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Aランクパーティをクビになった『動画編集者』がアイドルパーティに加入して無双  作者: 焼屋藻塩
第3章 S級冒険者選抜大会

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202/206

第202話 予選突破の打ち上げ

「それでは!予選突破、そしてシノの快復を祝して——カンパーイ♪」

「カンパーイ!」


 翌日、ムビは『四星の絆』の打ち上げに参加していた。

 すっかり元気になったシノの姿を見て、皆安心していた。


「さぁーて、いよいよ本選だね。ここからが本番って感じ」

「そうですね。先日、マルスさんに聞いたんですけど、『ドラゴンテール』は全員レベル250を超えているみたいです」

「に……250!?」

「デスストーカーより強いじゃん……」


 全員絶句していた。


「そもそもどういうこと?なんでレベル100を超えちゃってるわけ?」

「どうも、"聖装"という装備品を手に入れることで、レベル上限100を突破できるみたいなんです。『ドラゴンテール』の四人は、その装備者みたいで」

「ふえー、そんなチート装備が……」


 ユリはビールを片手に、目を丸くする。


「『ドラゴンテール』は別格ですが、『ライオンハート』と『白銀の獅子』も全員臨界者ですね。他にも臨界者を有しているパーティは多いです。平均レベルは80以上はありそうですね」

「ふえー……。私たち、全然レベル足りてないじゃん」

「予選参加者の中でも下の方だったもんね……」

「レベル50ちょいでバラバラになって、よく生き残れましたね」


『四星の絆』の予選突破は、はっきり言って奇跡だ。

 皆もそれを感じているようで、難しい顔をする。


「でもさ、私たちにはムビ君がいるし、なんとかなるんじゃないの?」

「それが……実は、スキルが使えなくなってしまいまして……」

「えっ!?どういうこと!?」


 ムビは肩の呪印を見せる。


「予選で魔王軍の遺跡にいた化物を倒したとき、スキル封じの呪いを受けちゃったみたいで……。昨日、クラナディアの大聖堂に行ったんですけど、聖女様でも解呪できませんでした」

「ええーーーっ!?ムビ君、聖女様に会ったの!?」

「てか、聖女様が解けないって、どんな呪い!?」


『四星の絆』の一同は驚愕で目を見開いた。


「なんとか解呪する方法を探しているのですが、まだ手がかりがなくて……。なので、俺は現在、ただのレベル100の冒険者なんです。皆さんの支援も、これまでのようにできない状態で……」

「レベル100は“ただの”冒険者ではありませんけどね」


 サヨが苦笑しながらフォローする。


「とりあえず、本選までの一ヶ月間、ひたすらレベルアップするしかないね」

「あとは、ムビ君の呪いを解除する方法もなんとか見つけないと……」

「ムビ君が本調子じゃないと、優勝なんて夢のまた夢だよ……」


 ルリが小さく身震いする。


「ねぇねぇ。ふと思ったんだけどさ」


 全員がユリを見る。


「その聖装ってやつ、私たちも入手できないのかな?」

「あはは。古代遺跡を見つけるくらいの難易度らしいです。俺も、『ドラゴンテール』と聖女様しか、装備者を見たことがありません」


 そういえば、リリスもレベル上限がないという話だった。

 恐らく、リリスも聖装を持っているのだろう。


「うーん、やっぱり難しいか」

「聖装を手に入れても、レベルが低ければ意味がありませんわ。まずはレベル上げに専念すべきでしょうね」

「レベル上げって言っても、とても間に合わないよなぁ……」

「予選に向けて一ヶ月死ぬ気でレベル上げしたけど、それでもせいぜい10レベルがやっとだったもんなぁ」

「仮に同じようにレベル上げしたとして、本戦1回戦ではレベル60に届くかどうかですね」

「うーん……とても勝てる気がしない……」


『四星の絆』は溜息をついた。


「ところで、ムビさん。予選では、ずっとミラ・ファンタジアとご一緒に?」


 サヨが尋ねる。


「うん、そうなんだ。ピンチのところを助けてもらったり、一緒に遺跡を冒険したりして」

「ふーん……。それなのに、ミラを後ろから刺したんですか?」


 ギクリ。

 ムビの顔が引き攣った。


「いえ、責めてるわけではありません。おかげで、私達は予選を突破できたわけですし。ただ、ムビさんらしくないな、と思いまして」

「確かにそうだよね。今まで触れづらかったけど、私も実は気になってて……」

「ムビ君が誰かを殺すなんて信じられないんだよなぁ」

「何か理由があったのかな?良かったら、話してほしいなぁ、なんて……」


 ——バチッ。


 ギアスがムビの発言を封じる。

 結果、ムビは押し黙る。


「ご……ごめんね?話したくなかったら別に良いんだよ?私達、どんな理由だとしてもムビ君を嫌いになったりしないし……」


 ユリが苦笑しながら手を振る。

 その優しさが身に染みる。

 だからこそ、一切説明できないのが耐え難い。


 唇を噛んで押し黙るムビを、サヨはじっと見つめていた。


「ムビさん、ちょっと……」


 サヨはムビの両頬に手を当てる。


「サヨ?どうしたの?」


 ユリが尋ねるが、サヨは答えない。

 ムビの潤んだ瞳を見つめ、目を細める。


「かすかに、魔力の反応が……」


 その言葉を聞いた瞬間、ムビは目を見開いた。

 ルリが首を傾げる。


「魔力?どういうこと?」

「分かりません。ただ、ムビさんの魔力ではありませんね。さっきからムビさんの様子がおかしいのは、この魔力の影響かもしれません」


 ムビの胸が、希望に震えた。


(サヨさん!?もしかして、気づいてくれた!?)

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2025年9月10日、注目度 - 連載中で2位にランクインされました!
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