第81話 主人公、危機一髪?
「ガデルさん‼ ガデルさんとフィレンさんは北の方を‼」
「ありがとうございます‼」
「風魔さんと雷夜さんは援護に回って。アルスさんとクリムさんは南をよろしく頼むっす‼」
端的に指示を出す俺。これで少しはリーダーらしくなっただろうか? フィールド環境が悪い廃工場。対する敵はメカエネミー。あいも変わらずレッツダンシン‼
踊る敵にはあまり手をつけたくないが、敵は敵。倒さなければ意味がない。構えた剣の刃を接続部に当て、勢いよく切り……。
「あんた、アタシに指示がないんだけど‼」
「あっ‼ ごめん、そのえーとっすね……」
――ブォォン‼ ヒュウゥン……。
『おい‼ 前を見ろ‼』
「風魔さん?」
『いいから、早く‼』
――ヒュウゥン……。グウォン……グウォン……グウォン……。
「ちょっ⁉ マ?」
『いい加減早く‼ 考える前にさっさと動きやがれ‼』
――グウォン……。グウォン……。グォォォ‼
小型メカの中心が赤く光り、視界を白く染める。状況が把握できない。俺の頼れるオーラの視認も完全にシャットアウトされている。
このまま攻略が終わってしまうのだろうか……。悲しみと悔しさを感じながら、ゆっくりと瞳を閉じる。
(さようなら……。みんな……。お先に失礼しま……)
「勝手に終わらせるんじゃねぇ‼ 主人公のオマエに代わる者は、一人もいねぇんだよ‼ 正気に戻れ‼ またリーダー失格と言われたいのか? なら、言ってやるよ。お疲れさんってなぁ~。の前にどきやがれ‼ このスキルぼったくり馬鹿野郎‼」
「きゅ、急に風魔……」
――ドスンッ‼ バタッ……。ブヒューーン‼
「風魔さん‼」
何が起こったのかが理解できないまま、突き飛ばされて目を見開いた時には、真っ赤な光線が風魔の身体を貫いていた。刹那、きつく張り詰まった空気が流れ込む。
風魔から発せられる虫の息。さらに状況がわからなくなってしまう。スクリーンに映し出される残酷な勇姿。
身代わりとなった彼の傷は、微々たるものではあるものの、ゆっくりと癒え始める。
また助けられてしまった。押し付けるようにやってくる、一種の罪悪感。
――『助けられてばかりのプリンスは誰かしら?』
フラッシュバックされるチェリスの言葉。助けられてばかりのプリンスは、小学生でしかない。俺はもう十六歳。高校に入って一年目にもなっていない、社会人を目指す端くれだ。
さすがに、ずっと甘えてばかりは無理がある。このままでは、社会人進出も夢のまた夢。自分でできることを、一つでも多く身につけなければ……。
「やってのける武器はない。大丈夫か? アレン。オマエを見ていると危なっかしくて、腹が立つ。さっきはすまない」
「そ、そんなことないっすよ‼ 全部俺のせいなんだし……。別に風魔が謝るなんて」
「観察力を身につける必要がある。あとで教えてやる」
風魔の気性が荒々しい。わかったのはこれだけだろうか……。観察力……。もしかしたら、もっと違う世界が見えるのでは?
俺に足りない能力を身につける。すなわち、成長の物語が始まったということ。
旅もまた始まったばかり。だが、何をすればいいのかがわからなかった……。




