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ケータイが鳴る。ベッドにまるで気絶するかのようにうつ伏せに倒れていた少年、『まお』は煩わしそうにケータイの音を止めた。
今時この時代において古びてしまったような音を鳴らすガラケーを持つ少年に取っては聞き慣れた音だ。
まおはゆっくりと目を開け体を起こしたが、別に眠っていた訳では無い。
ただ窓の外から聞こえる雨の音を眺めていたのだ。
空はいつも通りの青色。何の変哲も彩りもない毎日。
まおは机の上に転がっていた食べかけのハンバーガーを食べながらパソコンの電源を入れる。
「今日も魔女によるイベントはなしか……」
Twitterの検索欄を見ながらつぶやく。魔女によるイベントというのは何の変哲もないこの毎日に突如として横槍を入れた人物とその行動を表したものである。
「前は新宿にて恐竜騒ぎ……その前は確か山梨で……まぁ、やっぱり俺が1番好きなのはA街のあれかな」
魔女の行動は突拍子もなくそれでいて大胆に行われる。世の大人達は魔女を悪人と言うが、心の内ではどこか魔女の行動を期待している。皆退屈なのだ。毎日が。
「早くしたいなー次のイベント……」
まおはポツリとそう呟く。実の所みんな分かっている。魔女なんて本当はいないこと。
ただ透き通るような青空に雨が降っているだけなのだということをーーーー