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Aランクパーティをクビになった『動画編集者』がアイドルパーティに加入して無双  作者: 焼屋藻塩
第3章 S級冒険者選抜大会

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第187話 カメラの前で

「おい、見ろよ。カメラが来たぜ♪」


 ゴリのその一言に、シノは顔を上げる。

 ゴリのすぐ後ろに、カメラが浮遊していた。


 カメラはそのままゆっくりとシノに近付いていく。


(ちょっ……!何で近付いてくるの!?)


 カメラは結界の目の前まで迫り、空中で停止した。

 低俗な魔物に弄ばれるシノの痴態が、全国に放送される。


「だははは!よかったじゃねぇか!アイドルなんだから、カメラ向けられて嬉しいだろ??」


 シノは怒りに体が震えた。

 エヴァンジェリンに散々妨害され、一切映ることのなかった全国放送。

 ようやくカメラを向けられたのに、ブラウン管に映るのは、粘液塗れの中、触手に拘束されうずくまる情けない姿。


「お前、ずっとテレビ出たかったんだろ?ほら、笑顔でWピースでもしてみたらどうだ?だーっはっはっはっは!!」

「う……わあぁぁーーーッ!!!」


 シノは全力で暴れた。

 触手の拘束を振りほどこうと、渾身の力で身をよじる。

 だが、抵抗するシノを見て、ゴリはニヤニヤと笑みを浮かべた。


「おっ、まだそんな力が残ってたか?おい、マリー」

「《力減少(パワーダウン)》」


 シノの体から力が抜けていく。


(くそっ……!またデバフ……!)


「《力上昇(パワーアップ)》」


 魔物にバフがかけられ、触手の締め付けが強まる。


 ——ギチィッ!


 一瞬緩みかけた拘束は、前以上にきつく体を締め上げた。

 皮膚に食い込む感触が、シノの呼吸を奪う。


(ダメだ……力が入らない……)


 筋肉が言うことを聞かない。

 心はまだ折れていないのに、体がついてこない。


「ははは!なーにがS級冒険者だよ!こんな低俗な魔物の拘束も破れねぇでよ!ザコ過ぎて茶の間で笑われてんぜ、おめぇ!(笑)」


 シノは身をよじり、何度も脱出を試みる。

 だが、力は入らず、体は微動だにしない。


 見悶えるシノを捉えながら、カメラはさらに寄ってくる。

 レンズが無遠慮にシノの姿を追い続ける。


「お願い……映さないで!」


 顔を背けても、カメラのレンズはシノを逃さない。

 冷たい視線が、まるでシノの心をも覗き込むようだった。


「へへへ、エロ過ぎてたまんねぇぜ♪お前、アイドルなんかより、こういう方が向いてんじゃねぇか?AVデビューでもしたらどうだ?んん??」


 シノの絶望に満ちた表情が、カメラに鮮明に映し出される。

 この映像を、きっと大勢のファンが見ている。

 絶対に弱みを見せたくない人たちも。

 切り抜かれ、SNSで拡散され、アンチが喜々として騒ぎ立てるだろう。


(こんな情けない姿……絶対に見せたくないのに……!)


 怒りと悔しさが胸を焼き、目の奥が熱くなる。


「キィ♪」


 魔物の嬉しそうな鳴き声に、シノは背筋を凍らせた。

 粘液が乾き、魔物はいよいよ触手を蠢かせた。


「おっ?そろそろ触手も動き出すか?なら、視聴者のためにも、応援してやらなきゃな♪おい、マリー」


「《雷属性付与(エレクトロ)》」


 ——パチパチッ。


 魔物に雷属性が付与され、触手が微弱な電気を帯びる。


「へっへっへ♪さぁーて、カメラの前で、たっぷり可愛がってもらえよ??」




 ◆ ◆ ◆




 放送スタッフルームは、全員画面にくぎ付けになる。


「へへへ……こりゃすげぇな」

「『四星の絆』のシノだっけ?スゲェいい体してんじゃねぇか」

「さすが現役アイドル。顔もピカ一だぜ」

「へへへ……おい、もっとカメラ近付けようぜ」


 男性スタッフの中には涎を垂らしている者もいる。


「おい、視聴率はどうなっている?」

「かなりキープしていますよ。悪くない数字です」

「そうか……、なら続行だな」

「もっとエロいアングルで、視聴者を満足させてやりましょうや」


 スタッフたちは謎の一体感に包まれていた。


「おぉっ、すげぇ跳ねた!まだビクビクしてやがる」

「いい画だ。もっとカメラ近付けろ」


 プロデューサーの指示により、スタッフはカメラを操作する。


「うはぁ、見ろよあの触手!すげぇいやらしい動きしてんな」

「服の上からでも丸わかりだな。あんなのに犯されるとか、どんな気分なんだろうな」

「いやいや、『四星の絆』は性犯罪者抱えてる集団なんだろ?案外慣れてるかもしれねぇぜ」

「へへへ……AVよりよっぽど抜けるんじゃねぇか?」

「俺、この子のファンになっちゃいそう……」

「ちくしょー、俺もやりてぇー」


 スタッフルームは、徹底的に『白銀の獅子』視点のカメラに集中し、下種な笑いがいつまでも響いた。




 ◆ ◆ ◆




「ふはは!さすが『白銀の獅子』、やるではないか!」


 王は放送を見て歓声を上げていた。

 傍らの家臣も放送を見守る。


「残り2組。ギリギリでしたが、なんとか『四星の絆』は脱落しそうですね」

「奴らにはふさわしい最後だな♪公衆の面前でこのような辱めを受けようとは!ワハハ!」

「いやー、それにしても絶景ですな」

「うむ。器量だけは良いな。娼婦としてなら雇ってもよいかもしれん♪」


 王はご満悦で酒とチーズを口に運んだ。


「結局、全てワシの思い通りになるのだ!この予選が終わり次第、あのムビとやらには最前線への徴兵令をプレゼントしてやろう。ワハハ!」


 その後も、放送は『白銀の獅子』視点の映像が流れ続けた。

 王室には、王の笑い声が何度も響き渡った。

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2025年9月10日、注目度 - 連載中で2位にランクインされました!
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