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Aランクパーティをクビになった『動画編集者』がアイドルパーティに加入して無双  作者: 焼屋藻塩
第3章 S級冒険者選抜大会

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200/205

第200話 囁きと嫉妬

 耳かきは、まだ終わらない。


 ガサガサ……ふー……ガサガサ……ふー……


 耳の奥を優しくなぞる音と、吐息が交互に繰り返される。

 そのたびに、ムビの肩がビクッと震えた。


 コメント欄は止まることを知らない。


 ゾクゾクする……

 音がリアルすぎて鳥肌

 ルリ様の罵倒、最高すぎる……


 羞恥に顔を赤らめるムビとは裏腹に、リスナーたちは歓喜の渦に包まれていた。


(ひぃぃぃ……もう無理……)


 ルリが耳かきを止め、そっと耳元に唇を寄せる。


「……もう少しで終わりますから、じっとしていてくださいね、ご主人様」


 その声は、氷のように冷たく、それでいて甘くとろけるようだった。

 ムビは目をぎゅっと閉じ、ただ耐えるしかなかった。


 同時接続数は1万人を突破し、ルリの配信史上、最高記録を更新していた。


(す、すごい……これは大成功……でも、早く終わってくれ……!)


 数字の伸びは嬉しい。けれど、ムビの限界はすぐそこだった。

 ふーっと吹きかけられるたびに、身体が勝手に跳ねる。

 声が漏れそうになるのを、必死に噛み殺す。


 ようやく耳かきが終わり、ルリが囁く。


「ふぅ……ご主人様の耳、ようやく綺麗になりました。これで、安眠できますね」


 コメント欄は拍手と歓声で埋め尽くされる。


 最高だった!

 神回確定!

 ルリ様ありがとう!!


(よ、ようやく……終わった……)


 配信開始からちょうど一時間。

 そろそろ締めの挨拶かと、ムビの心に安堵が広がった——その瞬間。

 ルリはそっとムビの頭をベッドに置き、背後から同じように横たわる。


(……え?)


 ペロリ。


「————ッ!!?」


 突然、耳に柔らかな感触。

 舌が、這った。


「ご主人様……病室で、女の子と何かあったでしょ?」


 低く、湿った声が耳をくすぐる。

 再び、ペロリ。


(ひぃっ……もしかして、シノさんとのこと、バレてる!?)


 コメント欄が爆発する。


 これはもしや……!?

 え、耳舐めASMR!?

 ルリ様の初出し!?

 神回すぎて震えるwww


「こんなに可愛い私に奉仕されながら、どうして他の女の子に目が移るんですか?ご主人様は、私だけを見ていればいいのに」


 ペロリ、ペロリと耳舐めが続く。

 表面をなぞるだけだった舌が、次第に耳の奥を掻き回す。


(——むりむりむりッ!!!)


 ムビは全身をビクビクさせながら藻掻こうとするが、後ろからルリに抱き着かれて身動きが取れない。


「私、本当はご主人様のこと、お慕いしているんですよ?ほら、私の心臓……ドキドキしてるでしょ?」


 豊満な胸が背中に押し当てられる。

 吐息を交えながら、柔らかい舌先が耳をくすぐる。


(……ル、ルリさんっ!ほんとに、ほんとに、出るっ……!)


 ムビはなんとかルリに目で訴えかけるが、縋るようなムビの眼差しを見て、ルリはかえって煽情的な表情を浮かべる。


「……あはぁ。そんな眼をされたら、かえって逆効果ですよ?」


 はぁ~、とたっぷり吐息を吹きかけられ、舌の動きがさらに加速する。


「————ッ!!?——————ッッ!!??」


 ムビはもう、自分の声が漏れたと思った。

 耐えられているのか、もう全然分からない。

 ただ、耳が絶えず熱い。


「本当は、分かってます。ご主人様は、優しいだけだって。だから、他の女の子にもモテてしまうんだって。でも、もう少し……もう少し、私に構ってくれてもいいんじゃないですか?」


 嫉妬耳舐め!?

 癖に刺さるwww

 もっと舐めてください!!


 コメント欄はどんどん盛り上がっていき、同接数は1万5千を超える。

 ムビはもう、何を言われているのかすら分からず、ただ声を漏らさないよう必死に体を震わせて耐えていた。


「ご主人様——好きです。だぁい好き」


 表面張力ギリギリのコップの水のように震えるムビに、さらに追い打ちがかけられる。

 囁かれた瞬間、ビクリと体が跳ねたムビは、かろうじて漏れるはずだった声を呑みこむ。

 しかし、ルリは執着を強めるかのように、ムビの体をさらに抱き締め、ムビの自由を完全に奪う。


「すーき。すーき。すーき」


 まさかの好き好き責め!!?

 出血大サービス過ぎるwww

 神過ぎワロタwww


 延々と吐息交じりに耳を舐められ、耳元で好きと連呼される。

 10分、20分——。

 永遠にも感じられる、耳への拷問。


「————————ッ……————————ッ!?——————————————ッ!!」


 ジタバタ藻掻くムビを優しく抱擁し続けるルリ。

 ふと、ルリの唇が耳から離れる。


「ご主人様……?寝ちゃいましたか……?」


 数秒の静寂。


「……おやすみなさい、ご主人様。誰よりも、お慕い申しておりますよ」


 トントン、とルリはムビの肩を指でつつく。


(……終了の合図!!)


 ムビは自身の魔力回路とPCの接続を遮断した。

 ルリはベッドから飛び降り、机に座って配信用マイクの電源をオンにする。


「えへへー、どうだったかなー?今日は新しい挑戦いっぱいしちゃいました♪……うわっ!同接2万人!?スパチャもこんなに!?みんな、ありがとうーーー♪」


 リスナーと会話を始めるルリ。

 ムビはベッドの上で息を荒げていた。


(こ……こんなの聞いてない……)


 30分程雑談したルリは、画面に向かって微笑みながら、締めの挨拶を始めた。


「みんな、今日も来てくれてありがとう♪久しぶりの配信だったけど、楽しんでもらえたかな?次回も、ぜひまた来てね!」


 スパチャを読み上げながら、ルリは配信を終了する。


「それじゃあ、また次回ね。おやすみなさい、ご主人様♪」


 配信が終わると、部屋の空気が一気に静まり返った。

 ルリはマイクを外し、ムビの隣に腰を下ろす。


「お疲れ様、ムビ君。よく耐えたね♪」

「……や、やりすぎです……」


 ムビはまだ顔が赤いままだった。

 ルリはくすくす笑いながら、ムビの頭を軽く撫でる。


「いやー、同接がどんどん伸びるしスパチャも乱れ飛ぶから、調子に乗っちゃった♪やっぱり、リアル耳舐めと好き好き責めは強いの~♪」

「……あれ、まさかやるとは思いませんでした」

「ふふ。おかげで、ASMR史に残る配信になったんじゃないかな??」


 ルリは立ち上がり、メイド服の裾を整える。


「さて、次回はどんな“ご主人様”にしようかな……。ムビ君、また付き合ってくれる?」

「……も、もう勘弁してください!」


 必死で両手を振るムビを見て、ルリは楽しそうに笑った。

お読みいただきありがとうございます。


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2025年9月10日、注目度 - 連載中で2位にランクインされました!
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