ルートの70%を踏破した。


「ここで昼食がてら休憩していきましょうか」


 ムビは結界のスクロールを展開する。


「ふいー、疲れたー」

「ムビ君、スタミナポーションお願い」

「どうぞ」


 昨日からぶっ通しでダンジョン攻略を進めているが、スタミナポーションとムビの魔力支援により、『四星の絆』は体力・魔力ともに元気いっぱいだった。

 レベルも全員18に上がっている。


「ムビさん。鉱石の重さ、物凄いことになってると思うんですけど、大丈夫ですか?」


 昼食を食べながらシノがムビを気遣う。

 既に採掘したレア鉱石の重さは1トンに迫る程だった。


「大丈夫です。高級な保存袋が複数あると、こういう使い方ができるんです」


 ムビはマトリョシカのように、保存袋の中から保存袋を取り出す行為を4回行う。


「この魔法袋は軽量化魔法が掛かっているので、こうするとどんどん軽くなるんです。保存袋は5個あるので、これだけあると実質持ち物はほぼ制限なく持てますね」


 軽量化魔法は重さを5分の1にする。

 鉱石が1トンとすると、魔法袋に入れることで200キロ。それを2つ目の魔法袋に入れることで40キロ。それを3つ目に・・・と繰り返すことで、鉱石の重さは300~400グラム程度になる。5階層目の魔法袋を鉱石用に、4階層目を魔物の討伐証明部位や素材、3階層目にその他荷物を格納し、ムビの荷物の総重量は2キロにも満たなかった。


「なるほど、これはお金を出す価値がありますね」

「1億円が出せるならの話ですが」

「ははは・・・まぁ、これはAランク冒険者あるあるのテクニックです」


 本当は最高級の、状態保存魔法が掛けられている魔法袋が欲しかったが、それは1つ5億円もするので流石に購入をためらった。

 もしもこの魔法袋を5つ揃えることができれば、古の魔法『異空庫』に匹敵する収納が可能になる。


「さて、それじゃあそろそろ1時間くらいになりますし、出発しましょうか。ここからはダンジョン深部なので、出現する魔物もDランク上位種ばかりになります。気を引き締めていきましょう」




『四星の絆』は最深部に向けて進み始めた。

 程なく、四体の魔物と遭遇する。


「サラマンダーですね」


 サラマンダーは全身炎で覆われた体長3メートル程のトカゲだ。

 別名"前衛殺し"。

 接近戦を挑むと体表の炎で火傷するためだ。

 毎年多くの冒険者を殺傷している強敵だ。

 討伐推奨レベルは、Dランク最強の20となっている。

 これまでで最も討伐推奨レベルが高く、パラメータ的には『四星の絆』より格上の魔物だ。


「""氷嵐の咆哮(アークティックハウル)""!」


 事前に探知して戦闘準備をしていた『四星の絆』は、後衛の呪文詠唱が完了していた。

 サヨの氷属性の中級範囲魔法を食らったサラマンダーは怯む。


 流石に一撃は無理か・・・。

 でも、これでサラマンダーの体表の炎は消えた。

 今なら接近戦に持ち込める!


 更にルリが中級範囲魔法を発動し、サラマンダーは大ダメージを受け動きが鈍る。

 そこにユリとシノが接近し、一気にサラマンダーを討伐した。


「凄い・・・サラマンダーをこんなにあっさり・・・」


 通常のDランクパーティなら、全滅するか一目散に逃げだしているところだ。

 探知とパラメータ倍加があるとこんなに強いなんて・・・。


「サラマンダーは『幽影鉱道』で出会う魔物の中では最強です。それをこれだけ簡単に倒せるなら、もうダンジョン内の魔物で敵はいないと思います」

「ふえーっ!中級ダンジョンをこんな簡単に攻略しちゃっていいの!?」

「本当にムビさんさまさまですね」


 強敵を倒していく度に、『四星の絆』はムビのありがたさを実感していく。


「では、討伐証明部位を回収しましょうか・・・ん?」


 ムビの探知魔法に、不思議な反応があった。


「どうしたんですかムビさん?」

「いえ・・・。魔物が1体こちらに向かってきているみたいなんですが、不思議な感覚で・・・」


 魔物探知に引っかかるのは何も不思議ではない。

 だが、ムビが解せないのは鉱物探知にも引っかかっていることだ。

 しかもレア鉱物。


 なんだこの反応は・・・?

 魔物であり、レア鉱物・・・?


 しばらく考え―――ムビは突然目を見開いた。


 ・・・まさか・・・!?


「み・・・皆さん!急いで戦闘準備を!!」

「ど・・・どうしたんですか?」

「金喰いスライムがこっちに向かってきます!」

「「「か・・・金喰いスライム!!?」」」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2025年9月10日、注目度 - 連載中で2位にランクインされました!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ