第82話 気を取り直して……
――ヒュウゥン。ビィシャーン‼
飛び交う光線。避けることに徹する俺。
――カキーン‼
小型メカと対等に戦う他のメンバー。前線に立ってない俺。接戦を繰り広げる仲間。どうすればいいのかわからない。
――『わからないなら、聞けばいいじゃない』
最近、頭の中で再生されるチェリスの言葉。こんな状況で、何を聞けばいいのだろうか……。ただ避けるだけで、疲労が溜まる。
右へ左へ。無意味な反復横跳び。飛んでくる光線。反響する発射音。俺は剣を握ったまま、ひたすら避ける。そんなことをリピートしているだけ。
立ち向かう人。逃げる俺。光線は浴びたくない。動揺まではいかなかったが、今ではトラウマになっている。
避ける。避ける。行動も思考も右往左往。わけも分からず焦り始める。光線が怖い。風魔に助けられたけど、やっぱり怖い。
派手なはずの音もはっきり聞こえず。気づいたら、彼の身体に穴をあけた。二の舞にはなりたくない。その一心で回避する。
「アレン、本当に大丈夫か? 一つアドバイスをしてやる。過去にルグアは、遠距離攻撃を剣で弾いていた。正確には、反射させていた。コツはタイミングとモーションへの対応。観察力が重要」
「やっぱり……。ううぉあぁ⁈ あ、危なかったぁ。その、やっぱり観察力なんすね、風魔さん。って、ひやぁぁぁ⁉ 今度はこっちィ⁉」
「やれやれ……。よくルグアが世話役になれた。厄介なリーダーだ……。けれども、成長は期待してもいい」
「それは、俺も同感……。学ぶことが多いけど……」
「犬‼ 風魔‼ 立ち話はやめてちょうだい‼」
チェリスのセリフで会話は終了。新たな手段は、光線の反射。ルグアもやっている高速移動を、俺も可能にさせたのだから、これもできるはず。
レーザービームという光線を弾く。まずは、動きを観察する。メカの中心部に集まる、赤い光の集合体。
明度がみるみる高くなり、色は白へと変化すると、そこで一度停止。
――ブワァン‼ ギュルルルル……。ビュヒューン‼
直後、耳に入ってくる音。はじめて聞く音もある。もしもこれか合図だとしたら。
今、俺の方に攻撃が向かっている。ゆっくりと近づく、レーザービームとの距離。ただの観察だけで、視野が広く感じた。
「到達まで。5、4……」
無意識で声に出したカウントダウン。
「……3、2、1、ッ‼」
0を言い忘れてしまったが、力強く剣を振り抜く。弧を描く刃と目と鼻の先の光線が交わることを信じて、全てが一発本番の一撃。たとえ失敗しても、上手くいったとしても……。
――ビュルルルッ‼
「合わさっ……。うわっ⁈ なにこれ重っ⁉ 重いんだけど‼ でも、ここで諦めるなんて……」
「今のアレンしゃん、とってもかっこいいりょん‼ ファイトりょん‼ もっと踏ん張るりょん‼ やっちゃえ‼ なんだりょん‼」
「フィレンさん。了解したしたぁーーー‼ (かっこいいって最高じゃん‼) セェェイッ‼」
――ビュルルル………ビシャーン‼
まるで、野球のバットで豪速球を打ち返したような感覚。
「もしかして俺……」
――ヒュウゥン……バスン。ドッカーン‼
「アレンしゃんすごいりょん‼ しっかり命中しているりょん‼ メカエネミーの花火なんだりょん‼ きれいだりょん‼ アレンしゃんも輝いているりょん‼」
「その……。ちょっと、褒めすぎなんすけど……」
「褒めないで何が悪いりょん?」
なんか答えづらい……。だけど、フィレンの証言によれば、なんとか弾くことができたようだ。
活躍したい。なら武器も手段も……。俺は達成感を味わいながら、また一つ階段を上れた気がした。




