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ブサイクを理由に女勇者から追放された俺はどんな美少女も虜にするチートジョブ『サキュバス化』を手に入れました。魅了の力で最高の村に~今更、戻れと言われても冗談キツすぎ〜

作者: 東田 悠里

「あんた、今日でクビ。もう二度と私達に関わらないで」


 俺、アオイ・ニーアはパーティリーダーの勇者・ビッチーノ・オトコスキーに突然のクビ宣言を受けた。


 ビッチーノ・オトコスキーは美少女だ。腰まである絹のような長い金髪。完璧に体型。顔は整った鼻筋、力強い瞳をしている。そればかり勇者のジョブのせいか冒険者としての実力も高い。天は二物を与えずに、三つも四つも与えてしまったタイプの人間だ。


 そんな勇者・ビッチーノ・オトコスキーに俺はクビを言い渡された。


「ちょっと待てよ!! 俺は今までパーティに貢献していただろ!? それをなんで急に……?」


 勇者パーティ『テーニス・サークル』で俺は頑張った。鉱石の発掘や魔物の討伐、素材の剥ぎ取り、その他、食事係や掃除までに至るまであらゆる雑用をパーティメンバー全員が俺に押し付けてきたのだ。


 つまり4人パーティの作業量を全て1人で賄っていた。大変だった。みんなの期待を裏切りたくなくて、特に素材採取に関して色々な工夫を勉強した。


 結果として売却した素材は傷なく全て美品で買い取りされていた。だから別に俺は悪いことはしていないはずだ。それなのに何故……?


「ブサイクだから」


「は?」


「ブサイクだから」


 ビッチーノはまるで大事なことだからと言わんばかりに二回言った。


 他のパーティメンバーである女魔法使い、女神官はクスクスと俺を小馬鹿にした笑い声を発していた。え? こいつら……本当に俺をパーティから追放するつもりなのか……?


「知ってるでしょ? 私が王子やら大商人から求婚されているの? まぁ、私からしたら、みんな遊ぶ程度で丁度良いんだけど。それに比べたら、あんたはブサイク。圧倒的ブサイク」


 え? 王子や大商人と比べる? しかも王子ってかなりのイケメンで国中の女性が虜になっている、あの王子だよね? そりゃあ、王子と比べたら俺はブサイクなのかもしれないけれど……。


「しかも? あんな誰でもできる雑用を?? それで貢献をしていた?? やっぱりブサイクで童貞だということが言うことが違うね。正直、そのブサイクな顔も見飽きたわ。ブサイクは三日で慣れるって聞いたから様子を見ていたけれど……そりゃあ三年もしたら見飽きたわ」


「ど、童貞は関係ないだろ!? しかも見飽きたってなんだよ……それ……」


 ビッチーノは俺を鼻で笑い、


「はーい! ブサイクの代わりにー! 今日から新しいパーティメンバー入れまーす! ヤリティン・ハメルーヤ君でーす! よろしくねー!!」


「キミ達カワウィーネ! ってか、今までこんなブサイク飼ってたのかよ! マジウケんだけどぉ? ってか君達、今夜空いてるぅ!?」


 チャラチャラとした装備をつけた金髪の男――ヤリティン・ハメルーヤがビッチーノの肩を抱いた。


 え? 俺の代わり? なにそれ聞いてない。


 というか、すぐに出てきたあたり、最初から俺をパーティから追放するのは決まっていた?  嘘だろ? 正直、もう考えたくもない。


 しかし俺のささやかな願いは届かなかった。ヤリティンは俺の顔を覗き込んではニヤリと笑って、


「まぁ? お前はこのパーティに入れただけラッキーかもしれないが? 俺はバッチリ似合っているから問題ねぇよな!? ……まぁ、安心しろよ。俺がきっちり食べ尽くしてやるからよぁ!」


 俺が呆気に取られていると、ビッチーノは俺を小馬鹿にして、


「あれ? あんたまだいたの?? まぁ、これからは一人で頑張ってよ。童貞くん(笑)」

 

 そんな感じで俺は勇者パーティから追放された。


☆★☆★☆★☆


「なーにが、童貞くん(笑)じゃ!」


 俺は何のために頑張ったんだ? 別に? たしかにあの勇者――ビッチーノの見た目は可愛いと思うよ? でも別に恋人になりたいなんて思っていない。多くは望んでいない。ただあまりにもこの仕打ちはひどすぎる……。


 もうどうだっていいや……どこかの田舎の街でゆっくり暮らそう。


 幸か不幸か、いつか女の子と結婚した時のために貯めていた結婚資金が手元に残っていた。ただ人並みの一生を過ごしたかっただけなのに。


 そんなことを思っていると、見知らぬおばあちゃんがモンスターに襲われていた。おばあちゃんは木を背にして杖を弱弱しく振っている。


「だ、大丈夫ですか!?」


 幸い、ブラッドウルフというモンスターの中でも大して強くないモンスターだったから。すぐに倒すことができた。運が良かった。


「助けてくれてありがとうね……」


 運命的な出会い方だっただろう。これがおばあちゃんでなければ。


 でも見知らぬおばあちゃんとはいえ、困っている人を見捨てられない。そんなの目覚めが悪そうだから。


「あたしゃ……サキュバスとして惨めな死は迎えたくなかったのじゃ」


「え? サキュバスって伝説の……?」


 サキュバスという存在は古文書にしか記されていないが有名だ。悪魔のような尻尾を持つ。


 たしか男だろうが女だろうが、性別に関わらず他人を『魅了』することができる。古文書ではそういう存在は全て『サキュバス』であると定義されていた。とはいえ、男のサキュバスは聞いたことがないし、そもそもサキュバス自体、目撃例はない。だけどサキュバスは有名だ。


 サキュバスの目撃例がないのに有名な理由はただ一つ。サキュバスってめちゃくちゃ可愛いらしいからだ。そのめちゃくちゃ可愛いという噂だけが一人歩きをした。男としてはめちゃくちゃ可愛いと聞くと夢が広がるよね。


「伝説かどうかは知らぬが……ほら、この通り尻尾もあるぞ?」


「本当だ! え……? 本当にサキュバスなの?」


 しかし現実は無常。目の前にある伝説の見た目はおばあちゃん。色気どころか生気も薄れている。伝説は伝説のままでいて欲しかった……! 


「いやいや、そんなことより早く治療しないとマズいでしょ」


「もう駄目さね。私はどのみち助からない」


 おばあちゃんは俺を見て、優しく微笑んで。


「そうか……お主はモテモテになりたいんじゃな……サキュバスである私には分かる」


「いや、誰だってモテたいでしょ」

「そうかもしれないが、お主にはモテたいという強い意志が伝わってくる。何があったかは知らぬがな」


「そんなこと言っている場合じゃ……」


「お主に大事なものを犠牲にする覚悟はあるかね?」


 おばあちゃんの声に僕はたじろいでしまった。先ほどまでモンスターに襲われていたと

思えない力強い声だった。


「大事なもの?」


「今から悪魔の儀式を行うのだ……私はもう時間がないから……お願いだよ」


「いやそんな急に言われても……」


 サキュバスのおばあちゃんの瞳は必死だった。僕は迷ってしまった。


 サキュバスのおばあちゃんのお願いを叶えなかったら、後悔しそうな気がしたから。


「大事ものを失うと言ったが、悪魔の儀式で何を失うのか……私には分からない。目に見えない運なのかはたまた腕一本なのか……でも安心せい。犠牲になる範囲は人に害はもたらさない。あくまで自分だけじゃ。私もそうだった」


「サキュバスのおばあちゃんは何がなくなったか聞いても?」


「……男運じゃ」


「サキュバスとしては致命的じゃない!?」


 たしかに自分にとって大事なものだ。サキュバスにおいて男運がないって、あまりにも苦しすぎる。


 しかしモテモテになれば、少なくとも童貞(笑)から脱却できる……!


「それでもその力を欲してくれるなら……私のサキュバスとしての一生は幸せなものになるさねぇ」


 サキュバスのおばあちゃんにそんなことを言われたら、断れないじゃないか。


 それに……


『あ、あんたまだいたの?? まぁ、これからは一人で頑張ってよ。童貞くん(笑)』


 俺はビッチーノに言われて悔しかった。でも『サキュバス』になってモテモテになることができれば、少しは高くなった鼻づらを少しは折ってやれるかもしれない。


「わかりました……やりましょう」


 俺がそう言うと、サキュバスのおばあちゃんはニッコリと笑って、


「ではこの力をお前さんにあげるさね……いつかお主が死ぬ前に……誰かに託してくれたなら、幸せさね……ではこれがアタシの人生最後の仕事じゃ!」


 赤い魔法陣が地面に展開される。その魔法陣の中、サキュバスのおばあちゃんは僕を抱きしめた。


……ちょっとぬくい。


「本当に……ありがとう……」


 気が付いたら悪魔の義というやつは終わっていた。


「向こうの世界でお主の成功……祈っておるぞ」


「お、おばあちゃん……」


 サキュバスのおばあちゃんはゆっくりと息を引き取った。とても満足そうな顔をしていた。きっとこれで良かったのだ。


『おめでとうございます! あなたは世界で初めての男でサキュバスのジョブを獲得しました! パッシブスキル【魅了】を獲得しました』


「う、うわっ!」


 目の前に青いウインドウが現れた。正直に言えば邪魔だったから叩き落とそうしたけれど、俺の腕は空しく宙を掻いただけだった。


というかサキュバスって女しかいなかったの? ま、まじで……? 


『ボーナスとしてガイドラインの付与、ステータス【魔力】のランクが最大値のSSSになります!』


【魔力】D→【魔力】SSS

 

 そういえば、サキュバスのおばあちゃんは『なにか大事なものが犠牲になる』とか言っていたけれど、何がなくなったのだろう。腕が欠けたとか、息が苦しくなったとかは特段ない。


 むしろ魔力が今まで以上に満ち溢れた感覚がする。


「うおっ……俺にも尻尾が生えてる……」


 本当に俺はサキュバスになってしまったのか。


 ただ……なんだろう……? 少し……いや、かなりの違和感が股間に襲う……なんだ? この圧倒的虚無感は……。


 僕はおそるおそるパンツの中を見る。


 そして俺は失ったもの正体に気づいた。


「の、ノーン!!! 俺の息子が!!」


 大事なものは失って初めてその大切さに気付くのだった。


☆★☆★☆★☆


「モテモテになっても、息子がいなれば……童貞(笑)は変わらないじゃないか……!」


 もはや童貞脱却は絶望的。この状態では何もできない。さようなら……もう一人の小さい僕。


 ショックで動きたくないけれど、このままでは野宿になってしまう。せめて酒場でアワアワを一杯あおらないとやっていられない。


 それに勇者パーティを追放されたばかりで、荷物だけ持ってきたのだ。このまま日が暮れれば野宿は免れない。


「あ、ここは村……? 良かった~……」


 一時間ほど歩くと村が見えた。今日はこの村で一泊するか。


 村に入ると茶色の三つ編みの女の子がいた。僕は宿屋の場所を聞くため、話かけるしかなかった。


「あの……すいません。俺、ここに初めて来たのですが……オススメの宿とかありませんか?」


 あの女勇者から言われたブサイクという言葉が脳裏を過ぎり、声をかけるのを躊躇してしまったが、ここで止まる訳にはいかない。『サキュバス』のジョブを託してくれたおばあちゃんのためにも。


「冒険者さんですか? それなら村の中央にある酒場に……お、お兄さん……す、すごくかっこいいですね」


 え? 女の子は顔を赤らめて照れながら話かけてくる。なにこの反応……こんな反応されたことない。これがサキュバスのジョブ……魅了のスキルの力なのか……!


「私は村長代理のラニアと申します。お困りのことがあれば、私がお世話しますよ? 大丈夫です。私、これでも家事は得意なんですよ? 安心して一生いてください」


「いやいや! 俺達、初対面ですよね!?」


 さすがに『魅了』のスキルさん……やりすぎじゃないですかね?


 よく見ると、普通に美少女だった。素朴な感じではあるが、優しそうな茶色の瞳に長いまつ毛。体型も普通に素敵だ。いや、こんな美少女が俺にお世話をしてくれるって……言われて嫌な気分がしないのだが……、


 しかしここで村にピンチが襲い掛かる。


「ヒャッハァァァアアアア! 金よこせ! 女、子供さらえ! 金になるもん全部根こそぎ奪いとれや!」


「どうして盗賊が……!? アオイさん!逃げてください!」


 僕は馬に乗る盗賊団を見て、嫌な考えが脳裏を過ぎる。


ひょっとして、サキュバスだと男にモテる可能性もあるのでは……?


 盗賊に衣類をひん剝かれ、あんなことやこんなことをされてしまうのではないか? ……嫌だ! 嫌すぎる! 身体は男のままなんだぞ!?


「なんだこのガキ? ムカつく顔だな。お前から殺してやろうか?」


「よっしゃあぁぁああ!」


 俺の魅了は男にはきかない!? おいおいおいおい! 最高かよ!!


「なんだこのマゾ野郎……もういいわ。殺すわ」


「男に魅了が効かないって分かってんなら話は別だ! これからバラ色の人生が待ってるんだ! 簡単に死んでたまるか! くらえ! ロックメイス!」


 僕が愛用していた土魔法……相手に嫌がらせをしながら、最適な一撃をくらわすための布石になる。そう俺の顔を馬鹿にしたあいつらの顔面に全力のパンチを一発お見舞いするために。


「ギャハハハハハ! なんにもならねぇじゃねぇか! 見かけ倒しかよ!」


 盗賊団のボスは笑いながら、僕を馬鹿にする。


「ってか、ロックメイスとか土魔法だろ? そんな雑魚属性でなにが……って、おい! そんなのアリかよ!」


 家くらいの大きさの岩が地面に激突しそうになっていた。原因は僕が放ったロックメイス。全力で逃げる盗賊団。阿鼻叫喚の様相だった。


 正直、僕も驚いている。


「く、くそっ! お前ら!! いつから腕利きの護衛なんて雇いやがった!! 聞いてねぇーぞ!」


 え? これ本当に初級土魔法のロックメイス? 本来ならスイカくらいの大きさが限度だったのに?


『魔力SSSの恩恵ですね。それに土魔法に恐ろしいほどの適正があるみたいですね。土が素材であればアオイさんが望んだ形にモノを作ることができますよ』


「先に言えよ!」


 僕はガイドラインの通りに望んだ形――城壁の形にした。


 村を土の城壁が一瞬で囲った……え?【魔力】SSSってこんなにすごいの??


「すごい……アオイ様はもしかして……賢者様なのですか?」


「いや……一応サキュバスになったんだけど……」


「またまた……アオイ様はご冗談も上手いんですね? 古文書でしか聞いたことはありませんがサキュバスは女しかいないじゃありませんか……もしかして、遠回しに一緒に寝ようというお誘いなのでは……ふふっ、お待ちしております」


 どうやらラニアは僕が賢者だと思っているみたいだった。


 しかしまだまだ村に困難は襲いかかる。


☆★☆★☆★☆


「ラニアさん。どうしたんですか?」


 次の日の朝。村長代理のラニアさんは荒れた畑を見て、落ち込んでいた。


「またニーワトーリが……このモンスター。農作物を食い荒らして困るんですよね。いくら倒しても、繁殖力が強いせいかすぐに湧いてくるんですよね」


 ニーワトーリはCランク級のモンスターだ。


 単体なら大して強くないのだが、群れを成すと非常に厄介なモンスターである。


 しかしこのモンスターは……。


「あ、このモンスターならあえて生け捕りにすると毎朝、美味しい卵を産んでくれますよ?」


「え? モンスターですよ……? 卵って食べられるんですか……?」


 昔、死んだおじいちゃんに教えてもらった。食べ物が食べれられるかどうかは皮膚に垂らして確認すればいいと。皮膚に垂らして赤くならなければ毒はない。僕はソロで冒険者をやっていた時にニーワトーリに毒はないことを確認していた。


 この知識は今でも見たことのないモンスターの素材を採取する時にすごく役に立っている。


 ちなみにニーワトーリを食べるのは僕くらいしかいない。


 その後はニーワトーリに罠を仕掛けて、なんとか生きている状態で確保することができた。


 ただ一つ問題があるとすれば……


「コケ―!♡ コケケー!♡ コッケー!♡」


 魅了のスキルはモンスターにも有効だったということ……。僕の足下で大量の雌ニーワトーリが群がっていた。


「コケ―!♡ コケケー!♡ コッケー!♡」


 俺はこのニーワトーリ達と仲良くやっていけるのだろうか……。


☆★☆★☆★☆


こうして俺は冒険者としての知識と最強の土魔法……を使い、村を発展させていく。


「アオイさんだったら……アオイさん領主となって村を救ってくれませんか??」


 そして僕は領主となった。最強のジョブ『サキュバス』と『魅了』を使って村を国一番の村にしていく……!


☆★☆★☆★☆


一方、その頃――アオイを追放した勇者パーティ『テーニス・サークル』では……。


「ちょっと待ちなさいよ! なんでそんな簡単な雑用もできないのよ!」


 ビッチーノ・オトコスキーとヤリティン・ハメルーヤは激しい言い争いをしていた。


「簡単な雑用!? 馬鹿かお前! 頭の中もガバガバなんじゃねぇのか!? あぁん!?」


「なにを……!?」 


「シルバーディアの角は繊細なんだよ! 簡単に剝ぎ取れる訳ねぇだろ! 10匹やって1匹綺麗に取れたなら上出来だわ! それ以外にも素材としてバラすのが難しいモンスターばかり持って来やがって! これでも俺は器用な方なんだぞ!」


 事実、アオイをパーティから追放した後、勇者パーティ『テーニス・サークル』がギルドの納めたアイテムは劣悪と言っても過言ではなった。


アイテムの納品に置いてギルドから大きな信頼を勝ち取っていたが、結果として今のテーニス・サークルの評判は最悪以外の何ものでもない。


「嘘言わないでよ! アオイだったら簡単に……!」


「じゃあそのアオイってやつ呼び戻してやらせればいいだろ」


「いやでもアオイを辞めさせたのはあんたでしょ!? ブサイクな男なんていらないでしょ? とか言ってたじゃない!」


「お前もノリノリだっただろ? はぁ……もういいわ。今日はやってらんねぇわ」


「は? 冗談でしょ? どこいくつもり!?」


 ヤリティン・ハメルーヤはビッチーノの静止を聞かずに部屋を出た。


「はぁ……ムカつくけど、あのブサイクを呼び戻すしかないわね……まぁ? あいつのことだから私のパーティに戻れると聞いたら泣いて喜ぶでしょ?」


 そして数日後……


 アオイとビッチーノ再会することになる。


☆★☆★☆★☆


私、ビッチーノ・オトコスキーはアオイと再会した。


アオイを『テーニス・サークル』から追放して三か月が経過した後のことだ。


 再会した場所である村は立派な城壁に囲まれている。私は勇者という職業柄、色々な都市や街に行くことがあるが、この城壁は王都クラスのものだ。どうしてこんな小さい村に備わっているのだろう。


 でも今の問題は城壁なんかではない。


 久しぶりに再会したアオイは誰よりもかっこよくなっていたのだ。王国で一番の美形である王子ですら、霞むくらい魅力的だった。


 アオイを見ているだけで胸が苦しい。こんな思いは初めてだ。今まで経験したことがない。


『はぁ……ムカつくけど、あのブサイクを呼び戻すしかないわね……まぁ? あいつのことだから私のパーティに戻れると聞いたら泣いて喜ぶでしょ?』


 アオイに再会する前はそう思っていたはずだ。


「今のあんたならパーティに戻ってきてもいいんだよ?」


 元々は今までやっていた雑用をさせるため。


 でも今だったら……こんないい男になってるなら、私の男にしてやらなくてもいいかな? とも思っていたのに。


「いや、戻らないけど?」


 しかし、あろうことかアオイは私の誘いを断ったのだ。


「は? なんで?」


「いやだって、俺、ここで村長をさせてもらっているし。みんなのために頑張らないといけないから」


「私が困ってるんだよ?」


 まさか断る訳ないよね? 


「い、いや知らないし」


「知らないって……な、なんでそんなこと言うの?」


 そこまで冷たくしなくて良くない? 私だって女の子なんだよ?


『ねぇ、ひょっとして……あのビッチーノって女。アオイ様を追ってきたってこと? いや、まぁたしかに気持ちは分かるけど』


『でも自分のパーティから領主様を追い出したんでしょ? それなのに……なんか哀れな女よね』


私とアオイのやり取りを見て、周りの人達がコソコソと話し始める。


「わ、私……! そういう訳じゃ……!」


 こんな屈辱を味わったのは初めてだ。恥ずかしくて、顔から火が出そうなくらい熱い。私、こんなに誰かを好きになったこと……今までなかったのに……。


 そうか……これが好きって感情なのか。


「じゃあ俺、仕事があるから」


「ちょっと待ってよ!」


 このまま私を置いていくつもり!?


「アオイ様! 今日はシチューですよ!」


 アオイが私に背を向けると、横から茶髪の女が大きな声で手を振っていた。


「お? いいね。いつもありがとう。ラニア」


 ラニアという女、見た目は悪くないと思う。でも見た目は私の方が全然良い。負けている気がしない。


「いえいえ……私が好きでやっていることですから。それに今日は私の愛と……媚薬入りです」


「び……なんて?」


「媚薬入りです」


「マジでなんてもん入れてんだよ!」


 この二人のやり取りを見ているだけで、頭の中が揺れているみたいだ。


 お願い。これ以上はやめて……!


「冗談ですよ……半分は」


「半分!? 愛と媚薬が半分ずつ入れたの? それとも、愛か媚薬のどちらかという意味で半分なの? 一体なにが半分なの?」


「ご想像にお任せしますよ♪」


 ラニアという女は、アオイに対してものすごく良い笑顔する。


「あいつってモテないんじゃないの……?」


 あぁ、そうか。私、嫉妬してるんだ。


 でも私は諦めないから。私以外のこと考えさせなくしてやる。私に冷たくしたこと、絶対に後悔させてやる。今更、泣いて謝っても簡単には許してやらないんだから。


 私は心の中で固い決意を浮かべるのだが……


「あいつガチで恋してんじゃねーかよ。マジふざけんな」


 しかし私とアオイは気付いていなかった。ヤリティン・ハメルーヤがこのやり取りを嫉妬全開の表情で見ていたことに。


 さてここから、私、ビッチーノ・オトコスキーとヤリティン・ハメルーヤを含む、勇者パーティ『テーニス・サークル』はどんどんと落ちぶれてしまうのだけど、それはまた別のお話。





最後まで読んで下さってありがとうございます!


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