表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Aランクパーティをクビになった『動画編集者』がアイドルパーティに加入して無双  作者: 焼屋藻塩
第3章 S級冒険者選抜大会

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

152/208

第152話 夜災の森

 木のうろで眠っていたユリは、異様な気配に目を覚ました。


(何、この足音……。すごく嫌な感じがする……)


 保存袋から転移石を取り出す。

 『1564』という数字が表示されていた。


(え……?たった数時間で、冒険者が1000人も減ってる……?)


 そのとき、転移石が淡く光り、メッセージが表示された。


(運営からだ……)


 転移石には、以下のように書かれていた。


『夜間、森全域でモンスター災害が発生中。黒い人型の魔物で、探知に反応しません。推定Aランク。集団で囲まれ、死亡者が急増しています。もしも遭遇したら、無理をせず、早めに転移石を割ってリタイアしてください』



 ユリは外の様子を伺った。

 闇の中を、黒い人型の魔物が何体も徘徊していた。


(あいつらか……。通知の内容と特徴が一致している。見つかったら、終わりだ……)


 ユリはうろの中で身を丸め、ひたすら足音が遠のくのを待った。

 転移石に表示されている数字は、みるみるうちに減っていった。


 ---


「……ん?なんじゃ?」


 バカ騒ぎをしていたミラが、ふと森の方を見る。


「どうしたんだよ、ミラ?」

「ヤバイ気配が、森中を蠢いておる」

「……?私は何も感じないよ?」


 エルフが耳をぴょこぴょこさせて首を傾げる。


「シェリーが感じないってことは、Aランクか?」

「ミラの探知は、Aランクにも反応するもんね」


 鬼人が酒を飲みながらミラに問いかける。


「で?数はどれくらいだ?」

「分からん。アリの巣を探知しているような気分じゃ」

「なんだそりゃ?Aランクの群集なんざ、聞いたことねぇぞ?」


 ———ザリッ


 暗闇の中から、人型の魔物が1体現れた。


「奴か……」

「そのようじゃ。しばらくしたら、わんさか集まってくるぞ」

「面白いじゃない♪私に任せてよ」


 獣人の少女が前に出る。


「おいナズナ、ずりぃぞ!」

「へへっ、早い者勝ちー♪」


 鬼人の呼びかけを振り切るように、ナズナと呼ばれた獣人の少女は魔物に向かって行った。


 びゅるん


 魔物が両腕を伸ばし、ナズナを捕えようとする。

 が、ナズナは軽やかに躱す。


「やっば!ボディがガラ空きじゃん!」


 獣人の圧倒的な身体能力を活かし、ナズナが急加速する。


 ドゴオォォッ!!


 ボディブローをまともに喰らった魔物は木に激突し、衝撃で木がへし折れる。


「ほぉ……?ナズナの一撃を受けて死なねぇか」


 魔物がヨロヨロと立ち上がる。


「さすがAランク。なら、次は本気出すね」


 ナズナがトントンと、その場で軽くジャンプする。


 バキィッ!


 ———!?


 魔物は、何が起きたか分からなかった。

 気付いたときには、自分の顔面に膝が入っていた。


 倒れる魔物に、ナズナは拳を振り被る。

 右拳に闘気が集中する。


「トッドメー!!」


 ドゴォォォッ!!!


 ナズナの渾身の一撃により、魔物の腹部に大穴が開いた。

 倒れた魔物はピクピクと痙攣し、そのまま動かなくなった。


 ナズナはふぅ、と一息つく。


「流石じゃのう♪Aランクの魔物が相手にならぬか!」

「まぁ、人間にはキツイ相手だろうけどね。アタシら亜人は、レベル上限200だし♪」


 ナズナが得意げにピースを決める。


 ———ザリッ

 ———ザリッ

 ———ザリッ


 一体撃破したのも束の間、魔物の群れに周囲を囲まれる。


「たはぁー、こりゃすごい数だね。流石にこの数はきついかも」

「しょうがないのう、ワシが———」


 立ち上がろうとしたミラを、鬼人が手で制止する。


「譲れよミラ。ちょうど退屈していたところだ」


 鬼人はグイっと酒を飲み干し、盃を放り投げ、前に出た。


「いいぜ、かかってきな」


 右手を差し出し、クイクイと手招きする。


 魔物たちは一斉に鬼人に襲い掛かった。


 バキィッ!


 魔物の蹴りが鬼人の顔面にまともに入った。

 が、鬼人はピクリとも動かない。


「こんなもんか?」


 ドゴオオォォォッ———!!!


 鬼人が拳を振ると、直線状にいる魔物が全て跡形もなく消し飛んだ。

 千切れた魔物の残骸がバラバラと周囲に落ちる。


「うはぁ、流石シンラ!エッグいねぇ♪」


 シンラと呼ばれた鬼人は、魔物の群れに突っ込み大暴れする。


「ははっ!お前らいいねぇ、夜遊びには最高だ!」


 純粋な膂力のみで魔物を次々と屠っていく。

 さながら鬼神のような戦いっぷりだった。

 シンラはどんどん前に進んでいく。


「ちょっとちょっと!そんなに孤立したら、私たちの方にも来ちゃうじゃんか!」


 背後から魔物の群れが、3人に向かって飛び掛かる。

 その瞬間、エルフが魔法を発動した。


「極大魔法———"星霜の氷鎖標識(アビス・エーテリアス)"」


 ———キィン


 3人に襲い掛かった魔物たちは全て氷漬けになり、砕け散った。


「おぉ、流石シェリーの魔法じゃ♪」

「これだけ詠唱時間があれば、当然よ」


 シェリーと呼ばれたエルフは、髪をかき上げ余裕の笑みを浮かべた。


「ほぉら……もっと来いよ!」


 シンラはそのまま暴れ回り、まるで戦場にいるような轟音と地響きが続いた。

 3分もすると、周囲を囲んでいた魔物たちは全滅した。


 座って酒を飲んでいたミラは、楽しそうに拍手をした。


「ははは、お前たち、やっぱ強いのう♪楽ができて助かるわい♪」

「まぁほとんどシンラがやっちゃったけどね」

「この戦闘狂め」


 シンラは満足げに笑った。


「へへっ。Aランクに囲まれたのは初めてだ。なかなか楽しかったぜ……あーあ、何か滾ってきたわ。殴り合いしねぇか、ミラ?」

「よせよせ。鬼の性が出てきておるぞ」


 赤い目をギラつかせるシンラに、ミラはひらひらと手を振った。


「それにしても、他のパーティならひとたまりもなかったでしょうね」

「モンスター災害とはいえ、ちょっと異常よね」

「うむ。まだまだこやつらと同じのが、森の中で大量に蠢いておるぞ」

「そりゃ、転移石の数字も減るわけだ。こりゃ、相当死人が出てるねー」


 シェリーの転移石に示された数字は、1200を下回ろうとしていた。


「あんまり死人が出るのは感心しないね。私たちで、数を減らしておこうか」

「そうじゃのう!ちっとばかりボランティア活動でもするかのう♪」

「いいじゃねぇか、夜通し戦ってやるぜ。ミラ、魔物のいる方へ案内しな」


『ミラと愉快な仲間たち』は森の中を探索し、次々に魔物を狩って回った。

 およそ6時間に渡り戦闘を続け、朝日が昇ると、魔物の姿は一斉に消えた。


「あ?こいつら、日が昇ると消えるのか?」


 魔物の群れの中で暴れ回っていたシンラは、つまらなそうに言った。


「そうね。夜の間だけ活動するタイプの魔物のようね」


 シェリーは転移石を見つめる。


「……あちゃー。次の夜が訪れたら、予選が終わるわ」


 転移石には、『425』の数字が表示されていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2025年9月10日、注目度 - 連載中で2位にランクインされました!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ