第74話 クリム夫妻
◇◇◇第十五層ボス部屋 アレン目線◇◇◇
ルグアとの通信が終わり、俺達七人は薄暗い下水道を移動していた。滴る濁ったアクアマリンの恐怖を堪え、大扉を開ける。
武器を携えた仲間でも、みんな武器種は違う。それより、風魔は何で戦うの? 見たことないから気になって……。
「戦う……か。武器は使わない。戦うこともない。ただ、オマエらに対する攻撃全部を受け止める盾になる」
「えっ⁈ 攻撃って全部受け止めることできるんすか?」
「可能だ。しかし、オマエらにはできない。選ばれたエネミーのみ許される」
あ、はい、わかりゃした……。ってか、体力とか平気なの? 心配なんだけど‼ 大丈夫? だい……。
「オマエは気にしすぎだ。気にする必要もない。さあ、始めよう。助けたい人、救いたい者が泣く。オマエは自分の道だけを見ろ」
「いつもすんません……。勉強なります」
でも、ボスエネミーが見えない。黒いオーラは見えているのに、姿がない。ここのボスってなんなの? 早く十六層行きたいんだけど‼
――ドスンッ‼ ドスン‼
突然フィールドが振動する。もしかして超デカいやつ? いやそれ勘弁‼ マジ勘弁‼ こっち来ないで‼
『ニョキ? お客様? 戦うのか? 妾と。戦いはせんぞ? 妾は平等を愛す。第16層に行くが良い』
「ダダ、誰?」
『申さぬと駄目か? 妾はレヌス。れっきとした女である。では、顔でも見せると』
ぽわんと明滅する発光体。それは人の姿になる。可愛いおばさん? とも見て取れる、色白美人のモデル体型だった。
〖これはまた久しいのう。レヌス。元気にしておったか?〗
『妾が怪しいと、夫に言われたくもない。離婚確定となろう』
〖我の妻はそなたのみ。他は虫唾が走るじゃろ?〗
『然り、では撤回として共に参ろう』
なんか、よくわかんない。この会話。話し方似たり寄ったりだし、クリムとレヌスは夫妻関係かよ⁉ 早くルグアと結婚したい。
だから早く行かなくちゃ‼ 行かないと、ルグアが死んじゃ……。
「考える前に動かないと、何も始まらないわよ?」
「チェリスさん」
「今ちょうど、マロネが第五十層に到着して、ルグちゃんに毒盛っているりょん‼ 多分喜んでいるりょん‼」
「いやフィレン、それありえないから」
「ルグちゃんは大丈夫りょん‼ 心配ご無用なんだりょん‼」
心配するわ‼ 俺の彼女なんだぞ‼ 彼女死んだら困る。結婚してヴァージョンロード歩いて、ワイワイギャーギャー騒ぎたい‼
「ほどほどにね。い〜ぬ♡」
「チェリスキモ⁉ キモイよ。その言い方キモイって」
「相変わらず、感情ダダ漏れね」
そんなこんなで第十六層に向かうのであった。




