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Aランクパーティをクビになった『動画編集者』がアイドルパーティに加入して無双  作者: 焼屋藻塩
第3章 S級冒険者選抜大会

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207/208

第207話 合同宴会

「それではミラさんの退院を祝いまして、カンパーイ!」

「カンパーイ♪」


 19時。『四星の絆』と『ミラと愉快な仲間たち』による合同宴会が幕を開けた。

 開始早々、ミラとシンラが騒ぎ立てるが、他のメンバーも負けじとお喋りに花を咲かせ、笑い声が絶え間なく響く。

 予選の話題だけであっという間に2時間が過ぎ、22時には2軒目へ突入。


「でよ~!こいつほんとバカなんだよ、ぎゃっはっは!!」


 すでに『ミラと愉快な仲間たち』は完全に出来上がっており、店内でもひときわ目立つドンチャン騒ぎ。

『四星の絆』も負けじと盛り上がり、互いのパーソナルな話でさらに距離を縮めていく。


(すごいなぁ……こんなにすぐ仲良くなれるなんて)


 ムビは驚きながらも、心地よい空気に身を委ねていた。

 2軒目でも溶けるように時間が過ぎていく。


「お~し、3軒目行くぞ~♪」


 音頭を取ったシンラは朝まで飲み明かすつもりのようで、全員当然のようについて行った。

 深夜1時、3軒目ではムビとミラは隣同士になった。


「ほ~れ、ムビムビ♪飲め飲め~♪」


 ミラは延々とムビにお酌をし続ける。


「ミ、ミラ……俺、もう飲めな……」

「ダイジョブダイジョブ、潰れたらワシが介抱してあげるから~♪」


 視界がグルグル回るムビに、ミラは肩を寄せてぴったりとくっつく。


「おいミラ!お前さっきからムビばっかじゃねぇか!こっち来て喋れや!」

「うっさいのー!今いいとこなんだから邪魔すんなぁーっ!」

「なんだとてめーっ!この野郎っ!」


 ミラとシンラが争っているうちに、シノがこっそりムビに水を渡す。


「ムビさん、今のうちに」

「あ、ありがとうございます……」




 ◆ ◆ ◆




 四次会、五次会……気づけば朝。

 六次会と称して、全員で24時間営業のハンバーガー店へ。


「それでよ、お前ら本戦までどうすんだ?」


 徹夜で飲み明かしても顔色一つ変わらないシンラが、ポテトを頬張りながらムビに尋ねる。


「とりあえず、地道にレベルアップしていこうと思ってます。解呪方法は、聖女様やリリスが調査中なので、その結果を待とうかなと」

「なるほど。ところで姉ちゃんたち、お前らレベルはいくつなんだよ?」

「う……。大体、50ちょっとくらいです……」


 ユリが申し訳なさそうに答える。


「まじかよ?ははは、よくそのレベルで予選突破したなお前らwww」

「こら、失礼でしょ!」


 ナズナがぴしゃりと言う。


「で、どうやってレベルアップするんだ?狩場のアテはあるのか?」

「Bランクダンジョンで魔物を狩っていこうと思っています。本当はもっとレベルアップしたいんですけど、俺も弱体化しているし、無理はできないかなと」


 シンラは黙ってストローを吸いながら聞いていたが、ふと口を開く。


「それじゃあ全然間に合わねぇだろ。私らが修行、手伝ってやろうか?」


 その言葉に、『四星の絆』のメンバーが目を見開く。


「えっ……!?良いんですか!?」

「おうよ。どうせ暇だしな。お前らもいいか?」


 シンラがミラ、ナズナ、シェリーに尋ねる。


「『Mtube』の撮影をさせてもらえるならかまわんぞ♪」

「私も特に予定ないから大丈夫かな」

「私もー」


 ユリは目を輝かせた。


「すごい!すごーいっ!ありがとうございますっ!」

「いいってことよ。お前らはもう、妹分みたいなもんだしな」

「一生ついていきます姉御っ!」

「はっはっは、くるしゅうない♪戦闘訓練もビシバシやるから、覚悟しろよ?」


 ムビは胸が高鳴った。

 この最強メンバーに鍛えてもらえるなら、本戦のレベルにも十分ついていける。


「まぁ、これで『四星の絆』の優勝は決まったようなもんじゃねぇか?」

「いえ、それは……『ドラゴンテール』がいるので……」

「何だ?あいつらそんなに強えぇのかよ?」

「はい。全員レベルが250以上で」

「250だと!?私たちより上じゃねぇか!?」


 シンラはハンバーガーを口に運ぼうとして手を止めた。

 ナズナも首を傾げながら訪ねる。


「ちょっと待って、人間がなんでそんなレベルしてんの?」

「聖装、もしくは魔装を装備すると、レベル上限を突破できるみたいなんです」

「へー。そんなのがあるんだ」

「そりゃぜひとも手合わせ願いたかったな」


 話を聞いていたミラは、ストローから口を離す。


「聖装なら、ワシ、持っとるぞ」

「「えっ、マジ!?」」


 数人の声が揃った。


「うむ、Aランクダンジョン"暗黒騎士の古代城"の隠し部屋で見つけた♪」

「"暗黒騎士の古代城"……Aランクの中でもかなり高難易度のダンジョンですね」

「昔、聖装が欲しくて色々調査してのう。二つあたりを付けていたんじゃが、一つ目で無事ゲットしたんじゃ♪」


 シン、と場が静まり返る。


「あの……もしかして、もう一つの聖装のありかも知ってます……?」

「ん?ああ、もう一つの方も知っとるぞ。さすがに、現地を探索せねばならんが」


 ルリがミラの手を取る。


「ミ……ミラの姉御!もしよかったら、その場所を教えていただけませんか!?」

「ん、かまわんぞ?なんなら経験値稼ぎにもなるし、そこで修行してみてはどうじゃろうか?」

「あ……ありがとうございます、姉御!!」

「姉御はよせ、お主とワシはタメじゃろう!ミラでよいわ♪」




◆ ◆ ◆




 こうして今後の方針が固まり、朝食を終えたムビたちは店の外に出る。

 解散する前に、ムビたちは円陣を組む。


「よっしゃー!全員ぶっ倒して優勝するぞー!」

「「おー!!」」


 朝焼けの空の下、笑い声がしばらく響き渡った。

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2025年9月10日、注目度 - 連載中で2位にランクインされました!
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