第78話 興味を持てば吉
「で、そろそろ決まったかしら? わ・だ・い‼」
(最近のチェリス、キャラ崩壊してね?)
「……って事は違くて、話題。そういえば、チュリトスが由来ってこの前、言ってたっすよね? 文字った……とか、なんとか……」
「たしかに言ってたわね……。けど……」
「あ、あの。その…………」
「早く言いなさいよ‼」
話題は見つけた。だが、相手に合わせようとすると言葉に詰まる。ほんとは興味ない。ないけどやめれば話題もなくなる。
話題がなくなれば、会話もできない。悩みながらも思考は底辺。突発的なことしかできない俺が憎い。幼稚園児かよ? いや、それ以下か……。
(チュリトス……。チュリトス……。食べ物……)
「えーと、チェリスはチュリトスが好きって……。他に好き食べ物は……」
「良い質問ね。やればできるじゃない。他に……。となると、そうね……。海鮮系かしら? アレンは?」
「お、俺⁉」
なんとか会話が繋がった。繋がったけど、まさか同じ質問を返されるとは……。
予想外で単語が出てこない。好きなもの……。海鮮系からの方が良いのだろうか?
「アイライも気になるんだりょん‼ 教えてりょん‼ アレンしゃん‼」
「じゃ、じゃあ……。海鮮系……。サーモンとか……かな? 回転寿司だったらマグロは絶対っすね。たまに大トロを……」
「結構お高いの選ぶのね…………」
「ふところ次第っすけどね……」
そういえば、回転寿司に行ってない。というか、行く余裕もお金もない。さらには、ログアウト不可で外出どころじゃない。ってかまず、今日って何日?
日付を考えずに行動したことで、曜日感覚も何もかも失った状態。必ず導入しているカレンダー機能。
今日は八月十五日。時が進む流れの早さは、余分に使った日々の尊さを思い知らされる。
「ほんと、早いっすね……。無駄使いしすぎてる……」
「十五日なのね……。ということは、そろそろ始まる頃かしら?」
そろそろ始まる? 始まるとは何のことなのだろうか……。チェリスは俺の疑問を悟って説明。
「〝違法薬物の更生剤〟研究。普通は〝抗生〟って書くけど。運営とかでの発表では、なぜか〝更〟を使っているのよね……」
(更生剤……。どっかで聞いたような)
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フラッシュバックしたのは、俺がログインした七月二十日の下校前。仲のいいたった一人の友人である、樋上舞彩との会話。
「心配だからに決まってるでしょ‼ ついでに今日は、非公式なのに有名になったゲームが、正式サービスを開始するからね」
「非公式で有名なタイトル?」
その時に教えてもらったのが、〝リアゼノン〟だった。そして、一番印象に残ったのは、
「…………同時に〝違法薬物の更生剤研究〟も、本格的に始動するし……」
という発言。研究が始動されているのなら、試験体もいるはず。
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チェリスはさらに言葉の付け足しをはじめる。
「実は、この研究にあんたの彼女も関わっているのよ。ショックを受けるだろうけど。例の試験体として……」
「……ッ⁈ ルグアが⁉」
「ええ、あの子からは口止めされていたんだけど、これがデスゲームの理由。決めたのも彼女よ」
(そんな‼)
こんなの嘘に決まってる。デスゲームは運営の手違いだ。意図的なデスゲームなんか、でっち上げに違いない。彼女が自我を失ったりしたら……。
もしかして、病院の前で会った小柄な少女が? 模索すればするほど、膨らむ不安。たとえ、その少女がルグアのリアルだとしても、嘘であって欲しい。
「あの子は大丈夫よ。昔っからそうだから。ほら、もうすぐ日が暮れるわ。第十七層が持ち越しになる前に、い~~~~ぬ♡」
「キモイプラス長っ? ってか、最近多くね? ヤバすぎじゃん‼」
「心の声が無防備なんだりょん♡」




