第76話 気付けば全て空回り
「だけど、なんか気に食わないのよね。あんたのことが」
「気に食わない? あの、さっぱりわからないっす」
「でしょうね……。わからないのも無理はないわ」
元々物騒だった墓は、自然溢れる庭園墓地。
いつの間にか、俺とチェリスだけになっていて、緑豊かなフロアにポツリ、バラが咲くアーチの下に座る。
カップルにも見える姿は、明るい世界とは裏腹に、どこか暗い雰囲気が漂う。
しかし、いったいどういうことなのだろうか……。チェリスの言葉がピンと来ない。
「いつも思うんだけど。あんた、テンション高すぎよ。それが良いところなのでしょうけど。当ててあげる。リアルの友達少ないんでしょ?」
「⁈」
「やっぱりね。周りに合わせようとして、胸を高鳴らせるのは良いけど。きっと、周りが反応しづらいんだと思う。このゲームに仲の良い人がいるのは、あんたみたいな人に慣れてるから。例をあげると、フランかしらね……」
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『りんりんだ‼ おかえり~‼ りんり~ん‼』
『藍……。じゃなかった。フラン、その呼び方、いい加減やめてくれよ。私のリアルを割ってんのと、同じなんだぞ‼』
『ごめん‼ ついついうっかり‼ テヘッ♡』
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『アハハ‼ ナイスリアクション‼ 良き良き♡ りんりんもおっつー‼』
『だから、フラン。いい加減にしろよ……』
『えー、良いでしょ~。他に良いあだ名無いんだもん。うむぅ……』
『わ、わかったよ……。好きにしろ』
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たしかに、フランはテンションが高い。思ったことを、全面に出しているというか……。うるさい感じがする。
自分と照らし合わせても、ほんの少し違和感を感じるが、なんとなくわかった。
それをルグアは、上手く受け流している。あまり関わらないように、けれども離れすぎないように、絶妙な位置にいるのだろう。
俺の時もそうだ。相当弾けて、ブレたりして……。空回りというか……。だけど、疑問に答えてくれる。
そう、質問や疑問だけは、しっかり答えているので、楽しくなっていたのだ。俺も質問したくなった。知りたくて、知りたくて……。
「ルグア団長……」
居合わせていないのが寂しくて、恋しくて。切なくて……。顔が浮かんだ途端に涙と嗚咽が漏れ始める。
「まさか、そこまで愛してるなんてね……。心を改めなさい。自分だけが盛り上がっていたら、接するの苦にしかならない。要領が悪いんじゃなくて、〝コミュニケーション〟の経験不足よ」
コミュニケーション? 経験不足? そういえば、ゲームのチームプレイは、仲間の意見を聞かずに自滅。
親や学校の仲間とも、共通の話題がなくて、一方通行で空回り。自分しか楽しんでなかった。情報を共有できてなかった。
相手が思っている本当の気持ちを、理解しようとしていなかった。ルグアと上手くいってるのは、彼女が俺に合わせていたから。
どう思っているのか、よくわからない。ただ、一つ言いたいのは、
「質問しているのに、理解しようとしない面倒な俺で、ごめんなさい……」
これしかなかった。




